トレロームプール浄化システムは素晴らしい。これを簡易かつ低価格にして、台所→風呂→トイレというような家庭内の循環ろ過システムは作れないか。
東レ:
この浄化システムは、東レのろ過技術、ろ過をする膜の技術、殺菌の技術を組み合わせたもので、プールや貯水槽など大型施設の浄水を行うものです。
生活排水を循環させるには、活性汚泥法という微生物による下水処理をしなければならず、台所→風呂などの個々の工程でそれぞれ処理することは困難です。家庭から出る生活排水を全て下水処理し浄化することは理論的に可能ですが、設備が大きくなってしまい、個人の家庭では不可能です。大規模の集合住宅であれば可能です。
リサイクルの必要性が叫ばれており、また浄水事業を行っている東レでは、工場など事業所の水洗トイレで使用する水は循環して使っているのか。
東レ:
私どもは、当然ながら水は非常に貴重な資源の一つと考えています。生産工程で使用する冷却水などは、混じり物のない純水なので、工場内を何度も循環させながら再利用しています。
岡崎工場で使用する水は、近隣の河川から取水したものと地下水です。当然のことですが、河川に戻す時にはきれいにしなければなりません。生産工程で通常 使用する水は、工程ごとに一次処理を行って有害物質を取り除き、集中処理設備で活性汚泥法により浄化し、きれいにして河川に戻しています。水洗トイレなど で使用する生活排水も同様に処理しています。また、この浄水システムは24時間稼動しており、万が一の事故にも対応できるよう二重・三重の安全管理体制を とっています。
製造工程で出る繊維屑は、どのように廃棄しているのか。
東レ:岡崎工場の場合、繊維を製造していますので、当然のことですが屑が発生します。これらは、99%リサイクルして繊維原料に戻しています。ところが中には、汚れや油が付着して繊維原料にリサイクル出来ないものがあります。それらは、固形燃料に形を変え、発電設備やボイラーなどの燃料として使用しています。
ペットボトルを再生した繊維で作ったカーテンや洋服など、リサイクルを考えた繊維製品は増えていると思う。東レではどのような取り組みをしているのか。
東レ:
全社的な取り組みとして、’93年に繊維リサイクル委員会を設置し、リサイクルしやすい製品の開発と使用後のリサイクルに関する検討を進めています。
身近な例で申し上げれば、’98年に開催された長野オリンピックで日本選手団が着ていたユニフォ-ムには、リサイクル可能な繊維製品として、当社の「ナイロン6」が使用されましたし、昨年開催のシドニ-オリンピックで日本選手団が着ていたユニフォ-ムにも、同様の理由で当社のポリエステル製品が採用されました。 ご質問にありました、ペットボトルをリサイクルしてポリエステル製品を製造する技術につきましても、積極的に取り組んでいます。
世界の浄水設備のろ過膜は、東レと三菱レイヨンで大半を占めていると新聞で読んだ。そのような技術力があるのだから、国内の家庭用浄水器もトップシェアなのか。
東レ:日本経済新聞社が出している市場占有率データで、私どもが一位、三菱レイヨンが二位となっています。ただし、こうした順位に左右されることなく、私どもはお客様に喜ばれる製品を作り、提供し続けたいと考えています。
浄水器で使用するカ-トリッジは、年に数回の交換が必要だが、これは使い捨てか。
東レ:現状では、使い捨てです。カートリッジは、殆どがプラスチックで出来ており、基本的には可燃ゴミとして、使用後は廃棄をお願いします。ただし、可燃か不燃か、また資源ゴミとするのかは、地域の回収事情に従って下さい。
海外でトレビーノ浄水器を使用する場合、一部硬水の地域があるが、硬水を軟水に変えられるか。同時に、海外の水事情に合わせた商品開発は行っているのか。
東レ:
私どもの浄水器トレビーノは、世界的に高レベルである日本の水道水の基準に合わせて開発しています。輸出やOEM(東レが製造し、提携している相手先ブランドで販売するもの)なども行っていますが、殆どの場合は、日本で販売しているものと仕様を変えずに、性能をご理解いただいた上でご使用いただいています。
ご質問にありました硬水の軟水化につきましては、現在の私どもの製品では対応できません。軟水化するには、イオン交換樹脂を使用するのが一般的であり、フランスやイギリスの一部では硬水しかない地域があるため、その地域向けの外国メーカーの浄水器にはイオン交換樹脂が入っています。形状としては、ピッチャ-型といって卓上の水差し型のものです。
世界では、様々なレベルの水道水がありますし、問題とされる除去対象物質も異なります。例えば、アメリカなどで問題になっているクリプトスポリジウムという原虫による感染症などは、日本の一般家庭では、これまであまり意識されていません。浄水器の小型化・高性能化が求められている中で、軟水化や除塩素・除菌など全てに対応することは非常に困難と言えます。私どもも、海外諸国での基準を満たすよう、現在も研究開発を進めているところです。
トレビーノシリーズにトリハロメタン高除去タイプというのがあるが、どのように違うのか。
東レ:
通常タイプのカートリッジには、ろ材として中空糸と活性炭が入っています。中空糸は、ろ過膜の役割を果たしてニゴリや赤サビなどを除去し、活性炭は、残留塩素を取り除きます。
一方、トリハロメタン除去タイプのカートリッジに採用している活性炭は、残留塩素だけでなく、トリハロメタン(塩素と水道水中の有機物が反応してできる物質。有害性の疑いがもたれている)も除去します。つまり、特にトリハロメタン除去性能に優れた活性炭を使用しているわけです。それぞれの用途に合わせてカートリッジを使い分けて下さい。
浄水器を何年も使っていると、油や水垢で汚れて困る。一度取り付けると外す機会は少ないので、蛇口との接続部分の汚れを防ぐようなカバーを作ってはどうか。
東レ:家庭用浄水器を作る上で苦労したことの1つに、様々な形状の蛇口にフィットさせることがありました。ご質問の件では、同様にカバーが蛇口形状とあわなければ、またそこに水垢などが溜まり不衛生になります。現在、サランラップを蛇口と浄水器の接続部分に巻くなど工夫して対応されているのであれば、どのような蛇口形状でも問題がないので、適切な方法と言えると思います。
C型肝炎を患ってインターフェロンを使用していた。今後の開発の見通しなどはどうか。
東レ:現在市場に出ている医薬品としてのインターフェロンには、二つのタイプがあります。一つめが、遺伝子組換え型のもので、二つめが、ヒトの細胞から作った天然型のものです。
東レ:
私どもの製品は後者で、副作用が少ないという理由から評価されています。
現在、インターフェロンはC型肝炎に対する薬効が認められ使用されていますが、他に網膜で発生する一部の病気や癌に効くのではないかとも言われています。私どもも新しい薬効の確認に努力していますが、今後さらに研究開発の余地のある薬だと考えています。
ISO14001の内容がよくわからない。どういうものか説明してほしい。
東レ:ISOとは、International OrganizationforStandardizationの略で、国際標準化機構のことです。14001は企業の環境行動に対する認証であり、他に、製品を作る際の品質管理システムに対する認証で9001というものもあります。当然のことですが、認証を受けるにはISOによる厳格な審査があり、また取得後も定期的に「認証に相応しい環境対応行動を継続しているか」審査があります。現在は、お客様に選ばれる企業になるため、多くの企業や工場などが取得に取り組んでおり、この岡崎工場も’99年の10月に取得しました。
以 上