経済広報

『経済広報』(2015年5月号)掲載
第12回企業の広報活動に関する意識実態調査

グローバル広報の強化などにより業務量が増加
~社内広報はイントラネットの活用が増加~

 経済広報センターは、1980年から3年ごとに「企業の広報活動に関する意識実態調査」を実施しており、2014年10月から11月にかけて第12回調査を行った。企業を取り巻く環境の変化に伴い、広報活動に関する企業の意識や実態がどのように変化しているかを捉え、今後の広報活動に関する指針を得ることを目的としている。
 経済広報センターならびに経団連の主要会員企業534社の広報担当責任者を対象に実施(郵送調査)し、有効回答数は231社(回答率43.3%)だった。

全体概要

 今回の調査では、企業活動の一層のグローバル化や事業の拡大などに伴い、企業の広報活動に求められることが、より広範化していることが明らかになった。報道関係者(マスコミ)への対応や社内広報の重要性は変わらないものの、海外拠点もしくは海外向けの広報活動による業務量の増加や、ソーシャルメディアの多様化、危機管理などから、よりスピーディー、かつきめ細かな対応が必要とされていることが分かった。
 広報部門に求められる役割は大きく、様々な伝達手段を駆使しながら、早期および適切に伝達していくことが、今後も広報活動の上で重要といえるだろう。

広報部門で対応している広報活動

広報部門の主な業務は「報道対応」「社内広報」
 広報部門で対応している広報活動は、「報道対応」が99.6%で、「社内広報」が93.9%と続く。この2つの業務が、ほとんどの企業で広報部門の主要業務に位置付けられている。このほか、過半数の企業で広報部門が対応しているのは、「危機管理」(61.0%)、「広告・宣伝活動」(60.6%)、「社外情報の収集(広聴活動など)」(58.4%)、「ブランド戦略の推進(55.0%)」の4項目である。前回調査(2011年度)と比べ、5ポイント以上増加した業務は「CSR対応」(36.8%)、「ソーシャルメディア」(30.3%)だった。
<図1>広報部門で対応している広報活動(複数回答)

広報部門の組織

広報部門の業務量、人員は増加傾向、予算は減少傾向

 広報部門全体の業務量は2013年度に比べ「増加」が43.3%、「横這い」が51.1%、「減少」が4.3%と増加傾向が見られた。前回調査と比較すると「増加」が減り、「横這い」が増えたことが分かるが、業務量は増加傾向といえる。
 業務量が増加した理由は「グローバル広報の強化」が最も多かった。また「事業拡大/グループ企業の増加・統合」「記事発信・メディア対応」なども業務量増加の理由として多かった。
 広報部門の担当者数は、2013年度に比べ「増加」が21.2%、「横這い」が65.4%、「減少」が13.4%であり、前回調査と同様に増加傾向が見られるが、予算の増減では、「増加」17.7%、「横這い」61.9%、「減少」18.2%だった。

<図2>広報部門の業務量の対前年度比増減(単一回答)

広報の対象、活動

より重要視される報道関係者(マスコミ)対応

 企業が重視している広報活動の対象(上位3つを回答)については、「報道関係者(マスコミ)」を挙げる企業が79.2%と突出して多く、次いで「株主、投資家」(43.7%)、「社員、グループ会社社員」(42.4%)だった。

<図3> 重視する広報活動の対象(「最も重視」「次に重視」「3番目に重視」合算)

社内広報

社内広報ツールは「イントラネット」の活用割合が増加

 社内広報の媒体としては「イントラネット」(90.5%)、「社内報(紙・誌)」(87.9%)が多く、これらが社内広報の2大媒体となっていることに変わりはないが、今回調査では「社内報(紙・誌)」よりも「イントラネット」の活用割合が高くなっている。
 ほかの媒体では「ビデオ/DVD」(34.2%)、「掲示板(はり紙)」(24.7%)となっている。
 「社内報(紙・誌)」の発行頻度は、「隔月刊・季刊」(50.2%)と「月刊」(29.4%)が中心であるのに対し、「イントラネット」は毎日更新している企業が23.4%である。多くの企業では、速報性に優れている「イントラネット」と、定期発刊される「社内報(紙・誌)」のそれぞれの長所を生かし、目的や内容に応じて使い分けている。

<表1>社内広報媒体の発行・更新頻度(単一回答)

海外広報

東南アジア重視が大きく高まる

 広報活動が必要な海外の関係会社、支社を持つ企業は全体の55.8%であり、そのうち現地に専任広報担当者が「いる」企業は30.2%(全体の16.9%)だった。
 海外現地で使われている広報メディアとして多かったのは「新聞」(70.5%)、「企業ウェブサイト」(67.4%)、「雑誌」(50.4%)だった。
 今後、海外広報活動を重視する地域については、前回調査では「中国」が最も高かったが、今回調査では「東南アジア(ASEAN)」が最も高く74.4%であり、「中国」は49.6%だった。続いて「北米」(48.1%)、「欧州」(34.9%)の順だった。

<図4>今後、海外広報活動を重視する地域(複数回答)

ウェブ広報

約半数の企業でソーシャルメディアを活用

 ほぼすべての企業(99.1%)が自社ウェブサイトを開設しており、76.6%の企業で広報部門が主担当として運営している。ソーシャルメディアについては、「活用している」と回答したのは約半数の48.5%で、前回調査の33.8%から14.7ポイント増えた。
 活用しているソーシャルメディアとしては「Facebook」(65.2%)が最も多く、「Twitter」(41.1%)、「YouTube」(36.6%)が続いた。「Facebook」(8.2ポイント増)、「YouTube」(11.3ポイント増)が前回調査と比べて増加しているのに対し、「Twitter」(23.5ポイント減)、「ブログ」(22.4ポイント減)は減少した。

<図5>利用しているソーシャルメディア(複数回答)

 ソーシャルメディア活用の中心となっている部門としては、「広報部門」が最も多く30.4%、次いで「広告・宣伝部門」25.9%だった。

<図6> ソーシャルメディアの活用の中心となっている部門(単一回答)

 広報部門でのソーシャルメディアの活用目的は、「企業の認知度向上」(32.1%)、「顧客とのコミュニケーション」(31.3%)などが挙げられている。<図7>

<図7> 広報部門でのソーシャルメディアの活用目的(複数回答)

グループ広報

グループ広報の実施目的は、「経営方針、経営情報などのグループ内共有化」

 グループ広報は全体の65.8%で実施されており、「国内でのみ実施している」が29.4%、「国内、海外、統一的に実施している」が22.5%、「国内、海外、それぞれで実施している」が13.9%だった。
 グループ広報の主な目的について、「経営方針、経営情報などのグループ内共有化」が最も多く、国内は64.5%、海外は72.6%。次いで多かったのは「グループ内コミュニケーションの推進」で、国内は55.3%、海外は56.0%だった。海外では「グループ社員としてのアイデンティティの醸成」の割合も高く、半数を超える53.6%だった。

<図8> グループ広報の主な目的 国内・海外別(3つまでの複数回答)

広報部門における危機管理

危機管理体制の強化傾向

 広報部門での危機管理の取り組み内容としては、「広報部門スタッフが危機管理に関する勉強会などに参加している」が最も多く、前回調査から8.6ポイント増加して74.0%だった。また、「広報部門が社内の『危機管理委員会』のメンバーになっている」が71.0%、次いで「広報部門に『危機管理マニュアル』がある」が64.9%だった。「トップ・役員への緊急時のメディアトレーニングを実施している」(45.5%)は前々回調査(2008年度)から増加傾向であり、前回調査と比べて6.6ポイント増加した。

<図9> 広報部門の危機管理体制・対応(複数回答)

統合報告書の発行

統合報告書は半数の企業で発行もしくは発行を検討

 統合報告書について「発行している」が16.5%、「発行していないが、検討している」が31.6%、「検討していない」が39.8%だった。

<図10>統合報告書の発行(単一回答)

掲載データは小数点以下第2位を四捨五入しており、合計が100%とならない場合があります。
詳細については『第12回 企業の広報活動に関する意識実態調査報告書』(3000円、税・送料込)をご参照ください。お問い合わせは、経済広報センター国内広報部(03−6741−0021)まで。
文:国際広報部主任研究員 伊藤貴範
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