危機管理

『経済広報』(2020年7月号) 掲載

未曽有の事態を乗り切るために

 新型コロナウイルス感染症により、あらゆる現場で未曽有の事態が続いている。当然ながら広報活動もそのひとつである。今まで当たり前に実施していた記者会見や取材も従来通りというわけにはいかない。前例のないことが連続する日々、そんなとき、どうすればよいか。
 もちろん、PR会社をはじめとするプロフェッショナルを頼ることは有効だ。しかし、どのような広報活動をしたいのか、という意思決定をしないことには始まらない。過去に誰も経験したことのない状況下である現在、最も頼りになるのは、広報同士の横のつながりである。「同業他者(“同じ業務”に向き合う他者)」だ。
 経済広報センターには業界団体ならびに企業の広報部長が集う「事業企画委員会」が、当協会などの各業界団体においては会員企業の広報幹部が集う委員会が設置されている。そこで得られる横のつながりは実に貴重だ。利害関係なしに、困った時には互いに相談できる。今回の危機的状況下において、同じ課題に向き合っている者同士だからこそ相談できる案件が幾つもあった。オンラインによる記者会見の反応は? システムの使い勝手は? 質疑応答はどうだった? 舞台裏で発生して困ったことは? など、どれも本来は一切表には出てこないトピックばかり。こうした他者の知見が、必要となる意思決定を助けてくれる。
 広報もPRも重要なことは「人と人との信頼関係」に他ならない。信頼関係は一朝一夕で構築できるものではないからこそ、つながりは何よりも大事にしたいものである。危機の時に頼れるのは、平時における信頼の積み重ねがあればこそである。まだまだ先を見通すのが困難な日々が続きそうだが、未曽有の事態に向き合う時だからこそ、改めて、頼れる「同業他者」の存在に感謝したい。

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