経済広報

『経済広報』(2013年10月号)掲載
マスコミとの付きあい方 第1回
山見 博康
広報は「窓口」にあらず
岡田 晃(おかだ あきら) 大阪経済大学 大学院客員教授 経済評論家
 いきなりで恐縮ですが、各企業の広報担当者の皆さん!「広報はマスコミの取材窓口」と思っていませんか。
 たしかにその通りではあります。しかしその考えを捨ててほしいのです。連載開始にあたり、まずそのことを強調したいと思います。
 私は日本経済新聞の産業部記者を経て、テレビ東京のWBS(ワールドビジネスサテライト)などのコメンテーターやプロデューサーを務め、長年にわたり数多くの企業を取材してきました。日経に入社したばかりのころは、まだ広報部や広報課のない企業が数多くあり、専任の広報担当者を置いていない企業も少なくありませんでした。そのような時代は、社内のどこかに「マスコミの取材窓口」があれば事足りていたかもしれません。
 しかし今はそのような時代でないことは言うまでもありません。企業は、できる限り情報を開示していくことが求められており、広報の重要性は増すばかりです。
 こうした状況において、「取材窓口」という考えをしていると、受け身の発想になりがちです。マスコミから取材の申し込みがあったらそれをセットするという発想にとどまるのではなく、企業の側から積極的に情報を発信していく「攻めの広報」が必要です。広報部はそうした情報発信を担う前線本部なのです。
 広報部・課が発信する情報の多くはメディアを通じて、消費者や顧客、投資家、地域社会などに届けられます。それが商品の売り上げや業績、株価などに影響し、企業イメージや企業ブランドの向上にも繋がるわけで、広報は企業戦略の柱となるものです。
 そこで、どのような情報を、どのように発信するかが広報担当者の腕の見せどころになるでしょう。メディアを上手に活用して、効果的に情報発信することに知恵を絞ってみてください。
 企業からの積極的な情報提供は、メディアの側も歓迎です。もちろん個々の情報について、価値判断はそれぞれのメディアが自主的に行いますが、広報担当者との信頼関係を築くことを望んでいます。
 もうひとつ、私が重視している点があります。経済広報センターが毎年発表している「生活者の“企業観”に関するアンケート」によると、「企業を信頼できる」「ある程度信頼できる」と答えた人の割合は、2010年度の51%から、2011年度43%、2012年度39%と、2年連続で大幅に低下しています。
 企業への信頼感は、資本主義経済の健全な発展の基盤となるものですが、その信頼感がこれほど低下しているのは憂慮すべき現象だと思います。その意味で、普段から積極的な情報発信を行うことを通じて、企業への信頼感を高める努力は、社会的にも極めて重要です。
 このように広報の果たす役割は大きいものがあります。自社の広報効果を高めるだけでなく、社会的な意義も大きいということを、ぜひ意識してほしいと思います。 
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