経済広報

『経済広報』(2017年2月号)掲載
メディアに聞く

目に見えないものをどう伝えるか

松原文枝

松原 文枝(まつばら ふみえ)
(株)テレビ朝日 経済部長

入社以来、どのような仕事をされてきましたか。
松原 1991年に入社し、92年に政治部。その後、経済部では3年間、経産省と兜クラブを担当し、日米自動車協議などを取材しました。2000年から、「ニュースステーション」と「報道ステーション」でディレクター、2012年からプロデューサーを務め、15年間番組づくりをしていました。
記者として取材するのと、制作側では異なることも多いのではないですか。
松原 自分では同じだと思っています。記者は、スクープを狙います。これは、ものごとの真相に迫りたいからです。番組制作の立場も真相に迫るためには、ふだん取材をしていないとできません。チームで取材・制作することで、1の力を10にも100にもできます。
普通のニュース番組と「報道ステーション」でスタンスに違いはありますか。
松原 視点は同じですが、「報道ステーション」では、より多角的に深く放送します。普通のニュースでは1分か2分の短いものでも、報ステでは、ひとつのVTRを長く展開するので、よりニュースの本質に迫ることを心掛けています。
どのようなスタンスで報道するよう心掛けていますか。
松原 社会が変容しようとしているときに、何が起きているのか、この先に何が起き得るのかを伝える。政策の議論が十分になされない、または、公開されていないことが最近多いのですが、問題点をしっかり伝えていく。メディアとして、権力を監視していくのは当然です。いつ、誰が、どのように発言し、それが決まったのかをきちんと伝えていきたいと思っています。問題によっては、何度も何度も繰り返し報道します。
現在の関心事は。
松原 トランプ政権ですね。中国とどう付き合うのか。それが日本にも影響します。エネルギー、原発、憲法改正、安保にも関心を持っています。昨年3月に、「報道ステーション」で、ワイマール憲法の特集を企画・制作しました。古舘伊知郎さんが交代する直前でした。最も民主的だとされたワイマール憲法の教訓は、国家緊急権というひとつの条文が悪用されたため、ナチ独裁に繋がり、憲法が変質してしまったことです。つまり、たかが条文ひとつではないのです。一般の人たちに、世の中の目に見えないものをどう伝えていくか。テレビメディアは、そうした問題を伝え、予見しなければならないと思います。トランプ大統領がどうなっていくのか、原発も安保も憲法改正も表面的に伝えるのではなく、真相や背景をメディアは伝えなければなりません。
(*2016年のギャラクシー大賞、日本ジャーナリスト協会賞を受賞)
最後に、経済部の取材体制を教えてください。
松原 経済部は、14人体制です。現場記者は、官庁チームが5人、民間チームが5人。大手新聞社に比べると人数が少ないので、その時々の重要テーマには、記者を集中的に投入します。
聞き手:常務理事・国内広報部長 佐桑 徹
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