企業と生活者懇談会
2024年3月7日 神奈川
出席企業:いすゞ自動車
見学施設:いすゞプラザ

「いすゞ自動車と人々の暮らしの関わりを、見て・触って・体感しよう!」

3月7日、いすゞプラザ(神奈川県藤沢市)で「企業と生活者懇談会」を開催し、社会広聴会員14名が参加しました。まず、いすゞ自動車から、会社概要と80周年記念事業の一環として設立された同施設の概要について説明を受けた後、「『運ぶ』を支えるいすゞ」「いすゞのくるまづくり」「いすゞの歴史」の3つの展示エリアを見学しました。また、世界中で使用されているトラック・バスの試乗や、ドライブシミュレーターでの大型トラック運転などを体験し、最後に質疑懇談を行いました。
いすゞ自動車からは、広報部ブランド戦略企画グループシニアエキスパート植原浩一氏、同部同グループシニアエキスパート阿部憲介氏、同部広報グループ加納周治氏が出席しました。

いすゞ自動車からの説明

■いすゞ自動車の概要
 いすゞ自動車は、現存する国内の自動車メーカーの中では最古の歴史を持ちます。起源は日本の自動車文化の黎明期、3つの源流である東京石川島造船所・東京瓦斯電気工業・ダット自動車製造から始まり、1937年に東京自動車工業として創立しました。1949年に商号を現在の「いすゞ自動車」に変更し、今日に至るまで商用車分野のグローバルリーディングカンパニーとして日本の発展に貢献し、数多くのトラックやバスを生み出してきました。同社の工場は、日本国内には2カ所あります。藤沢工場では大型・中型・小型トラックの製造や研究開発業務を行っており、栃木工場ではエンジンを製造しています。海外でも開発・生産・販売を行っており、世界中の人々の暮らしを支える車づくりを進めています。現在の商品には、小型トラックの「エルフ」、中型トラックの「フォワード」、大型トラックの「ギガ」、路線バスの「エルガ」、観光バスの「ガーラ」、連節バスの「エルガデュオ」、海外向けピックアップトラックの「D-MAX」、その派生車の「MU-X」などがあり、国内外で絶大な信頼と人気を獲得しています。また、他社に先駆けて産業用ディーゼルエンジンの生産に取り組み、1952年に発売を開始しました。建設機械や発電機用にエンジンを提供し、多くの産業機械メーカーに使用されています。
 同社は、環境負荷を低減するハイブリッド車や天然ガス自動車、電気自動車などの開発・生産にも力を入れています。2020年3月には「いすゞ環境長期ビジョン2050」を策定し、2050年の社会が豊かで持続可能な社会であるために、気候変動対策、資源循環推進、環境リスク予防/対策、生物多様性保全の4つの重点課題の解決に向けた活動をしています。製品・サービスのカーボンニュートラル化を目指して次世代エネルギー技術の開発を行っているほか、長期的な視野で地域や社会に参画し調和を図ると同時に、社会の持続的発展に向けた取り組みを続けていくとしています。
 いすゞ自動車は「地球の『運ぶ』を創造する」というパーパス(使命)のもと、お客さまやパートナーと、地球上の全てのモノ・人の「運ぶ」を創造するとともに、カーボンニュートラルへの取り組みや、進化する物流への貢献をイノベーションの基軸として、これからも挑戦を続けます。

 

■いすゞプラザの概要・特徴
 いすゞプラザは、いすゞ自動車創立80周年記念事業の一環として、2017年4月に藤沢工場の隣接地に開館しました。商用車の役割や「運ぶ」を支えるいすゞ自動車の車づくりと稼働サポート、歴史などを紹介し、同社をより身近に感じられる施設です。モノづくり教室や施設のガイドツアーなどを開催しており、地域のコミュニティーをつなぐ役割も担っています。
 施設には、同社のデザインフィロソフィー(哲学)である「HEXA-POD(ヘキサ・ポッド)」という、硬:Solid・潔:Clean・動:Emotionalをコンセプトにデザインされた、商用車メーカーらしいダイナミックで洗練された空間が広がっており、外観・内装からも同社の世界観を体感することができます。
 展示エリアは「『運ぶ』を支えるいすゞ」「いすゞのくるまづくり」「いすゞの歴史」の3つで構成されており、国内最大級のジオラマや技術力が集約されたエンジン、歴代の名車や世界中で活躍するトラック・バスなどを見学しながら、同社の取り組みについて学ぶことができます。
 施設には、一般の方も利用可能な宿泊施設「PLAZA annex」とカフェレストラン「SAKURA cafe」が隣接しています。カフェでは桜の木が植えられた庭を眺めながら食事を楽しむことができ、晴れた日には屋外のテラス席も使用できます。

見学の様子

■展示エリア「『運ぶ』を支えるいすゞ」
 世界中で活躍するいすゞ自動車の姿を様々な角度から紹介しています。
 入館するとまず見えてくるのは、同社が初めて生産したトラック「ウーズレーCP型」です。国内に現存する最古のトラックで、日本の産業近代化に貢献したとして、経済産業省が認定している「近代化産業遺産」に登録されています。利用されなくなった車両を動作可能な状態で保存しておく「動態保存」がされており、現在も走行が可能で、藤沢工場内を走行している映像を見ることができます。
 「いすゞミニチュアワールド」は、トラック・バス・産業エンジンなど日々の暮らしを支える同社の製品と社会との関わりを、国内最大級のジオラマを眺めながら理解できるコーナーです。架空の街「いすゞ市」の1日が、665台の車両、3300体のフィギュア、45台の自走するミニチュアカーなどによって87分の1スケールで表現されており、トラックやバスだけでなく、救急車、消防車、歴代の名車が走行する街を眺めながら、同社の車が活躍する姿を知ることができます。
 さらに館内を進むと、「人を運ぶ、モノを運ぶ、命を支える」をテーマにした実車展示のコーナーがあります。100以上の国や地域で働く「いすゞのトラック」やバスが展示されており、世界中で人やモノを運ぶ車両を実際に見て、乗って、理解することができます。実車の中でもひときわ目を引くのは、火災・交通事故・洪水・土砂災害・震災などの災害であらゆる人命救助に当たる救助工作車です。藤沢市の高度救助隊で2005年から2021年まで実際に運用されていたこの車両は、東日本大震災の際にも出動しており、耐久性と悪路走破性の高い同社の車は災害救助、警察や消防、南極基地など、様々な場所、用途で命を支えています。
 参加者は、同社の製品が豊かな暮らしづくりに貢献していることを理解し、感銘を受けていました。


■展示エリア「いすゞのくるまづくり」
 どのようにして車がつくられているのか、実物を見て、体験しながら知ることができます。
 車の生産はまず「1.調査・企画」から始まります。車両は様々な地域、環境下で使われるため、世界中で調査を行い、ニーズを探ります。「2.デザイン」はたくさんのアイデアスケッチの中からクレイモデル、コンピューターグラフィックと、より具体的に形を決めていき、お客さまの声や各部署の意見を取り入れながら決定されていきます。各部品の「3.設計・購買」は、世界中の部品メーカーから最もふさわしい部品を選定し、設計図を基に部品を「4.試作・実験」して性能を確かめます。さらに試作車をつくり、世界中で走行させながら実証実験を繰り返します。実験に合格すると、いよいよ車両の生産が始まります。「5.エンジン生産」「6.樹脂成形」「7.プレス」「8.車体組立」「9.塗装」「10.艤装」「11.車両組立」の過程を経て、「12.検査」が完了すると「13.出荷」されていきます。
 エリア内には、生産ラインが20分の1スケールで再現された動くミニチュアで展示されており、実際に車両がどのように組み立てられていくのかを分かりやすく理解することができます。車両が生産された後の「14.稼働サポート」や「15.環境と社会」への取り組みについて紹介するコーナーもあり、同社の先進的な事例などを知ることができます。他にも、たくさんの体験展示があり、ドライブシミュレーターでは大型トラック「ギガ」の運転を体験することができます。
 参加者は、大型トラック運転手の気持ちになって安全でエコなドライブを熱心に楽しんでいました。

 

■展示エリア「いすゞの歴史」
 「運ぶ」を支えてきた同社の歴史を、貴重な車両、エンジン、ミニチュアモデルカー、当時の資料などで紹介しています。
 車両展示コーナーでは、エメラルドグリーンに輝く日本で初めての国産乗り合いバス「スミダM型バス」や、戦後の日本の復興を支えた青いボンネットトラック「TX80型5トン積みトラック」、1959年に日本初の2トン積フルキャブオーバー型小型トラックとして発売された初代「エルフTLD20型」などのトラック・バスを見学することができます。他にも、「ベレル」「シボレーLUV」「ジェミニ」などの往年の量産型乗用車や、同社初の量産バッテリー型小型電気トラック「エルフEV」が展示されていました。
 参加者は新旧様々な車両の外装・内装を興味深く見学していました。

 最後のコーナーでは、F1用エンジンやレース車両「ベレット1600GTRレース車両」などを見学することができます。同社の車やエンジンは、数々の技術革新とチャレンジの歴史を経て開発されてきました。使いやすさと耐久信頼性を兼ね備えた車が生まれた背景にある挑戦の歴史を紹介しています。

懇談会の概要

社会広聴会員:
EV車両の開発など、カーボンニュートラル戦略について教えてください。
いすゞ自動車:
インフラ発達の程度やエネルギーの使用状況などが国や地域によって様々であることから、カーボンニュートラル車両が社会で実装され普及する時期は世界一律ではないと考えています。現時点では研究開発や実証実験に重きを置いており、2025年以降に商品ラインナップの拡充を図りながら、国や地域に合わせたカーボンニュートラル車両の普及に取り組んでいきたいと考えています。


社会広聴会員:
国内において普通免許で運転可能な車は販売しないのでしょうか。
いすゞ自動車:
2024年1月、いすゞ自動車では量産バッテリー型小型電気トラック「エルフEV」シリーズに、車両総重量3.5トン未満の「エルフミオEV」を新たに追加し、販売を開始しました。この車両は2017年に改定された普通自動車免許でも運転が可能です。物流業界を取り巻く環境においては、ドライバー不足がかねてより指摘されています。こうした課題に対応するため、これからも開発を進めていきたいと考えております。

 

社会広聴会員:
タイヤの脱落事故の報道を目にすることがあります。タイヤに関する出荷前の点検作業について教えてください。
いすゞ自動車:
工場では商品の出荷前にトルクレンチを使用してタイヤのホイールナットを締めています。藤沢工場ではトルクレンチそのものを午前・午後の2度点検しており、加える力が不足していないかについても確認をしています。また、緩みなくタイヤが固定されたことを検査した上で出荷しているため、工場におけるトルクの締め忘れや緩みが一切発生しない体制になっています。

参加者からの感想

●商用車中心の事業体である中で、一般の方を対象とした見学施設を開館されていることは、素晴らしいことだと感じました。イノベーションの波が押し寄せている自動車産業ですが、他企業とも手を取り合って、未来に向けた取り組みを成功させてくれると思いました。
●いすゞプラザのジオラマ展示からは、常に社会を意識した企業であるという揺るぎない信念を強く感じました。変革の時代に活躍する日本を代表する企業の姿を知る機会となり、有意義な時間となりました。
●いすゞ自動車の歴史や近況を知り、商用車メーカーのリーディングカンパニーとして日本・世界の産業を支えている姿に、改めて敬意を感じました。
●初任給で買った「ジェミニ」を思い出しながら、今回の見学を通じて、いすゞ自動車の躍進を改めて知りました。孫を連れてまた来ようと思います。

いすゞ自動車 ご担当者より

 自動車業界変革の中、2023年当社は企業理念を新たに制定した大きな変革の年でした。その姿を多くの生活者の方に知っていただき、ご意見を伺う機会として、今回の懇談会は大変貴重でした。参加いただいた皆さま、企画を行っていただいた事務局の方々に、改めて御礼申し上げます。
 皆さまからいただいた当社への期待を力に変え、いすゞ自動車は「地球の『運ぶ』を創造する」という新企業理念の実現に進んでまいります。
 今後も当社活動にご支援いただけましたら幸いです。

お問い合わせ先
経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021
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