企業と生活者懇談会
2008年12月19日 福岡
出席企業:ヤクルト本社
見学施設:福岡ヤクルト工場

「健康について考える」

2008年12月19日、福岡県筑紫野市にある福岡ヤクルト工場で、「企業と生活者懇談会」を開催しました。18名の生活者が参加し、ヤクルト本社や福岡ヤクルト工場の概要説明を受けた後、工場見学と質疑懇談を行いました。
ヤクルト本社からは、今田正男広報室室長兼IR室室長兼環境対策室室長、出口悟史広報室主事ヤクルトお客さま相談センター長、小林謙一広報室主事、清野正和生産管理部品質管理課課長、杉本暁九州支店総務課主事、福岡ヤクルト工場からは、仲田弘昭代表取締役社長、西川満製造部部長が出席しました。
ヤクルト本社からの説明
■ヤクルトの概要■
 ヤクルトは、医学博士代田(しろた)稔が1930年(昭和5年)、人の健康に役立つ乳酸菌の強化・培養に世界で初めて成功したことからスタートしました。その乳酸菌は、代田博士の名前をとって、ラクトバチルスカゼイシロタ株(以下、乳酸菌シロタ株)と名付けられました。その後、代田博士は、生きて腸に届き、腸内で有用な働きをする「乳酸菌シロタ株」を一人でも多くの人々に摂取してもらうため、飲料として製品化し、1935年(昭和10年)に乳酸菌飲料「ヤクルト」を福岡で発売しました。その後1955年(昭和30年)に、全国の販売事業を束ねるヤクルト本社(東京都港区)が設立されました。ヤクルトグループは、現在、販売会社、子会社工場、海外事業所、球団などを含めておよそ190社で構成されています。ヤクルト本社の主な事業内容は、「食品事業」「化粧品事業」「医薬品事業」です。

■代田イズムとは■
 創始者の代田博士は、病気になってから治療するよりも、病気にかからないようにする「予防医学」、腸を丈夫にすることが、健康で長生きにつながる「健腸長寿」、そして、腸を丈夫にする「乳酸菌シロタ株」を多くの人に手軽に飲んでもらうために「誰もが願う健康を誰もが手に入れられる価格で」提供することを提唱しました。ヤクルトではこれらを「代田イズム」と呼び、すべての事業の原点としています。
 ヤクルトの語源は、エスペラント語(19世紀末に、ポーランドのザメンホフが提唱した世界共通語)でヨーグルトを意味するJahurto(ヤフルト)を元に「Yakult(ヤクルト)」と命名されました。そこには、世界の人々の健康に貢献したいとの願いが込められています。今ではこの「代田イズム」を礎に、「Yakult」は世界31の国と地域で、毎日約2500万本飲まれています。

■ヤクルトレディ■
 ヤクルトレディによる宅配は、1963年(昭和38年)にスタートした、ヤクルト独自のお届け方法です。
「いつでも、どこでも、1本でも」の精神で、乳酸菌シロタ株の素晴らしさをお伝えしながら、「ヤクルト」などをお届けしています。
 ヤクルトでは、ヤクルトレディが商品を「真心」込めて「お届け」しながら、代田博士の考え方を「普及」することで築かれる「人の和」を大切にしています。
 「配達」ではなく「お届け」、「セールス」ではなく「普及」という考えに基づいたヤクルトレディによる宅配は、食品事業の根幹を成しています。現在、日本で約 4万2000人、海外で約 3万6000人のヤクルトレディが活躍しています。

■「乳酸菌シロタ株」の働き■
 我々の腸の中には、数百種類の菌が集団で生息していて、健康に様々な影響を及ぼしています。良い働きをする菌(乳酸菌やビフィズス菌など)を有用菌と呼び、黄色ブドウ球菌など、食中毒を引き起こす悪い菌を有害菌と呼びます。通常は、有用菌が有害菌を抑え て健康を保っていますが、そのバランスが崩れると健康の悪化を招きます。有用菌は、加齢とともに減少します。また、食べ過ぎや飲み過ぎ、ストレスなども腸内細菌のバランスを崩します。よって、外から乳酸菌などの有用菌を補うことが必要なのです。
 乳酸菌を摂取する際は、生きたまま腸内に届くことが重要になります。一般的な乳酸菌は、胃液にさらされるとほとんど死んでしまいますが、「乳酸菌シロタ株」は酸に強く、生きて腸に届きます。
「乳酸菌シロタ株」の働きは、第一に人それぞれが持っている有用菌を増加させ、有害菌を減少させることが挙げられます。次に、身体の抵抗力(免疫力)のバロメーターとして注目されている「ナチュラルキラー(NK)細胞」の活性(NK活性)を高めることが認められています。NK活性が高いほど、がんなどの病気にかかりにくいことから、「乳酸菌シロタ株」は、医療現場でも注目されています。一例として、「乳酸菌シロタ株」の継続的な摂取により、「がん化しやすい大腸ポリープの発生を抑える」「膀胱がんの発がんリスクを大幅に抑える」ことが判明しています。

■福岡ヤクルト工場の概要■
 ヤクルトは、全国に14カ所の乳製品工場があります。その内の1つである、福岡ヤクルト工場は、1970年(昭和45年)に操業を開始した、ヤクルト本社の100%子会社で、この工場では熊本と広島で作られた「ヤクルト」の原料液をもとに、瓶詰めをしています。福岡では「ヤクルト」、佐賀では「ジョア」「プレティオ」「ビフィーネ」、熊本では原料液と「ソフール」を製造しています。これらは、九州、沖縄、中国、四国、近畿の一部へ出荷されています。

■見学の様子■
 工場の生産エリアに入る際の作業着にはポケットがなく、手首、足首、ウエスト部分が 2重構造になっており、製品にほこりや体毛などの異物が入らない工夫がなされています。耳まで覆う帽子やマスクはもちろんのこと、工場内は大きな音がしているため、耳栓の着用が義務付けられ、社員の健康も気遣われています。
 高さ3メートルもあるヤクルト原料液の保存タンクは、空になると社員が命綱を付けて内部まで手作業で洗浄にあたることや、薬品を使わずに高温の蒸気で殺菌し、衛生に配慮していることが分かりました。製造工程では、1968年(昭和43年)からデザインの変わらない、おなじみのプラスチック容器がその場で形成される様子や、1日に150~180万本が製造されるという、スピーディーに「ヤクルト」が充てんされていく様子に、参加者全員見入っていました。
 2階の見学通路から工場内をガラス越しに見下ろす形になりますが、工場エリアにいるスタッフと直接、無線を通じて質問のやりとりをすることができるため、参加者は室内の温度や、作業内容について熱心に質問していました。

ヤクルト本社への質問と回答
社会広聴会員:
ヤクルトの海外展開について教えてください。
ヤクルト本社:
ヤクルトの乳製品は、2008年(平成20年)11月現在、世界31の国・地域で、毎日約2500万本愛飲されています。通常、日本の企業が海外へ進出する場合は、日本で好調な売り上げを記録し、海外へ販路を拡大したり、日本で頭打ちになり海外へ活路を見いだすケースが多いのですが、ヤクルトの場合は、「自国の公衆衛生に寄与してほしい」と販売を求められたことがきっかけでした。1964年(昭和39年)に、初の海外展開である台湾で販売を開始したのも、そうした理由によるものでした。1990年代に販売を開始したヨーロッパは、もともとヨーグルトやチーズなど乳酸菌による発酵食品が消費されていましたが、乳酸菌の摂取そのものを目的にした商品はなく、「ヤクルト」は斬新な商品として広く受け入れられました。最近では、2008年(平成20年)に経済成長著しいインドとベトナムで販売を開始しました。
 
社会広聴会員:
「ヤクルト」の成分や容器について教えてください。
ヤクルト本社:
「ヤクルト」の原料は脱脂粉乳です。ここに、培養した種菌を入れ、原料水で所定の倍率まで薄めて作ります。容器は、ポリスチレンを原料とするペレットを金型に入れて熱で溶かして形成しています。現在のプラスチック容器になってから40年が経ちます。2008年には、「グッドデザイン・ロングライフ賞」を受賞しました。また、底をはずした「ヤクルト」の空容器(ヤクルトろ材)は、その形状から汚れを分解する微生物が繁殖しやすく、水の浄化に効果を発揮しており、水環境の改善にも貢献しています。
 
社会広聴会員:
なぜ、化粧品事業に進出されたのですか。
ヤクルト本社:
「ヤクルト」発売当初は瓶の容器だったため、回収した瓶を洗浄する必要がありました。当時、瓶は水で洗浄していましたが、洗っていた女性の手が荒れるどころか、すべすべだったことから、乳酸菌の肌への働きに着目し、さらなる研究開発の上、基礎化粧品の商品展開を始めました。また、食品以外の事業としては、化粧品だけでなく、抗がん剤とその周辺分野に特化した医薬品事業も展開しています。がんの研究では、発症メカニズムを含め日本の医薬専門企業にも劣らない研究を進めています。このように、常に人の健康に役立つ良いものを探し続けています。
 
社会広聴会員:
「ヤクルト」の安全性について教えてください。
ヤクルト本社:
創業時から、単に美味しく栄養があるだけではなく、健康に役立つ食品をご提供したいとの発想で商品を作り続けています。もともとおなかの中で良い働きをする菌や上質な原料を使用して、十分管理した工場で生産しており、商品が安全であることは間違いありません。昔、「ヤクルト」は手作業で瓶詰めをしていましたが、その後、機械化が進み、ヤクルト本社が製造を統括することで、全国に均質な商品が届けられるようになりました。もちろん、ISOやHACCP認証も受けています。
 
社会広聴会員:
宅配商品と店頭販売商品の違いは何ですか。
ヤクルト本社:
最も特徴的なのは、宅配商品は「ヤクルトレディ」がお届けすることです。「ヤクルトレディ」は、お客さまのお宅を訪問しながら商品を理解してもらったうえで販売しています。宅配では、乳酸菌の働きや商品ごとの説明ができるため、乳酸菌シロタ株を最も多く含む「ヤクルト400」などを取り扱っています。一方、店頭や自動販売機での販売は、宅配以外でもお客さまにいつでも手軽に購入していただくための販売手段として、すみ分けしています。
 
参加者の感想から
●長い間「ヤクルト」を愛飲していますが、なぜ身体に良いのか、よく考えずに飲んでいました。今回の見学を通して予防医学の大切さと毎日飲むことの大切さが分かりました。

●乳酸菌飲料からヨーグルト、医薬品、化粧品と開発する商品を増やしても基本はひとつ、むやみに拡大しない事業姿勢に好感が持てました。

●乳酸菌の働き、河川浄化に取り組む福岡ヤクルト工場、「ヤクルト」1本に対して企業が一体となって取り組む意識の高さを感じました。

●31の国と地域で毎日2500万本の「ヤクルト」が飲まれているのは驚きでした。また、見学コーナーで各国のコマーシャルを見られたことは、とても楽しく「世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献」という企業理念を感じることができました。70年以上も続いている「代田イズム」、これからも大切に育てていってほしいです。これからは、生産者と消費者の信頼感がとても大切だと思います。

お問合せ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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