企業と生活者懇談会
2026年7月3日 広島県三原市
出席企業:三菱重工業
見学施設:三原製作所

「社会を支える最先端のものづくりと、カーボンニュートラルの実現に向けた挑戦に触れよう!」

7月3日、三原製作所(広島県三原市)で「企業と生活者懇談会」を開催し、社会広聴会員6名が参加しました。同製作所内には3つの工場があり、今回はそのうちの糸崎工場と和田沖工場を見学しました。会社概要および施設概要について説明を受けた後、段ボールシート・箱を製造する紙工機械や新交通システム車両の製造過程、広大な土地に敷かれた太陽光パネルを見学しました。最後に質疑懇談を行い、人材育成や地方自治体との連携などのテーマについて意見交換しました。
三菱重工業からは、グループ戦略推進室広報部長高野修一氏、三原製作所所長代理 大楠哲史氏、カーボンニュートラル推進室長 森原雅幸氏が出席しました。

三菱重工業からの説明

■三菱重工業の概要

 三菱重工業は1884年に、三菱の創業者岩崎彌太郎が政府より工部省長崎造船局を借り受け、長崎造船所と名付けたところからその歴史の第一歩を踏み出しました。1934年には、船舶のほかに重機、航空機、鉄道車両を事業に加え、社名を三菱重工業に変更し新しいスタートを切りました。
 第二次世界大戦後の1950年、一時的に西日本重工業、中日本重工業、東日本重工業の3社に分割されましたが、1964年に再び1つとなり、新生三菱重工業が誕生しました。3社の経営力と技術力が集結し、現在では、700以上の技術、500種類を超える製品を有する重厚長大産業のリーディングカンパニーとして、安全・安心な社会を支え続けています。また、国内外に多数の拠点を置き、グローバル展開を加速させています。 カーボン二ュートラルにも全社を挙げて取り組んでおり、2021年10月に2040年までにNet Zeroにする“MISSION NET ZERO”を宣言しています。
 お客様、ビジネスパートナー、国、自治体、研究機関などと積極的に連携し、カーボンニュートラル社会の実現に向けて行動しています。


■三原製作所の概要
 製造拠点の1つである三原製作所は、1943年に蒸気機関車および鉄道車両用エアブレーキ装置の専門工場として開所されました。豊富な経験に基づいたエンジニアリング力を生かし、現在では交通システムや紙工機械などを国内外に納入しています。
 三原製作所は、「糸崎工場」「古浜工場」「和田沖工場」の3工場で構成されています。「糸崎工場」では輪転機や紙工機械、加速器を製造、「古浜工場」は鉄道車両用エアブレーキ装置、「和田沖工場」では新交通システムの車両やホームドアを製造しています。
 また、同製作所は脱炭素のロールモデル工場と位置づけられており、CO2排出量削減のための取り組みを先行的に実施し、得たノウハウを、海外を含む他工場に展開しています。2023年度末より太陽光発電設備の運転を開始し、現在では2023年度と比較して、97.7 % のCO2削減に成功しています。同製作所は「C A R B O N N E U T R A L T R A N S I T I O N H U BMIHARA」と名付け、脱炭素に向けた新しい技術への挑戦や共創の拠点として発展を続けています。

見学の様子

■糸崎工場
 糸崎工場では紙工機械の製作を見学しました。まず、映像を交えて、コルゲートマシンや製函機の説明を受けました。
 コルゲートマシンは紙を加工して段ボールシートを製造する機械で、全長約120メートルにも及びます。
「中芯」と呼ばれる紙を、波型の溝が刻まれた2本のロール(段ロール)の間に通して波形に加工し、「ライナ」と呼ばれる紙で両側からはさんで貼り合わせて、一枚の段ボールシートを製造します。
 段ロールは使用していくうちに摩耗するため、外表面を研磨し直して再使用できるように加工するサービスも行っています。
 製函機は、完成した段ボールシートを箱に加工する機械であり、全長約20メートルで、印刷、溝切り、糊付け、折り曲げまでを自動で行います。1分間で最大400枚もの段ボール箱を製造することができ、世界最高水準の性能を有しています。
 これらの機械は、2.8トンのクレーンを使用してユニット単位で組み立てられます。組み立て後は試運転場で稼働試験を行います。完成品は10トン前後の重さとなり、30トンまで運べる電動台車を使って運んでいます。参加者は、それぞれの機械の重さや大きさに驚いていました。


■和田沖工場
 和田沖工場では、敷地面積約70万平方メートルの広大な土地を活用し、約2万8千枚の太陽光パネルが敷き詰められています。約1万2千キロワット規模の発電能力があり、一般家庭約4千世帯の年間消費電力量に相当する電力を生み出すことができます。この電力は、和田沖工場だけでなく、糸崎工場や古浜工場の全ての使用電力をまかなうことができます。これにより、年間約1万トンのCO2削減を実現しています。
 蓄電池も併設しており、使わなかった電力をためておくことで、天候によって変わる需要と供給のバランスをとることができます。
 太陽光パネルには様々な工夫が取り入れられています。現在使われているパネルは太陽に面している表面だけでなく、裏面も発電できる構造になっており、曇りや雨の日でも一定の発電が可能になっています。
 見学では、太陽光パネルに実際に触れさせていただき、参加者は興味深そうに手触りを確かめていました。

 

■車両の製造過程
 和田沖工場では、同社が開発した新交通システムの車両が製造されています。工場内には、日本初の総合交通システム検証施設「MIHARA試験センター(MTC)」が運用されており、主に海外向けの鉄道の走行試験を実施しています。基本走行時の安定性確認、所定の環境条件下での走行試験、緊急時の対応確認など、国際規格への適合性検証に主眼を置いています。
見学当日には、実際に走行試験をしている車両を見ることができました。
 工場建物内の長さ373メートルにも及ぶ製造ラインでは、部材の搬入、溶接、板金、塗装、組み立て、機能確認までの全ての工程を行うことができます。工場内では、ゴムタイヤ式新交通システムの車両だけでなく、路面電車、懸垂式モノレールの製造過程も見学することができました。製造ラインを進んでいくごとに、アルミニウムのパネルが車両の形になって、様々な部品が取り付けられていく様子を順序立てて見ることができました。
 車両の側面と床のパネル製造においては、同社は摩擦攪拌接合(FSW)という特殊な技術を採用しています。特に側面のパネルにこの技術を用いることで塗料の使用量も抑えられ、車両の軽量化にもつながります。
 最近は無塗装車両が増えており、お客様が希望するロゴなどの表現には、専用の工業用マーキングシールを用いて対応することが可能です。無塗装とすることで、塗装を乾かす時に必要なガスを使わなくてよいため、CO2削減にもつながります。無塗装車には、家庭のシンクやサッシにも使われるヘアライン加工を施します。
 塗装もしくはヘアライン加工が終わった車両は、内部の機器や配線の組み立てを行います。
 全ての機器類の搭載が終わると、雨漏り試験などを行います。車両の周囲から散水して、車内に水の侵入がないかを確認します。
 最後に台車を取り付けて、車両が完成します。国内向け車両は陸路で輸送し、海外向け車両は試験センターで試運転した後出荷されます。
 工場敷地内には蒸気機関車が展示されており、1943年に蒸気機関車の製作工場として歴史をスタートさせた三原製作所が、現在新交通システムの車両を製作しているという歴史と変遷を感じることができました。

懇談会の概要

社会広聴会員:

世界的にまだ化石燃料に頼らざるを得ない現状において、会社として脱炭素の推進に努力されていることはありますか。

三菱重工業:
たしかにAI普及などによって電力を中心にエネルギー需要が増えている状況では、化石燃料に頼らざるを得ないのが現状です。しかし、そうしたエネルギー需要や使用する化石燃料をできるだけ少なくする技術には開発の余地があると考えています。これらの省エネや脱炭素ノウハウは、広く社会全体で共有されることで効果が拡大します。
最近では、中小企業へ脱炭素ノウハウを届ける枠組みを作って活動しています。

 

社会広聴会員:
工場内に意外と人が少ない印象を受けましたが、なぜでしょうか。

三菱重工業:
工場内の作業の効率化・自動化を推進しています。また、部品を一から作るのではなく、ビジネスパートナーの会社に一定の部品の形まで作ってもらい、それを工場内で組み立てていくというケースが増えていることもあり、少ない人数でも工場の運営が可能となっています。
少子高齢化の中、将来的な工場内の採用や人材育成はどのようにされていますか。
工業高校卒業後の進学も増えているため、学校への訪問や連携を増やしながら、採用に努めています。教育に関しては、以前は各工場でそれぞれ教育を行っていましたが、教育レベルにばらつきが生じてしまいました。そのため現在は、技能職で入社した社員は4月から1月まで神戸と名古屋2カ所の工場で集合的に研修を行い、質を均一をはかる教育を行っております。その後、配属先でOJTを実施しています。

 

社会広聴会員:
最近は、水素で走る車がありますが、同じような発電方法ができるのではないでしょうか。

三菱重工業:
水素の活用方法については、発電燃料に使う方法もありますが、工場内で使用するガスなどの代わりに燃料として使う可能性もあります。三原製作所では、車両の塗装を乾かす際に使うガスの代わりに水素を使う方法を実験しています。

 

社会広聴会員:
三原製作所の太陽光パネル活用のノウハウは広大な敷地がない工場でも使えるものなのでしょうか。

三菱重工業:
三原製作所のように工場の全ての電力をまかなうことは難しいのですが、屋根の太陽光発電も含めて太陽光エネルギーを使いこなせていない工場は残っているため、三原製作所で得たノウハウを転用できます。
地元への貢献や自治体との連携はされていますか。三原市長との意見交換や、三原製作所を支えてくださっているサプライチェーンの皆さまにCO2排出削減のカーボンニュートラルのノウハウを届ける取り組みを行っています。

参加者からの感想

●海外売上比率が50%を超え、時代とともに扱う製品が変遷していることが、実物を見ることで分かりや
すく理解できました。
●広大な敷地を活用した太陽光発電で全工場のエネルギーをまかなうなどしながら、カーボンニュートラルへの先進的な実証実験に取り組まれているのは、日本を代表するリーディングカンパニーとしての責任を果たされていると感じました。
● サーバーの液浸冷却装置、これから各国を走る新交通システム車両の製造現場、一面の太陽光パネルなどを見学することができて、わくわくの半日となりました。社員の方の説明が分かりやすく具体的で、技術力で世界を支えているという誇りと自信を感じました。

三菱重工業 ご担当者より

この度は、貴重な機会をいただきまして、ありがとうございました。三菱重工というとロケットや船舶な
どのイメージを持たれる方も多いかも知れませんが、新交通システムや段ボール製造設備など、私たちの暮
らしを支える身近な製品も製造しています。今回の見学を通じて、その身近さとものづくりへの思いを感じ
ていただけましたら幸いです。これからも環境に配慮した製品づくりを通じて、社会に貢献してまいります。

お問い合わせ先
経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
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