企業と生活者懇談会
2016年8月2日 石川
出席企業:コマツ
見学施設:こまつの杜、粟津工場

「石川から世界にひろがるコマツを見に行こう!」

8月2日、コマツのこまつの杜、粟津工場(石川県小松市)で、「企業と生活者懇談会」を開催し、生活者9名が参加しました。同社の概要とこまつの杜の施設概要の説明を受けた後、こまつの杜で歴史的な建機や世界最大級の930Eダンプトラック、旧本社事務所を復元した「わくわくコマツ館」を見学しました。また、粟津工場では、木質バイオマス蒸気ボイラセンタや建設機械組立工場を見学し、その後、質疑懇談を行いました。
コマツからは、コマツウェイ総合研修センタわくわくコマツ館の道内信之館長、粟津工場の福田忍総務部担当部長、本多孝一コーポレートコミュニケーション部長が出席しました。

コマツからの説明

■コマツの概要■
 コマツは、1917年(大正6年)、創業者竹内明太郎が、石川県小松市近郊の竹内鉱業遊泉寺銅山を採掘する鉱山機械を開発するため、小松鉄工所を設立したことに始まります。その後、機械修理部門が独立し、1921年(大正10年)5月13日にコマツが誕生しました。 
 竹内は、「工業は国を富ませる基なり、人材育成こそが工業冨國基の基本」とし、「海外への雄飛」「品質第一」「技術革新」「人材育成」を創業の精神として掲げ、現在も同社の遺伝子として受け継がれています。
 同社の主な事業は、建設機械・車両と産業機械他です。2015年度(平成27年度)では、連結売上高1兆8549億円、連結子会社141社、従業員4万7017人の半数が外国人と、グローバルに展開しています。
 売り上げの約9割を占める建設機械・車両の主要製品は、油圧ショベル、ホイールローダー、ブルドーザー、ダンプトラックです。売上高の構成は、2割の日本に北米・欧州を加えた伝統市場で約5割、中南米・アジア・オセアニアなどの戦略市場で残り5割となっており、建設機械では日本1位、世界2位のシェアを誇っています。また、産業機械他では、自動車メーカー向け大型プレス、自動車部品用工作機械、エキシマレーザーなどを製造しています。
 48の生産拠点のうち14拠点が日本です。機械の性能を左右するエンジン、トランスミッション、油圧ポンプなどのキーコンポーネントは日本で一極生産しています。また、製品の開発・生産機能を有する国内のマザー工場にはモノづくりの競争力を高めるための投資を積極的に行っています。一方、車体の生産拠点は、1980年代のプラザ合意後の急激な円高がきっかけとなり、マーケットに近い地域での生産を進め、1980年代は米国などの先進国、1990年代は中国、2000年代はロシアなどと拡大しています。

■「ダントツ」の成長戦略■
 コマツは、一点でも他社を圧倒的に凌駕するものをつくるという方針で、「ダントツ」の成長戦略を進めています。
 1段階目は「ダントツ商品」です。「安全・環境・ICT」が商品開発のキーワードです。この取り組みから、車体旋回の減速時に生じるエネルギーをキャパシター(蓄電器)に蓄え、加速時の補助エネルギーに活用し低燃費を実現した世界初のハイブリッド建機や、掘削作業や整地の仕上げ作業を自動化し作業効率の向上を実現したICT建機が誕生しました。
 2段階目は「ダントツサービス」です。建設機械の情報を遠隔で確認するシステム「KOMTRAX(コムトラックス)」などにより、機械の見える化を進めました。GPSや通信機能の搭載で、盗難対策だけでなく、稼働状況や機械内部の状態が把握できるため、機械の修理やメンテナンスといったお客さまへのサービスが向上しました。
 3段階目は「ダントツソリューション」です。少子高齢化が進む日本では人材確保が課題です。建機は操作技術の習得に時間がかかるため、IoTと施工の見える化を進めています。「スマートコンストラクション」では、ドローンで測量した3次元データをICT建機に送信することで、経験の少ない作業者でも高度な施工および管理が可能となり、工期の短期化やコストダウン、労働力不足の解消などが実現できます。また、海外の露天掘り鉱山では、365日24時間稼働させるために作業員を多数雇用し、山奥に居住地をつくる必要があります。無人ダンプトラック運行システム「AHS」の導入で、作業が中央管理室で集中管理でき、少人数でも安全かつ経済性、環境性を考慮した施工が可能となりました。

見学の様子

■こまつの杜の概要■
 こまつの杜は、「『人』と『技術』を未来へ」をスローガンに、2011年(平成23年)5月13日、創業の地に誕生しました。社員が現場や職場で永続的に継承すべき価値観「コマツウェイ」を学ぶ人材育成の拠点として、研修・会議を行う「コマツウェイ総合研修センタ」、サービス技術トレーニングを行う「テクノトレーニングセンタ」「モデルトレーニングセンタ」を社内向けに備えています。また、一般開放エリアではコマツの旧本社建屋を再現した「わくわくコマツ館」、加賀の自然を再現した「げんき里山」に加え、超大型ダンプトラック930Eを展示しており、多くの一般客が訪れます。
 こまつの杜では「わくわく建機まつり」の他、地元共催イベントなどで産業観光を促進し、研修などで訪れるコマツグループ社員年間3万人の宿泊や食事を地域で賄うことで、地域との共生を図っています。また、教育委員会や小学校と連携し、里山での自然観察、理科・ものづくり教室、社会科見学、地雷除去などのCSR活動の紹介を通じて、子どもたちの育成にも寄与しています。これらの活動は、同社OBが立ち上げたNPO法人「みどりのこまつスクスク会」が中心となって運営しています。

■こまつの杜の見学■
 まず、コマツを支えた歴史的な建機を見学しました。コマツ製最古のトラクタT25(1936年(昭和11年))、国内ブルドーザーの祖D50-2-16号機(1949年(昭和24年))、人気のD50-S8型ドーザーショベル1号機(1958年(昭和33年))、コマツの存亡をかけたD50A?実験車10672号機(1961年(昭和36年))、コマツ製最古のホイールローダーJH30B(1965年(昭和40年))の5台が並ぶ光景は圧巻です。中でも、?実験車は、1961年の資本の自由化による外資参入という状況で、何としてでも良い製品をつくろうと、テストを繰り返し、性能・耐久性を飛躍的に向上させました。
 次に、日本に1台しかない世界最大級の930Eダンプトラックの運転席に上って大きさを体感しました。「930」は総重量93万ポンド、「E」はエレクトリック(電動式)を表しています。巨大なのは、全長15.3メートル、幅8.6メートル、高さ7.3メートル、重量202トンの車体だけではありません。丈夫なゴムとスチールからできたタイヤも、直径3.8メートル、重量4.8トンと1本で84トンの荷重に耐えられます。驚くべきことに海外の大規模鉱山では930Eが無人で稼働している現場もあります。危険な作業から作業者を守り、燃費などを節約して環境を守るため、GPSや無線を使って運転手なしで走っています。その速さが最大時速64.5キロメートルと聞き、参加者からは驚きの声が上がりました。また、チリの銅鉱山から車体を輸送する様子を紹介した臨場感のある3D映像に、参加者は引き込まれました。
 最後に、1930年(昭和5年)から1996年(平成8年)まで使っていた旧本社事務所を復元した「わくわくコマツ館」を見学しました。「パワーラボ」では、熱と電気の関係や歯車が動く様子から「熱電素子」「遊星歯車」などの動力に使う技術を体験しました。また、「ギアワールド」では、ジオラマを使い、鉱山・森林・地下で行う建設機械の仕事について理解を深めました。

■粟津工場の概要■
 現存するコマツの工場で一番歴史がある粟津工場は、1938年(昭和13年)の設立です。国内最大規模の71万平方メートルの敷地で、約2800人の従業員がいます。中小型の油圧ショベル、ブルドーザー、ホイールローダー、モータグレーダーに加え、トランスミッションを生産しています。
 同社では、2011年の東日本大震災後、使用電力半減を目標にした生産改革を進めてきました。2014年(平成26年)5月に完成した粟津工場の新組立工場では、大幅な生産性改善と省エネの両立を見事達成。面積当たりの生産能力が1万3400台から2万台と1.5倍に向上。さらに、徹底的な省エネとバイオマス発電の導入などにより、購入電力量を2010年(平成22年)比の90%削減を達成しました。

■粟津工場の見学■
 まず、木質バイオマス蒸気ボイラセンタを見学しました。同社のバイオマス・コージェネレーションシステムは、蒸気ボイラで木材チップを燃やした際の高圧蒸気を活用し、蒸気コンプレッサーで圧縮空気をつくって蒸気発電機で発電、熱交換器で冷暖房用冷温水に変換する仕組みです。蒸気ボイラからは、木の香りが立ち込め、かなりの熱気です。このシステムにより、70%の熱利用効率を実現し、CO2排出量も年間3000トン削減しています。
 木材チップは、地域の間伐材を使うように、2014年2月、石川県、石川県森林組合連合会と「林業に関する包括連携協定」を締結しています。また、かが森林組合では、木質チップ燃料供給事業も立ち上げました。
 参加者は、木材チップへの着火を安定させるため、山中漆器をつくる過程で出る不要物やチップを燃やした際の排熱を活用する工夫を聞き、感心していました。
 次に、建設機械組立工場でホイールローダー、モータグレーダーの生産ラインを見学しました。全面地下ピットを採用した工場は、広々としています。最大柱間隔32メートルと柱を少なくすることで生産設備を自由に配置でき、物流もスムーズです。電源・配管や組み立て設備はピット内に収め、組み立て作業に特化できるように床も平らになっています。空調は、地下水や地熱を利用した床吹上式成層空調で、人の背の高さ分だけ行うそうです。
 多品種を1ライン当たり1日20~40台生産するための様々な工夫にも感心します。例えば、作業エリアとラインが同時に動き、ラインサイドまでフォークリフトで部品を搬入して作業効率を高めています。また、1台の車両を左右両側からクレーン作業をしたり、需給調整のため隣接したラインで機種を相互乗り入れしたりと生産体制も柔軟です。
 検査体制も厳格です。インライン検査では、赤いヘルメットの検査員が、締め付け箇所をダブルチェックします。組み立て時に車両1台分の部品を1つの作業台車に用意し、取り付け漏れを防ぎます。さらに、地域や用途別の仕様に合っているか、ブレーキや黒煙濃度は適切かといった300以上の項目を検査します。参加者は、無駄なく次々と車体をつくり分ける様子に見入っていました。

コマツへの質問と回答

社会広聴会員:
業界の今後の見通しを教えてください。
コマツ:
 建設・鉱山機械の需要は2000年代初めから新興国の経済発展を追い風に一時は過去最高の規模にまで伸長しましたが、現在は新興国の成長鈍化や原油などの資源価格低迷の影響を受け、主に「戦略市場」で調整局面が続いています。需要は今後しばらく足踏みすることが予想されますが、世界の人口の増加および都市化率の上昇を背景に長期では増加していくと考えています。
 

社会広聴会員:
少子高齢化による労働力不足に対してどのような取り組みをしていますか。
コマツ:
日本の建設業界については、2025年に必要な建設事業労働者数350万人に対して、130万人の不足が発生するとの試算があります。また、94%の企業は月商1億円以下、社員数が10名以下の企業であり、労働力不足はお客さまにとって大きな問題です。当社では自動操作で動くICT建機を活用して、建設現場向けソリューション「スマートコンストラクション」を昨年(2015年)2月から国内で展開しています。具体的には、ドローンで現場の地形のデータを正確に短時間で測量し、3次元図面を作成します。また工事の発注者からもらう完成地形のデータも3次元化します。それらの図面に合わせてICT建機が整地や掘削などを自動で行うというものです。作業データはITクラウドに蓄積され、現場の課題がデータで浮き彫りになるので、お客さまのプロセス改善につながります。
 

社会広聴会員:
建設・鉱山機械のハイブリッド化の普及状況について教えてください。
コマツ:
当社は2008年(平成20年)に世界で初めてハイブリッド油圧ショベルを発売しました。車体旋回の減速時に発生するエネルギーを旋回電気モーターで電気エネルギーに変換してキャパシター(蓄電器)に蓄え、これを発電機モーターを通じてエンジン加速時の補助エネルギーとして活用します。大幅な燃料消費量とCO2の低減を実現し、昨年度までに全世界に累計3700台以上のハイブリッド油圧ショベルを導入しています。
 

社会広聴会員:
女性の活躍状況について教えてください。
コマツ:
コマツ単独で社員1万500人のうち女性は11.5%(約1200人)です。女性管理職比率を2018年4月までに7%、2021年4月までに10%とする目標を掲げています。そのため、女性の積極的な採用、育成、そして出産後もキャリアを継続できる環境の整備等の諸施策を積極的に進めています。
 

社会広聴会員:
人材育成について教えてください。
コマツ:
コマツが培ってきた強みやそれを支える心構えや行動様式を明文化した「コマツウェイ」が、コマツグループ全社員の人材育成の土台です。海外現地法人向けには、現地語に翻訳しています。コマツウェイ総合研修センタでは、「コマツウェイ」の価値観を学びながら、国籍や世代を超えたチームワークを醸成しています。
 

参加者の感想から

●粟津工場の高度な技術と高品質な生産ラインに感動しました。女性や若手の作業員の方々が生き生きと仕事をしている姿が印象的でした。

●少子高齢化や災害に対して、建機の無人化や自動運転の研究開発は、大変役立つと確信しました。 

●地域やコマツOBと協力し、バイオマス発電や自然環境を守る活動をしており、素晴らしいと思いました。

コマツご担当者より

 今回、コマツのモノづくりと人づくりの「現場」を実際にご見学いただくことができました。当社への理解が少しでも深まったということであればうれしく思います。
 コマツの経営の基本は、「品質と信頼性」を追求し、企業価値を最大化することです。「企業価値」とは私たちを取り巻くステークホルダーからの信頼度の総和であると考えています。今後も社会と皆さまから信頼される企業であるよう、様々な活動にグローバルチームワークで取り組んでまいります。

お問合せ先
経済広報センター 国内広報部
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