企業と生活者懇談会
2007年12月12日 神奈川
出席企業:味の素
見学施設:川崎事業所

「工場見学を通じた食の安全への取り組みについて」

2007年12月12日、味の素(株)川崎事業所(神奈川県川崎市)で「企業と生活者懇談会」を開催しました。社会広聴会員19名が参加し、同社の事業概要、事業所および併設する工場の概要について説明を受けた後、工場を見学しました。その後、質疑懇談を行いました。
味の素(株)からは、川崎事業所の永井敬祐食品カンパニーバイスプレジデント川崎事業所長、総務・エリア管理グループの宮本太グループ長、武田純一部長、杉本佳史課長、目黒孝哉課長、川崎工場の岩本靖士工場戦略グループ課長、本社の重宗之雄調味料部調味料事業グループ部長、古川光有加工食品部企画・開発グループ課長、坂本浩子食品統括部品質保証グループ課長、上田要一品質保証部品質保証推進グループ長、三谷幸生環境・安全部部長、広報・CSR部の後藤隆穂部長、中尾洋三部長、中宮大介課長、渡邊裕見子氏、川崎駐在の大前朋子氏が出席しました。
味の素からの説明
■味の素(株)の歩み■
 旧東京帝国大学の池田菊苗博士は、ドイツ留学の際、それまで見たこともなかったトマト・チーズ・アスパラガス・肉などの食材や料理に出会い、甘味・酸味・塩味・苦味以外に「何か別の味」、しかも共通した味があると考えました。帰国後、昆布だしに、その共通の味を強く感じ、その味の成分の研究を始めました。その結果、1908年(明治41年)、昆布の味の成分が、アミノ酸の一種である「グルタミン酸」であることを発見し、その独特の味を「うま味」と命名しました。さらに、うま味物質のグルタミン酸を主成分とした調味料の開発に取り組み、1909年(明治42年)、それをうま味調味料として世の中に送り出したのが味の素(株)の始まりです。この発明は、日本の10大発明のひとつになっているものです。
 うま味調味料「味の素」は、昆布のうま味成分から発見されたものですが、昆布から抽出すると2.4kgの大量の昆布から、6gほどの「味の素」しかつくれないため、現在では、サトウキビからとれる糖蜜などを原料に発酵法で生産しています。
 同社は今年(2008年)、うま味発見100周年、翌年に創業100周年を迎えます。この節目に「うま味」を起点に事業展開してきた味の素グループの社会的存在価値を再確認し、次の100年に向けて、食と健康を通じて世の中に貢献すべく取り組みを進めています。

■味の素グループの事業概要■
 味の素グループは、23の国と地域で様々な事業を展開しています。2006年度(平成18年度)の連結売上高は、1兆1585億円、従業員数は2万 4733名(男女比約3対2)で日本を代表する総合食品メーカーです。
 地域別売上高は、日本70.2%、アジア11.6%、米州8.0%、欧州10.1%で、生産拠点は16の国と地域にわたり102の工場が世界で稼動しています。
 味の素グループは、食品事業、アミノ酸事業、医薬事業、健康事業の4つを基幹事業としています。食品事業は、「味の素」「ほんだし」「Cook Do」といった調味料とスープ類、マヨネーズ類、冷凍食品などを主要製品とする事業です。
 アミノ酸事業は、アミノ酸の研究で培われたノウハウから事業展開しているものです。医療現場で栄養価値が認められた分岐鎖アミノ酸(BCAA)を商品化した「アミノバイタル」や美容価値に追求する化粧品ブランド「Jino」や飼料用アミノ酸などの製品を扱っています。
 医薬事業は、アミノ酸に関する豊富な知見と技術を医薬分野に生かした事業です。アミノ酸を主体とした医薬品へとつくりあげていく「アミノ酸創薬」のほか、「トータル・ニュートリション・ケア」も推進しています。これは、予防栄養から治療、予後まで、患者様のトータル栄養管理を進めるもので、医薬品、食品といった従来の枠組みを越え、患者様の生活の質(QOL)向上に貢献しようとする事業です。
 健康事業は、食品事業、アミノ酸事業、医薬事業で培ったヒトのからだ、食、素材についての知見を結集し、いのちの基盤的な機能に働き掛け、本来持っている健康に生きる力を引き出すという、新しい視点で展開する事業です。
 味の素グループは「食」にかかわる企業として、「食」に関する教育、食育活動に力を入れています。従業員が小・中学校などに出向き、おいしさや味の秘密を伝える授業を行うほか、小学校を対象に、自ら作物を苗から育て収穫・調理する「食のガーデン」をNPOと共同で取り組んでいます。昨年(2007年)は 175校の参加がありました。

■川崎事業所について■
 川崎工場は、1914年(大正3年)に創業を開始しました。現在では、川崎事業所エリアと呼ばれており、東京ドーム8つ分に当たる約10万坪の敷地面積を有し、約3500名が日々仕事に従事しています。
 川崎工場には、「味の素」「ほんだし」「Cook Do」の製造工場などがあり、業務用も含め、年間約1700アイテムを生産しています。また、同エリア内には、5研究所5センターを有し、研究開発のグローバル拠点でもあり、味の素(株)の基幹エリアとなっています。
 川崎事業所長と参加者の皆さんが昼食を取りながら懇談する様子(昼食は「ほんだし」「Cook Do」など自社製品を使用したメニュー)川崎事業所は、地域社会との信頼関係を構築したいという思いから、情報公開、工場見学を積極的に進めています。「ほんだし」「Cook Do」工場は、事前に申し込みすれば、見学することができます(工場見学の内容はホームページでご覧いただけます。 http://www.ajinomoto.co.jp/kawasaki/)。
 「ほんだし」の原料がかつお節であることや、品質や環境への取り組みを理解していただくため、2007年9月、「ほんだし」の製品改訂とともに見学通路も大幅リニューアルしました。同年の工場見学来場者数は約2万5000人に上りました。また、環境への取り組みを近隣住民の協力を得て推進することを目的に環境モニター制を導入し、企業と地域社会の意見交換会も定期的に実施し、社会との対話を進めています。
味の素への質問と回答
社会広聴会員:
「Cook Do」に使うニンニクやショウガなどの食の安全に対する具体的な取り組みとそれに掛かるコストなどについて教えてください。
味の素:
当社は、ニンニク、ショウガなどの原料について、確実に安全を確認しています。例えば、契約した農場が使用する肥料や農薬、つくり方をすべてチェックした上で納品されるシステムをつくっています。したがって、コストが高いからといって、安全を無視することは、一切ありません。求めているのは、おいしさです。おいしいニンニクやショウガでなければ、おいしい「Cook Do」はできません。皆さんが食に不安を抱くような原料を使ったら、将来がありません。安全を確認して原料調達をしていますので、製品については安全であると信じていただきたいと思っています。
 
社会広聴会員:
「ほんだし」の原料であるかつお節が、品質管理の規格に合わないケースはあるのでしょうか。それは、どのような理由なのでしょうか。
味の素:
一部のかつお節の保存が悪く、雑菌汚染で規格外になることはありますが全体の0.01%もありません。皆さんが心配されている重金属などの海洋汚染物質ではありません。重金属に誤解があるといけませんので申し上げますと、皆さんが食卓で召し上がっているカツオには重金属が入っています。ヒ素も入っています。ただし、それはものすごく微量で、その量で人間に害を及ぼすことはありません。
 
社会広聴会員:
遺伝子組み換え作物についての考え方を教えてください。
味の素:
遺伝子技術を使って生産する食物は、今後大いに人類に福音をもたらす可能性がありますが、一方で皆さんがご心配しているようなことが起こる可能性も否定できません。当社では、国際的ないろいろな機関で安全が確認されていないものは一切使用していません。
 
社会広聴会員:
川崎事業所における環境モニターについて詳しく教えてください。
味の素:
モニター制度は、4年ほど前から導入しています。近隣で愛される工場になることに力を入れて取り組んでいるものです。現在、工場に隣接している川崎地区の6町内会、大田区六郷特別出張所管内の6町内会、計30名の方にモニターを委嘱しています。モニターの方には、工場の中を歩いていただき、製造施設・環境対策施設などの見学、環境測定機器での実測体験などを通して、環境の取り組みを理解していただいています。生産活動に伴う臭気についてお問い合わせを多く受け付けており、モニター様のご意見を参考にさせていただきながら改善につなげています。
 
社会広聴会員:
食育活動を通じて、どのようなメッセージを伝えようとしているのですか。
味の素:
私たちには「おいしさ」の秘密や日本の食文化を伝えたいという思いがあります。その中で、「うま味」や「だし」を伝えるために、小学校の先生と協力して、味覚教室という活動を行っています。この活動には、「味の素」という商品名は一切出していません。  日本食のだしは、海外でも評価されています。「うま味」「だし」を理解することにより、私たちの日本食文化を誇りに思ってもらえたら、と願っています。
 
参加者の感想から
●想像以上に企業の方が多く参加してくださったことは、消費者との双方向のコミュニケーションを取ろうとしている会社の姿勢が感じられました。

●「安全」という面でコストを切り詰めるということは全くなく、むしろ「うま味」との戦いである、というご説明は、非常に“腑に落ちる”ものでした。

●日ごろから、真面目に広報活動に取り組んでいる企業だと思います。私は、企業研修に携わっていますが、体験したことを、CSの事例として活用させていただこうと思っています。

●辛口の意見が噴出していました。一連の食品偽装事件などで生活者はもうだまされないのだという強い姿勢があったからでしょう。食品業界は食に対する信頼を回復しなければ「うちは大丈夫です」と言っても、駄目なのだと思いました。

●敷地内には緑が植えられて、近隣住民だけでなく従業員に対する環境にも配慮していると感心しました。

●サトウキビから「味の素」がつくられ、かつお節から「ほんだし」がつくられていることを聞き、さらに安心感が広がりました。
お問合せ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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