経済広報

『経済広報』(2013年11月号)掲載
メディアに聞く
通信社の編集委員の仕事とは
渡部 道雄 1984年、共同通信社に入社。佐賀支局、大阪経済部を経て東京経済部に異動。エネルギー、大蔵省、外務省、通産省、首相官邸、郵政省などを担当。経済ウイークリー編集長、福井支局長を経て2013年4月から現職。
渡部 道雄(わたなべ みちお)(一社)共同通信社 編集委員・論説委員
共同通信社の組織とニュースの流れについて。
渡部 共同通信社には札幌や福岡などの中核都市に6支社があり、各県などに46の国内支局がある。海外にも42の支局がある。職員は約1600人で、うち記者は約1080人。
 記事や写真は、政治部や経済部、社会部などの出稿部経由で、国内支局の分は支社経由で、海外支局の分は外信部経由で、本社の編集局ニュースセンターに集まる。
 そこで「新聞向け記事」「多メディア向け記事」「ビジュアルコンテンツ」「映像音声コンテンツ」に編集される。その後、「新聞紙面用コンテンツ」と電子メディアや電子媒体用の「多メディア用コンテンツ」に分けられ、加盟・契約している新聞社や加盟社のウェブサイト、官公庁・一般企業や電子メディアに配信される仕組みだ。
編集局の組織体制は。編集委員室・論説委員室はどんなところか。
渡部 いわゆるストレートニュースを扱うのが政治部や経済部、外信部、社会保障室、運動部、科学部、文化部など。社会保障室は年金、介護、医療、福祉など社会保障を主要テーマに取材している。少子高齢化の進展で、読者ニーズが高いため数年前に新設された。
 特徴的なのは総合選挙センターとスポーツデータ部、経済データ部がある点だ。総合選挙センターは国政選挙以外の時期でも常設され、選挙報道のインフラ(候補者名簿など)の管理や、世論調査、出口調査を行っている。
 スポーツデータ部は、プロ野球やサッカー、オリンピックなど全スポーツの記録を蓄積しながら送信する。経済データ部は株価や企業の決算・人事情報など膨大なデータを蓄積・更新しながら最新情報を配信している。
 編集委員室は、ストレートニュース以外の企画記事や特集記事を発信している。1年間続く「大型通年企画」や話題の人を毎日取り上げる「時の人」、著名人の評論などオピニオン欄や子ども欄向けの企画など多彩な出稿をしている。豊富な取材経験や専門知識を持つ、各部の部長・デスク・特派員経験者らが編集委員を務めている。
 論説委員室の専任は6名だが、兼任を含めると30名を超え国際、政治、経済、社会情勢、地方自治、社会保障、運動、科学、文化と多岐にわたるテーマを取り上げて論評している。
編集委員室・論説委員室で企画や論説の内容はどのように決まっているのか。
渡部 長年にわたり継続している「時の人」などの企画もあるが、基本的には年に1度見直している。
 最近では医療情報に関する特集が注目を集めており、「医療新世紀」(毎週送信、190行)などの企画はほとんどの新聞で取り上げられている。また、新聞を通じて子どもの読解力・知識力を向上させるための子ども向け企画(NIE、新聞を活用した教育)の充実も図っている。「生きもの大好き」(毎週送信、50行)はそのひとつで、かわいらしい写真を添えて動物を紹介する好企画だ。
 また、時代のトピックに合わせた企画も好評だ。私は「経済の争点」(月1回送信、200行)という企画を担当しているが、TPP(環太平洋経済連携協定)をにらんで「変わるコメ勢力図」と題し、日本でのコシヒカリに代わるブランド米の開発競争の最新事情をリポートした。
 論説委員室では毎日編集会議を行っており、1週間分の出稿内容を決めている。ただ、米国によるシリア攻撃など、大きな事件・事故が発生すれば、その論評を優先して執筆し配信する。論説委員室も当然、生ニュース対応に重点を置いている。
(聞き手:国内広報部長 佐桑 徹)
(文責:国内広報部専門研究員 鈴木恵理) 
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