企業と生活者懇談会
2025年10月9日 東京
出席企業:SGホールディングス
見学施設:Ⅹフロンティア®

「人とロボットが支える次世代の物流現場を知ろう!」

10月9日、XフロンティアⓇ(東京都江東区)で「企業と生活者懇談会」を開催し、社会広聴会員8名が参加しました。まず、SGホールディングスから、会社概要と同施設についての説明を受けた後、
佐川急便中継センター、佐川グローバルロジスティクス「EC Logi Tokyo」を見学しました。荷物が自動で仕分けられる様子やロボットが荷物を取り出し、運んでいく様子などを見ながら、自動化の進む物流現場について理解を深めました。
最後に質疑懇談を行い、自動化による効果や、今後のビジネスモデルについて意見交換を行いました。
SGホールディングスグループからは、SGホールディングスコーポレートコミュニケーション部担当部長安藤雄大氏、同部係長山﨑智子氏、同部神谷恵理氏、佐川急便広報部広報企画課課長古川浩隆氏、同課大森紗英氏、佐川グローバルロジスティクス経営企画部広報課係長大室和也氏が出席しました。

 

SGホールディングスグループからの説明

SGホールディングスグループの概要
 SGホールディングスグループは、佐川急便を中核企業とする総合物流グループです。本社は創業の地・京都にあり、現在は世界44の国と地域で事業を展開しています。グループ全体で10万人を超える従業員が在籍し、法人・個人を問わず、国内外のお客さまに幅広い物流サービスを提供しています。
 グループの事業領域は、宅配便をはじめとするデリバリー事業に加え、国際輸送、通関、倉庫管理など多岐にわたります。また、人材派遣やITシステム開発といった、物流を支える周辺分野も自社で担い、「一気通貫の物流ソリューション」を実現しています。
 創業以来、大切にしているのが「飛脚の精神(こころ)」です。「常にお客さまに誠心誠意尽くす」という精神を受け継ぎながら、単に荷物を運ぶだけではなく、「お客さまのために何ができるか」を考え続け、サービスの拡充と事業の成長を重ねてきました。
 同社グループの強みは、大きく3つあります。1つ目は、企業間物流で培ったノウハウとビジネスモデルを有し、法人顧客の多様な物流課題に対応していること。2つ目は、宅配便にとどまらず、顧客ごとに最適化した総合物流サービス(トータルロジスティクス)を提供できること。3つ目は、徹底した効率経営を実践していることです。物流業界では難しいとされる「荷物1個あたりのコストの可視化」を実現し、適正な価格設定と高い利益率を両立しています。
 また、近年は「持続可能な物流」をテーマに、業務の効率化と自動化にも積極的に取り組んでいます。全国各地に大型中継センターを整備し、輸送効率の向上やトラック台数の削減を進めているほか、自動搬送ロボットや自動倉庫などの導入により、倉庫内業務の省人化を実現しています。こうした取り組みが評価され、経済産業省などが選定する「DXグランプリ2025」に陸運業として初めて選ばれました。
 SGホールディングスグループは現在、2030年に向けた長期ビジョン「SGHビジョン2030」を掲げています。社会にとって欠かせないインフラの一つである物流を担う企業として「絶対に物流を止めない」という使命のもと、持続可能なサービスの提供を目指しています。

 

Xフロンティア®の概要
 Xフロンティア®は、2021年に稼働を開始した国内最大級の次世代型ロジスティクスセンターです。敷地面積7万3261平方メートルを誇り、屋上には大型車両約300台に対応する駐車場を備えています。施設内には、グループ各社の物流機能が集約されており、デリバリー事業、ロジスティクス事業、国際物流事業、大型特殊輸送事業など、多様な事業の中核拠点として運用されています。
 稼働時には、非常用を含めて72時間分の電源を常時確保し、災害時にも稼働可能な体制を整備。従業員の働きやすさを追求した空調や食堂など快適なアメニティーも充実しています。
 Xフロンティア®では、最新のAIやロボティクスを積極的に導入し、物流加工や省力化を推進。シームレスなECプラットホームを管理する拠点として、海外貨物の直接搬送にも対応しています。さらに、保税倉庫(輸出入倉庫)や通販業務の一括管理機能を備え、越境ECを円滑に行える国際物流拠点としても機能しています。
 また、多様なサービス展開や高度な輸送技術・ノウハウを集約し、大型特殊輸送にも対応するなど、総合的な物流ソリューションを提供しています。
 さらに、グループ横断の先進的ロジスティクスプロジェクトチーム「GOAL®」による国内外の案件など世界各地の先進的なソリューション事例を紹介しています。

見学の様子

佐川急便中継センター
 参加者はまず、佐川急便の中継センターを見学しました。ここは全国から集められた荷物を配送先ごとに仕分け、最寄りの営業所や宅配ネットワークへ引き渡す重要な拠点です。センターは24時間365日稼働しており、5種類の自動仕分け機を導入することにより、仕分け能力は従来の1時間あたり約2万個から約10万個へと大幅に拡大しました。
 高速仕分けシステムのクロスベルトソータは、荷物を「セル」と呼ばれる板に載せて時速約10キロメートルで搬送し、バーコードスキャナーで読み取った情報に基づいて自動的に仕分けを行います。荷物は中央に寄せるリセンタリング機能により安定して運ばれていきます。また、メジャーボーイと呼ばれるシステムでは、荷物の縦・横・高さの三辺を自動的に測定し、そのデータを仕分けや容積計算に活用しています。
 2022年12月には、自律走行搬送ロボット(AMR)も複数種導入し、従来のベルトコンベヤーでは対応が難しかった不定形荷物の自動搬送にも対応しました。
 中継センターは1階と2階、3階と4階の2層構造となっており、荷物量に応じて階層ごとに独立運用したり、連動させたりと柔軟な体制を整えています。関東圏の複数拠点を統合することで輸送効率を高めるとともに、トラック台数の削減やCO2排出量の抑制など、環境負荷の低減にも寄与しています。
 参加者は、こうした自動化やロボティクス技術によって、これまで多くの作業者が担っていた仕分け作業が大幅に効率化されている様子を実感することができました。

 

佐川グローバルロジスティクス「EC Logi Tokyo」
 次に、佐川グローバルロジスティクスが運営する「EC Logi Tokyo」を見学しました。ここは通信販売専用の物流拠点として整備された最新鋭の倉庫で、EC事業者の多様なニーズに対応するシステムと設備が導入されています。
 倉庫に搬入された商品は、入荷バース(荷物の積卸しを行うためのスペース)で受け入れられ、検品工程を経て倉庫内に格納されます。施設では「Auto Store(オートストア)」と呼ばれる自動倉庫型ピッキングシステムを採用しています。商品は規定のコンテナに格納され、天井下の空間まで高密度の保管が可能です。自動倉庫には約1万3000個のコンテナが設置されており、一般的な棚倉庫と比べて約4分の1のスペースで同等の保管量を実現しています。
 注文データが入ると、ロボットがコンテナを取り出し、作業者の手元まで運びます。作業者は商品を1点ずつピッキングして注文に対応します。梱包工程で箱詰めと送り状の貼付を行った後、下階の中継センターへ搬送され佐川急便のネットワークと連携し、全国各地へ出荷されます。
 稼働するロボットは、注文頻度を学習し、出荷の多い商品をすぐに取り出せる上段や作業者の近くに配置するなど、自律的に効率的なオペレーションを行います。電力は壁面にある充電ポイントで自動補給され、24時間365日稼働が可能です。ロボットはグループのコーポレートカラーである青に統一され、施設全体にブランドの一体感が感じられました。

 続いて、棚ごと商品を運ぶ自動棚搬送ロボット「EVE(イブ)」が紹介されました。
 倉庫内の棚には多数の二次元コードが貼られており、棚や区画が細かく管理されています。棚の中には多種多様な商品が分類・収納され、サイズや形状に応じて配置場所が決められています。従来は作業者が紙のリストを手に棚番号や位置、色、品目を確認しながら商品を探していましたが、EVEの導入によって必要な棚を自動で作業エリアまで搬送できるようになりました。
 EVEは床面のバーコードを読み取りながら自律走行し、指定された棚の下に潜り込んで持ち上げ作業者のもとへ運びます。作業エリアでは複数台のEVEが同時に稼働しており、効率的に棚を入れ替えながら作業が進められています。ロボット同士の動線はシステムによって自動制御され、衝突や渋滞が起こらないよう最適化されています。
 作業者がいないエリアの照明は消灯するなど、省エネルギーにも配慮されていました。

 さらに、自律走行搬送ロボット「OTTO(オットー)」の稼働の様子も見学しました。OTTOは荷物を載せた台車の下に潜り込み、台車ごと持ち上げて出荷検品エリアまで搬送します。重い荷物を距離がある場所まで運ぶ場合でも、ロボットが行うため、作業者の負担が大幅に軽減されます。
 OTTOには、人や障害物を検知すると自動で回避・停止する安全機能も備わっており、効率性と安全性を両立した搬送システムとなっています。

 施設内は完全自動化ではなく、「50%の省人化」を目指した設計が採用されています。停電や機器トラブルなどの不測の事態にも対応できるよう、人の手による補完体制をあえて残しているそうです。商品の形状や素材によってはロボットで扱うには難しい場合もあり、最終的な検品や梱包の場面では、人の判断力と丁寧な作業が欠かせません。参加者は、ロボットだけに頼らず、人の力でリカバリーできる体制こそが、安定した稼働を支えていることを実感していました。

SGホールディングスへの質問と回答

社会広聴会員:
自動化・ロボット導入の効果についてお聞かせください。また、今後も人の手が必要だと思われる作業はどのようなものでしょうか。
SGホールディングス:
作業の効率化が進み、研修や教育にかかる時間を大幅に短縮できました。これにより、スポットワーカーの方々も、短期間で即戦力として活躍できるようになっています。また、搬送ロボットが荷物や棚を運搬することで、作業者の体力的な負担が軽減され、より効率的で安全な作業環境を実現しています。一方で、配達業務は今後も人の手が不可欠な分野だと考えています。配達先ごとにお客さまの受け取り方やニーズは多様であり、今後さらにサービスの多様化が進むことを踏まえると、配達作業は現段階では自動化が難しい領域です。

 

社会広聴会員:
宅配便の翌日配達など「当たり前」を維持するために、消費者が意識すべきことはありますか。
SGホールディングス:
荷物をできるだけ一度で受け取っていただくことや、時間帯指定サービスを上手にご活用いただくことが大切です。さらに、宅配ボックスを早めに空けて次の荷物を受け取りやすくするなど、配送のしやすい環境を意識していただけると大変助かります。また、物流やサービスの裏側では、多くの人の働きとコストがかかっています。「送料無料」という言葉の背景にも、誰かの努力や仕組みがあることを少し意識していただけると、より持続可能な物流の実現につながると考えています。

 

社会広聴会員:
今後のビジネスモデルについてお聞かせください。
SGホールディングス:
これまで当社はBtoBを中心に展開してきましたが、今後はBtoCにも力を入れていきたいと考えています。その一つが「SAGAWA手ぶらサービス」です。旅行者やインバウンドのお客さまの手荷物をお預かりし、宿泊先や空港へお届けすることで、身軽に観光を楽しんでいただけます。旅行の快適さを高めるだけでなく、観光地の混雑緩和や地域経済の活性化にも貢献しています。

参加者からの感想

●今回見学した佐川グローバルロジスティクスは、まさに「from B」の最前線でした。現場では様々なロボットが稼働し、AI技術が積極的に活用されている一方で、一定の工程は人の手で行われており、人の力によって季節変動への対応力を高めている点が非常に印象的でした。
●再配達を防ぐ配慮や、なるべく無駄なスペースをつくらずに荷物をまとめる手配、日常のちょっとした意識がSDGsの実現を支える一生活者として大切であることを改めて認識いたしました。また、企業理念に基づき、配達員の方々が顧客に寄り添いながら課題解決を提案する姿勢が会社の風土として根付いていること、その取り組みが社会課題の解決にもつながっていることを学びました。
●現場ではできるだけ人手を減らして自動化が進められているのかと思っていましたが、「想定以上の荷物が集中した場合」や「システムトラブルが生じた場合」を考慮して機械化の割合を決めているというお話が非常に興味深かったです。見学前は労働環境に対してあまり良い印象を持っていませんでしたが、負担軽減のための様々な工夫を知り、印象が大きく変わりました。

SGホールディングス ご担当者より

 このたびは、会員の皆さまと対話させていただく貴重な機会を頂戴し、誠にありがとうございました。
 当社グループは、「Grow the new Story.  新しい物流で、新しい社会を、共に育む。」のもと、「お客さまおよび社会にとって必要不可欠な存在(=インフラ)」であり続けることを掲げています。
 持続可能な物流に向けて、新しい物流で、新しい社会を、皆さまと共に創りあげていきたいと思っております。皆さまには末永いご支援をいただけましたら幸いです。

お問い合わせ先
経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
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