企業と生活者懇談会
2010年2月26日 埼玉
出席企業:イオン
見学施設:イオンレイクタウン

「国内最大級・最新の『エコ・ショッピングセンター』を体験」

(概 要)
2月26日、埼玉県越谷市のイオンレイクタウンで、「企業と生活者懇談会」を開催しました。社会広聴会員21名が参加し、イオングループの概要をまとめたDVDを視聴後、イオンレイクタウンに関する説明を受けました。その後、店舗内の「人と自然に『心地いい』」をコンセプトにした取り組みを見学。続いて質疑懇談を行いました。
イオンから、コーポレートコミュニケーション部の末次賢一部長、大塚聡広報担当マネージャー、山谷詠一氏、グループ環境・社会貢献部の木下順次氏、イオンリテールから、SC営業本部レイクタウン事業部の合田正典事業部長、SC企画部の御殿谷昌彦マネージャーが出席しました。
イオンからの説明
■イオングループおよびイオンレイクタウンについて■
 イオンは、1969年(昭和44年)に地場の小売店3社の提携により「ジャスコ」として誕生後、「イオン」への社名変更、持ち株会社体制への移行を経て、現在はグループ会社と合わせて182社で構成されています。
 現在は、真の「お客さま第一の顧客満足業」を目指してグループ全体のさらなる成長を目指しています。
 イオンレイクタウンは2008年(平成20年)10月、商業施設面積22万4000m2、日本最大級のショッピングセンターとして開業しました。ここは、人と自然に「心地いい」をコンセプトとして、環境保全に向けた様々な取り組みを行う「エコ・ショッピングセンター」です。ユニバーサル(誰にでもやさしい)、ウォーカブル(歩きやすい)、コミュニティ(憩いの場になる)を満たすショッピングセンターを目指しています。

■人に「心地いい」ための取り組み■
 イオンレイクタウンでは、すべてのお客さまに安心して利用いただけるよう、「迷わない」「疲れない」「使いやすい」をコンセプトに、誰もが利用可能で有用となるような建物や空間のデザインに努めています。
 例えば、柱、壁、床、天井などの空間部を活用し、建築空間と一体的にデザインした「建築化サイン」を導入することで、必要な情報が視線の中に自然に入るようにしています。トイレや駐車場、駅などへの誘導サインは、誰でも直感的に分かるよう、大きな絵文字を採用しています。また、広いショッピングセンター内でお客さまが休憩しやすいように、椅子の数は、全体で700近く設置し、お店の構成も、カフェが点在するようにしました。こういった取り組みを開業前の段階で地元のNPO法人に視察してもらい、改善点は店舗に反映しています。

■自然に「心地いい」ための取り組み■
 イオンレイクタウンが立地する「越谷レイクタウン」は、「エコ」をキーワードに街づくりが進められています。イオンレイクタウンは、その主要施設として地域とともにエコを楽しめるコミュニティの場を目指しています。
 二酸化炭素(CO2)削減の取り組みでは、環境省の推進する「街区まるごとCO2 20%削減事業」を行う地域に立地していることを踏まえ、オリンピックプール4 面分の広大なソーラーパネルを設置したり、都市ガスによる発電と、発電した電気をターボ冷凍機に利用する「ハイブリッドガスエコシステム」を採用することなどで、それまでのショッピングセンターと比較して、約20%のCO2の削減を行っています。
 また、ショッピングセンターで「エコ」を身近に楽しんでもらうために、ゴミや再生品を素材にした作品など、地球や自然の大切さをテーマにした「アクトグリーンアート」を常設展示しています。
 さらに、屋外の駐車場には、国内商業施設としては初めて、電気自動車の急速充電器を設置しています。
 店舗ではマイバッグの利用を促進する買物袋持参運動や、バイオマス包装資材を用いた食品トレー(リデュース)、商品の配送・陳列に繰り返し使えるリターナブルコンテナ(リユース)、店頭でのリサイクル回収(リサイクル)など、常に地球温暖化防止に向けた3R運動を推進しています。

街区まるごとCO2 20%削減事業
新規市街地開発や再開発などが行われるエリアにおいて、ディベロッパー、地権者、自治体等が協調し、CO2の大幅な削減をもたらす対策をエリア全体に導入する事業に対して、環境省が補助する制度です。イオンレイクタウンは2006年(平成18年)、ほかの事業とともに、初の同モデル事業として採択されました。


見学の様子
■ショッピングセンターもお客さまも一緒に参加するエコへの取り組み■
 イオンレイクタウンでのエコへの取り組みを紹介した「アクトグリーンルーム」の片隅には「レイクタウン油田プロジェクト」と書かれたコーナーがありました。毎週火曜日に、家庭の廃油回収を行っており、週約70リットルの回収があります。このプロジェクトに参加したり、自家用車の代わりに電車でイオンレイクタウンに行くと、「グリーンスコア」がもらえ、スコアを集めて景品と交換できるなど、楽しみながらエコへの取り組みに参加できます。
 また、店内広場の装飾には、お客さまがペットボトルのふたを並べて描いた「フラワーウォール」もありました。
 ほかにも、木組みのベンチに埼玉県産の間伐材を使用したり、店舗の外壁に壁面緑化のための植物が植えてあるなど、店内には至るところにエコへの取り組みが見られました。雨水を貯めてテラスの植物に散水するために、植物の後ろには貯水タンクが置いてありました。壁面には目立つ所に太陽光発電パネルが設置されるなど、イオンレイクタウンが「エコ」に対して積極的に取り組んでいることがよく分かりました。

■「心地いい」工夫■
 店舗内のエスカレーターは、下りの方が上りよりもゆっくりと動いていました。これは、下りに不安を感じる方も安心して使えるための工夫でした。
 また、男女のトイレの間に大きな「ミルクルーム」が設置され、たくさんの家族連れが利用していました。中は男性も入れる授乳スペースと、女性のみが授乳するスペースに分かれていました。
イオンへの質問と回答
社会広聴会員: 
今後もイオンレイクタウンのような「エコストア」を全国に展開していきますか。
イオン: 
当社では、2005年(平成17年)から環境に特に配慮した「エコストア」をひとつのコンセプトとして展開を始めています。現在はまだ実験的な位置付けで年に1 ~2 店程度の出店ですが、イオンレイクタウンを含む「エコストア」での取り組みの結果、効果があると判断されたものは、既存店でも積極的に取り入れています。
 
社会広聴会員:
環境活動を行うことのメリットを教えてください。
イオン:
単なるエコ活動以上に、地域の方々とふれあいができる効果があります。イオンでは、1991年(平成3 年)から新たな店舗や物流センターをつくる際、地域の方々とともに敷地内に、その地域に自生する木々を植樹しています。この20年間で700万本以上植えてきました。
 
社会広聴会員:
エコに関する取り組みの中で、商品に生かしているものはありますか。
イオン:
私たちは、エコを「見える化」する商品を開発しています。例えば、世界的に減少傾向にある水産海洋資源を守るために、適切に管理された持続可能な漁業についての認証である「MSC認証」を紅鮭やイクラなどで取得、販売しています。また伐採を厳しく管理された、持続可能な森の木を使用した「FSC認証」を受けた木材を原料としたノートも販売しています。
これらの商品をお買い求めいただくことで、世界の海洋、森林資源保全に間接的に関与することにつながります。
 
社会広聴会員:
イオンのプライベートブランド「トップバリュ」について教えてください。
イオン:
「トップバリュ」はイオンが原材料から製造、流通まですべての責任を負っています。その証に、パッケージには当社の名前のみ記載しています。
これにより、商品に対するお客さまのご意見やご感想を直接イオンが受け取り、商品にもすぐに反映することができます。
 
社会広聴会員:
お店にはたくさんのお客さまが来られるようですが、それを生かした取り組みをされていますか。
イオン:
イオングループの全国の店舗には、平日は1 日平均400万人、休日は1 日平均1000万人のお客さまがお越しになります。これは、私たちが社会貢献活動について情報発信をする際、大きな利点です。例えば、先日のハイチ大地震では、わずか2 週間の募金活動で、約5000万円が集まりました。なお、イオングループの税引前利益の1 %を拠出して設立した基金「イオン1 %クラブ」からも5000万円を拠出し、計1 億円をハイチに届けることができました。
 
参加者の感想から
●イオンが常に革新を続けていく一方「お客さま第一」の理念を堅持している一端を実感しました。

●普通に買い物をしているだけでは気付くことがない、エコに関する様々な工夫を見せていただき、とても興味深かったです。事前にインターネットで店舗の概要を確認していましたが、やはり百聞は一見に如かずだと実感しました。

●すべての人々が当たり前のこととして環境やエコ、生物多様性などを認識し、地球規模で考え、日々の生活の中に生かしていく時代に、イオンはその一翼を担う企業です。直接お話をお聞きしたり、ショッピングセンターでの取り組みを見学したことを通じて、そのリーダー的存在を実感しました。

●「心地いい」空間をキャッチフレーズに新しい街づくりに取り組まれているということで、若者向けの施設だろうと感じていましたが、年配者がこの街に住み、ショッピングセンターを利用するのもいいなぁと感じました。ぜひ、今度は家族でショッピングを兼ねて見学に伺います。

●「エコストア」というコンセプトは、見せかけだけのものや独りよがりのものと受け取られることも多いと思いますが、継続は力であり、今後とも地道に活動を続けていってほしいと思います。
イオンご担当者より
 当日の懇談会は、ご参加いただいた皆さまの環境に対する意識の高さはもちろんのこと、専門知識をお持ちの方も多く、非常に有意義なものとなりました。また、お客さまの目線からの環境に対するご意見も多数いただき、今後の「エコストア」に反映し、地域に根ざした店づくりを実現していきたいと思います。今後も、イオンのショッピングセンターがより良いものになるために、皆さまのご意見をいただければ幸いです。ありがとうございました。
お問い合わせ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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