企業と生活者懇談会
2025年10月1日 東京
出席企業:日本貨物鉄道
見学施設:東京貨物ターミナル駅

「物流を支える貨物鉄道輸送のリアルを学ぼう!」

10月1日、東京貨物ターミナル駅(東京都品川区)で「企業と生活者懇談会」を開催し、社会広聴会員10名が参加しました。はじめに、日本貨物鉄道から会社概要と同施設について、続いて公益社団法人鉄道貨物協会からエコレールマークについて説明を受けました。
その後、施設の屋上から駅全景を眺めてスケールの大きさを体感するとともに、コンテナや荷役機器(フォークリフトなど)を間近で見学し、鉄道輸送への理解を深めました。
質疑懇談の場では、環境課題への取り組みや今後の事業展開などについて意見交換を行いました。
日本貨物鉄道からは、関東支社駅長原威史氏、副駅長谷圭祐氏、総務部広報室室長中村愛氏、鉄道貨物協会エコレールマーク部課長日高香織氏が出席しました。

日本貨物鉄道からの説明

日本貨物鉄道の概要
 日本貨物鉄道(JR貨物)は、1987年4月に国鉄の分割・民営化に伴い発足しました。貨物鉄道の歴史は古く、1873年9月に新橋~横浜間で日本初の貨物鉄道輸送が開始されて以来、150年以上にわたり発展を続けています。
 旅客鉄道会社が地域ごとに設立されたのに対し、貨物鉄道会社は全国を対象とする一社体制で誕生しました。自社では線路をほとんど保有せず、JR旅客会社、さらには第三セクター鉄道などが管理する線路設備を借りて貨物列車を運行しています。
 1日の列車本数は393本、列車運行距離は18万3000キロメートルで地球約5周分に相当します。国内物流の大半はトラック輸送が占めていますが、長距離輸送では鉄道のシェアが約5割とされ、長距離輸送に強みを発揮しています。
 同社は、全国に広がる約8000キロメートルの鉄道網と、コンテナを取り扱う約140カ所の貨物駅・オフレールステーション※1などを結ぶネットワークにより、お客さまの荷物を時間通りに正確に届けています。
 輸送形態は「コンテナ輸送」と「車扱輸送」の2つに分かれます。コンテナ輸送は貨車の上にコンテナを載せて輸送する方式で、東京貨物ターミナル駅はその主要拠点です。車扱輸送は貨車と容器が一体化した輸送方式で、石油輸送などに利用されています。
 2024年度の輸送実績では、コンテナが1861万トン、車扱が853万トンとなっています。高度経済成長期には石油・セメント・石灰・石炭などの資材輸送を中心に車扱輸送が盛んでしたが、産業構造の変化により、現在はコンテナ輸送が圧倒的に多くなっています。
 貨物鉄道輸送の特長は、大きく3つあります。1つ目は大量輸送が可能であることです。最大26両編成の貨車を連結することで、10トントラック約65台分を一度に輸送できます。2つ目に環境負荷の低さです。ほかの輸送機関に比べてエネルギー使用量やCO₂排出量が少なく、環境にやさしい輸送手段です。3つ目に中長距離輸送に適している点です。鉄道コンテナの平均輸送距離は約900キロメートルで、長距離になるほどコストメリットも見込めます。
 同社は、貨物鉄道輸送を中心に、倉庫・不動産事業など幅広い事業を展開しています。貨物駅構内に物流施設を整備するほか、マンション・商業施設・駐車場などの開発も行っています。

 

日本貨物鉄道「東京貨物ターミナル駅」の概要
 東京貨物ターミナル駅は、1973年10月1日に開業しました。敷地面積は約75万平方メートル、東京ドーム約16個分に相当する広大な施設です。長さ約600メートル、幅約40メートルのコンテナホーム(荷物の到着・発送を行うホーム)が5面あり、それぞれ両側に線路が敷設され10本の荷役線となっています。また、着発線も10線備えています。
 現在1日の発着本数は66本、平均取扱個数(12フィートコンテナ換算)は約3600個で、国内の貨物駅として最大規模を誇ります。
 かつては国鉄汐留駅まで貨物列車が乗り入れていましたが、都市化の進展により都心を迂回させる目的で武蔵野線が貨物路線として整備され、汐留駅の貨物機能は当駅が引き継ぎました。

 当駅で最も取り扱いが多いコンテナは31フィートコンテナです。31フィートコンテナは10トントラックとほぼ同等の積載容量を持つことから、輸送単位や荷役作業を変更することなくトラック輸送からスムーズに鉄道輸送への「モーダルシフト※2」を実現できます。その他には12フィートコンテナ、20フィートコンテナ、ISO海上コンテナなどもあります。
 ブロックトレインは、列車1編成のうち半数以上の輸送力をブロック(区画)で貸し切り、往復輸送するコンテナ列車です。お客さまには大量の輸送力を安定的に確保できるメリットがあり、輸送効率の高いシステムです。当駅では計8本(4往復)のブロックトレインが発着しており、その一例が日本唯一の電車型貨物列車「スーパーレールカーゴ」です。車体が軽量であり、モーターを列車の前後に分散させることにより走行性能を高めており、最大速度は時速130キロメートルです。その他、東京〜盛岡間を往復する海上コンテナ列車や産業廃棄物を載せた列車なども運行されています。
 一日の発着時刻の特徴について、発車は21時〜0時に集中しており、到着は朝方に多く見られます。昼間に集荷・仕分けされた貨物が夜間に発送され、翌朝に到着する流れになっています。

 

※1トラック便により拠点駅とを結ぶコンテナ駅
※2 トラックなどの自動車で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと転換すること

鉄道貨物協会からの説明

エコレールマークの概要
 エコレールマークは、国土交通省が制定した環境ラベルの一つです。500キロメートル以上の陸上貨物輸送のうち30%以上鉄道を利用している商品や15%以上鉄道を利用している企業などに認定されます。

 エコレールマークは、幅広い業種の荷主企業が地球環境にやさしい「貨物鉄道を積極的に利用している」ことを示す認証制度であり、鉄道貨物協会はその運営を担っています。
 マークの活用方法は多岐にわたり、商品への表示だけでなく、CSRレポートや株主向け資料、さらには名刺などにも印刷され、企業の環境配慮の姿勢をステークホルダーに伝える手段として広がっています。また、近年では小・中・高校の教科書にも取り上げられており、エコレールマークをはじめとする環境ラベルの認知を高め、持続可能な消費行動につなげる取り組みが行政主導で進められています。

見学の様子

駅全景の見学
 東京貨物ターミナル駅の施設屋上からコンテナホームや積替ステーションの様子を一望できます。
 構内には物流倉庫もあり、右手には一棟貸しの倉庫群「エフプラザ」が立ち並び、これは注文住宅のように利用企業の要望に合わせた仕様となっています。左手と背後には「東京レールゲートWEST・EAST」があり、こちらは賃貸マンションのように入居後のカスタマイズが可能で、退去時には原状回復を行う仕組みです。現在は満床とのことです。
 さらに周囲を見渡すと、大田市場をはじめ、東京タワーや東京スカイツリー、羽田空港の管制塔まで見える見晴らしの良さで、駅全体の広がりと迫力、そして物流拠点としての圧倒的な規模を実感することができました。

 

駅構内の見学
 参加者は2台の車に分乗し、駅構内を見学しました。
 最初に訪れたのはフォークリフトオペレーターの養成を行う訓練場です。ここでは開閉可能な通風装置が設置され、室内の換気ができる構造の「V19B」と呼ばれるコンテナを見学しました。続いて、「19D」のコンテナも見学しました。こちらは両側の扉が開く仕様です。奥まで開口できるため、大型倉庫にトラックを横付けし、そのままフォークリフトで積み降ろしが可能という利便性があります。少数ながら「車上荷役」と呼ばれる方式もあり、貨車ごと倉庫内に引き込み、その場で荷役を行うケースも紹介されました。
 コンテナ内部の広さは4畳半ほどで、内装にはベニヤ板を用いています。鉄板製のコンテナは湿気がこもりやすいため、ベニヤ板は湿気を吸収する役割もあります。トンネル内は湿度が高いため、内部の結露防止にも役立っています。コンテナの耐用年数はおよそ15年とされています。
 扉を閉める際には「封印環」を施し、ロッド番号が付与されます。これにより輸送中に開封された形跡がないか確認でき、貨物の安全性が担保されます。コンテナには全て「IDタグ(RFIDタグ)」が取り付けられており、コンテナ番号が記録されています。このタグにより積載位置や輸送状況を把握できる仕組みとなっており、作業指示や報告は全てシステム上で管理されています。

 駅構内では、積み替え作業の様子やコンテナを間近で見学し、物流現場の臨場感を体感しました。コンテナ用フォークリフトには、死角を補うカメラなどによる「操作ガイダンス機能」や、荷役対象コンテナおよび荷置き場所を認識し、ステアリング操作などを自動化する「操作セミオート機能」が搭載されたフォークリフトもあります。新人オペレーターの教育に活用しており、デジタル技術の導入により、安全性と作業効率のさらなる向上が期待されています。

日本貨物鉄道への質問と回答

社会広聴会員:
気候変動によって大雪などのリスクが高まる中、冬場の対策はどのようにされていますか。
日本貨物鉄道:
大雪に限らず、運行ができなくなった場合には、トラックや船による代替輸送を実施することもあります。ただし、大雪時には、港の凍結や道路の通行止めなどにより物流全体が麻痺することも多く、即座に有効な対策を講じるのは難しいのが実情です。そのため、小さな取り組みではありますが、天候状況を踏まえた上で事前に融雪剤を散布するなどの対応を行っています。また、お客さまのご理解を得ることも重要と考えています。例えば、大雪の予報が出た際には、輸送状況をこまめにお知らせし、ご理解をいただけるよう努めています。

 

社会広聴会員:

CO2排出量削減に向けて、どのような取り組みをされていますか。
日本貨物鉄道:
当社では、バイオディーゼル燃料の活用や、環境配慮型機関車の導入を進めています。物流全体への貢献という観点では、鉄道の利用が増えると当社の活動量に伴うCO2排出は増えますが、トラック輸送に比べれば物流全体としての排出削減につながると考えています。また、将来的には水素エネルギーの活用など、新たな技術の導入も検討しており、そのような取り組みを通じてCO2削減に貢献していきたいと考えています。

 

社会広聴会員:

トラックドライバーの働き方改革など「2024年問題」が話題になっていますが、鉄道輸送にはどのような影響がありますか。
日本貨物鉄道:
「2024年問題」をきっかけに、物流の将来に危機感を抱く企業が増える中で、環境負荷の低減や安定輸送の観点からも、鉄道を意識的に利用されるお客さまが増えつつあります。このように、物流の課題を契機として鉄道利用が拡大しつつあり、私たちは地道な取り組みを重ねながら、その流れをしっかりと支えていきたいと考えています。

参加者からの感想

●『BtoB』の世界に直接触れられて面白かったです。工業製品から原材料、引っ越しの荷物や宅配の荷物などあらゆるものを扱っているのに驚きました。各コンテナに付いているIDやそれを読み取るカメラがフォークリフトにも付いているなど細部にわたってデジタル化され、より効率的に業務が進んでいるのにも驚きました。
●普段あまり知る機会のなかったJR貨物の活動について、特に社会の基本インフラを支える地道な努力の一端を見られて有意義な時間でした。一方、ビジネスモデルがBtoB中心のためか、一般生活者にとって接する機会は少なく、どうしたら貴社を応援できるのか、今後エコレールマーク以外にも様々な取り組みをしていただくよう期待します。
●環境配慮型物流を推進する「エコレールマーク」の説明や実際にマークが付いている商品を見ることで、持続可能な社会の実現に向けた企業の姿勢を強く感じ取ることができました。

日本貨物鉄道 ご担当者より

 このたびは貨物駅にお越しいただき、ありがとうございました。当社は全国に広がる貨物鉄道ネットワークを生かした総合物流サービスの提供を通じて、皆さまの生活や産業を支え、社会に必要とされる存在であり続けることを目指しています。貨物鉄道の現場を体感していただいたことで、皆さまにとって少しでも身近に感じていただける存在になれたらうれしく思います。これからも、当社の事業にご理解と温かいご支援をいただけましたら幸いです。

お問い合わせ先
経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021
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