経済広報

『経済広報』(2012年6月号)掲載

ソーシャルメディア時代の広報(12)
ソーシャルメディアを活用し、顧客と共に商品を開発

(株)ファミリーマート

 ファミリーマートがソーシャルメディアを活用し始めたのは、2009年12月。商品プロモーションの一環としてツイッターの公式アカウントを開設した。当初は期間限定のキャンペーンとしてアカウントを運営したが、顧客からの反響が大きく、アカウントを常設することに方針を変更した。続いて2011年5月にフェイスブック公式ページ、同年8月にミクシィ公式ページを開設し、現在ではモバイル専用のモバゲー、グリー、アメーバなどの公式ページを加えた8つのアカウントを運営している。

顧客からアイデアを募集して商品開発

 同社は、ソーシャルメディアを活用して幅広い顧客からアイデアやメッセージを募り、商品開発やマーケティングに活用している。

facebookおむすびポスター
「フェイスブック みんなで作るおむすび選手権」(アイデア投稿受付期間2011年11月1~21日)
 顧客からおむすびの具のアイデアを募集し、商品化する企画。2010年にツイッター上で同キャンペーンを実施しており、近年利用者が急増しているフェイスブック上でも行うことになった。
 この企画では1000件以上のアイデアが寄せられ、社内での一次審査を経て選定された30のアイデアの中から顧客による人気投票を行い、最終的に「なめたけマヨおむすび」「チーズ焼きカレーおむすび」など、4つが商品化された。
 ツイッターでのキャンペーンは、ツールの特性上、不特定多数に情報が拡散されるため、多種多様な投稿が数多く集まった。一方、フェイスブック上のキャンペーンは、“家族に食べてもらいたいおむすび”、“自分が食べたいおむすび”など、テーマを決めてアイデアを募集したところ、思いが込められた丁寧なメッセージが多く集まる傾向があったという。

「グリー×ファミリーマート×カルビー ポテトチップス企画」(アイデア投稿受付期間2011年11月7~14日)
 グリーとカルビーとの共同企画。3000万人以上の会員を有するグリーのユーザー参加型の商品開発企画として、「みんなが好きな味のポテトチップスをつくろう!」をテーマに、グリーのユーザーからアイデアを募集し、商品化するもの。商品のアイデアからパッケージデザインまでの工程にユーザーが参加して展開した。5600件以上のアイデアから「カルボナーラ」「ハンバーガー」「カレー」の3つで決戦投票を行い、「カルボナーラ」に決定。パッケージデザインもグリーユーザーの人気投票で決定した。

「楽天レシピ×マンナンヒカリ×dancyu×ファミリーマート」(レシピ投稿受付期間2011年12月12~28日)
 これは楽天と大塚食品との共同企画である。ユーザーが自由にレシピを投稿・閲覧できるサイト「楽天レシピ」上で、大塚食品のこんにゃく加工食品「マンナンヒカリ」を使った弁当レシピを募集し、商品化するキャンペーン。1万8000件以上のアイデアが集まり、料理専門家の審査を経て、グルメ雑誌『dancyu』監修の下、「プルコギ丼」「韓国風!豚バラ焼肉丼」の、2つの弁当を商品化した。

 ファミリーマートは、グループインタビューや試食会を開催して、これまでも顧客の声を聞いて商品開発を行っていた。ソーシャルメディアを活用することで、全国の幅広い顧客からナマの声を聞くことが可能になり、顧客のニーズをより反映した商品開発ができるようになったという。
 また、積極的な他社とのコラボレーションにより商品を開発することで、他社のファンも巻き込んだキャンペーンを展開することができるようになり、ブランド構築の相乗効果を期待している。

シニア層にもアプローチ

 同社は2012年4月、ディー・エヌ・エーが運営する、大人のためのコミュニティーサイト「趣味人倶楽部」(しゅみーとくらぶ)にも公式ページを開設した。ソーシャルメディアは比較的若い世代が利用しているが、同サイトは50歳代以上の会員が70%以上を占め、シニア世代の利用者が非常に多い。
 「趣味人倶楽部」の会員になると、自分の趣味や関心を持つ活動に関して、同サイトのユーザーと情報を共有したり、ハイキングやバーベキューなど、自らイベントを主催したりすることもできる。ファミリーマートが同サイト上で展開する公式ページも、昭和歌謡のチケット情報や健康を意識した弁当の紹介など、ユーザーの世代を意識した内容となっている。
 一方、若年世代向けには、モバゲー、グリー、アメーバをプラットホームとした会員制のモバイルサイトで日記の配信や、ブログの公開を行い、商品やサービスのブランド認知を高めている。

運営体制・課題

 ソーシャルメディアのアカウントの運営は、同社のマーケティング室の数名で行っている。マスコミ向けのニュースリリースは広報・IR部が作成しているが、顧客向けの情報は、ソーシャルメディア上のユーザー向けに編集し直して発信している。加えて、キャンペーン情報のほか、新商品やサービス、被災地支援情報などを随時発信している。
 同社は、「日々、新しくなっていくソーシャルメディアをうまく活用し、顧客と絆をより深めるためにできることを考え、積極的に挑戦していきたい」(担当者)と話している。
(文:国内広報部専門研究員 佐々木光寿)
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