企業と生活者懇談会
2007年1月17日 東京
出席企業:東京ガス
見学施設:がすてなーに ガスの科学館

「企業の社会文化活動を考える」

1月17日、東京都江東区にある東京ガスの企業館である「がすてなーにガスの科学館」で「企業と生活者懇談会」を開催しました。社会広聴会員23名が参加 し、東京ガスのCSR(企業の社会的責任)や同館の概要などについて説明を受けました。その後、館内を見学して質疑懇談を行い、同社の企業活動と都市ガス について理解を深めました。東京ガスからは、広報部の飯田久也CSR室長、後藤麻里社会文化センター所長、ガスの科学館の井沢修館長が出席しました。
東京ガスからの説明
■東京ガスの歩み■
 東京ガスは1885年(明治18年)に創立された都市ガス事業者です。首都圏を中心に家庭用・業務用・工業用など1000万件近くのお客さまに都市ガスを供給しており、2005年度(平成17年度)の売上高は1兆781億円です。
 現在、都市ガスおよび電力市場の自由化に対応して東京ガスは電力事業にも進出し、都市ガスや電気などのエネルギーと、ガス機器やシステムなどをワンストップで、しかも最適な組み合わせでお客さまに提供する「総合エネルギー事業」を目指しています。

■東京ガスのCSR活動■
 「総合エネルギー事業」の実現には、CSRをきちんと果たすことにより、東京ガスの120年の歴史で培ってきた「安心・安全・信頼」の企業ブランドをさらに高めていくことが不可欠です。そのため、東京ガスでは「保安・防災」、「環境」、「パートナーシップ」(地域社会との対話・協働など)の3 つに特に力を注いでいます。
 「保安・防災」については、震度5以上の地震が起こった場合などに自動的にガスを止める「マイコンメーター」を各ご家庭に設置するとともに、24時間365日の緊急出動体制によってお客さまの生活を見守っています。
 また、全社のガス管網を約100のブロックに分け、地震発生時には自社の約4000台の地震計で震度を把握し、被害の大きなブロックのみガス供給を止めます。ガス供給停止後はできるだけ早い復旧を目指すとともに、中でも病院や避難施設などに対しては移動式のガス発生装置で熱源を提供するよう準備しています。
 「環境」の取り組みとしては、ガス管のリサイクルや社用車を天然ガス自動車に替えることによって、東京ガスとして環境に配慮した事業活動を行うほか、お客さまには省エネルギーのガス機器や燃料電池、コージェネレーションシステムなど環境にやさしい機器をご提案しています。
 「地域社会との対話」については、支店や支社が「東京ガスの顔」として、自治体・警察・消防などへの広聴広報活動と、お客さまやNPO、行政などと一体になった社会貢献活動である「社会文化活動」を展開しています。
 例えば地域と一緒に防災を考える「防災フェア」や、買い物・調理・後片付けまでを通じて環境にやさしい食生活を考える「エコ・クッキング講座」、食育の指導者育成支援、長野県にある「長野・東京ガスの森」での取り組みなどがあります。このように、東京ガスは公益性の高い企業として、東京ガスならではの「社会文化活動」に積極的に取り組んでいます。

■「がすてなーにガスの科学館」■
 東京ガスは、1986年(昭和61年)に創立100周年事業の一環として初代「ガスの科学館」を開設し、2006年(平成18年)3月の閉館までに約200万人のお客さまをお迎えしました。しかし、東京都の豊洲地区開発整備事業に伴い、2006年6月に現在の場所に「がすてなーにガスの科学館」をリニューアルオープンし、2006年12月末までに約14万人のお客さまに来館いただいています。
 同館は、小学生を中心とした次世代に身近な暮らしと科学の視点からエネルギーと環境を学ぶ校外学習の場を提供することを主な目的としています。
 建物の外観は345mの円弧の一部を切り取った丸屋根が特徴です。これは2万分の1の地球と同じ大きさで、21世紀の地球時代にふさわしいデザインになっています。丸屋根の上はすべて芝生になっており、「地球環境を守ろう」という願いが込められています。これによって、敷地の64%が緑化されています。また、発電・空調・給湯は環境にやさしい天然ガスで行っています。
 展示は「エネルギーの?(はてな)を学び!(なるほど)を実感」をテーマに、見るだけでなく、「触って、楽しんで、考えて、…」という五感を駆使する徹底した体験型になっています。家庭からガスの故郷までを探検する、燃料電池などガスの新技術と先進性を理解する、炎のアートと遊びなどのストーリー性のある展示や、工作や実験および食育などのワークショップやイベントも開催されています。
 こうした体験型の学習をお手伝いするのが「コミュニケーター」です。お客さまの様々な疑問に答えたり、遊び方を教えたりしながら知識を深めていただきます。
 同館は「コミュニケーター」を含めて総勢32名で運営されています。
東京ガスへの質問と回答
社会広聴会員:
都市ガスの主な原料である、天然ガスの特徴を教えてください。また、天然ガスを確保するために、どのような取り組みをされていますか。
東京ガス:
天然ガスは環境負荷の少ないクリーンエネルギーです。その理由は、燃焼時に発生する二酸化炭素や窒素酸化物の排出量が、石油や石炭と比較してかなり少ないことです。
また、天然ガスは世界各地に広く豊富に埋蔵されているため、安定的な供給が望めることも特徴です。
東京ガスはマレーシア、オーストラリアなど、複数の地域から分散して天然ガスを購入することでリスクを回避するとともに、単に購入者でいるだけでなく、LNGプロジェクトの一員としてガス田開発にもかかわっています。
 
社会広聴会員:
ガスと電気の違いと、その特色に応じた使い方を教えてください。
東京ガス:
電気は、石油や天然ガスを高度に加工してつくられた「二次エネルギー」で、電気にしかできないことがたくさんあります。一方で、都市ガスは「一次エネルギー」なので給湯、厨房、暖房など熱を生み出すことが得意です。お互いの得意分野において、お客さまがベストミックスで使えるような状況にすることが理想です。
 
社会広聴会員:
都市ガスを使った燃料電池の仕組みや、広く実用化する際の課題について教えてください。
東京ガス:
都市ガスから水素を取り出して、水素と酸素を結び付けて電気をつくります。東京ガスでは、業務用・工業用に加えて2005年度から家庭用の燃料電池の普及促進に取り組んでいます。これは各家庭に届くガスを原料に、燃料電池を使って発電し、排熱を利用するもので、今後さらにエネルギー効率を高めるとともに、システムのコストダウンと耐久性の向上を実現していきたいと考えています。
 
社会広聴会員:
「がすてなーにガスの科学館」と、地域とのかかわりについてはどうでしょうか。
東京ガス:
ガスの科学館をリニューアルする際には、豊洲地区の教育関係者や子どもたちから意見を集約しました。企業館として東京ガスの考えを一方的に伝えるのではなく、楽しさを通じて学ぶことができる内容にしました。
また、豊洲地区も商業施設の展開で魅力的なまちになっています。その中で、東京ガスとしては、ガスや環境について楽しみながら勉強でき、緑の多い広い敷地の中でゆっくりしてもらえる場所として提供しています。このように地域の健全な発展のために、多面的に地域とかかわりを持っています。
 
社会広聴会員:
省エネを推進することは、ガス事業者として、長期的に見てマイナスにならないのでしょうか。
東京ガス:
環境に対する関心が高まる中、企業として、社会から信頼され支持されるためには、省エネの機器やシステムを提供していくことが不可欠です。省エネと環境配慮は、エネルギー事業者としてお客さまに選択され持続的成長を実現していくための鍵だと考えていますので、決してマイナスだとは考えていません。
 
参加者の感想から
●毎日の生活に欠かせないガスを、今までは当然のように使っていましたが、それがどれほどの努力で支えられているか、よく分かる内容でした。

●ガス事業が一般社会に及ぼす影響は大きいので、多くの社員がいる東京ガスで周知徹底を図るには大変な苦労だと思いました。今後とも、安全安心を心掛けて、企業としてより一層の繁栄を祈ります。

●館内の展示は企画性に優れていて、何度来ても楽しめる内容であると思いました。より多くの子どもたちが見学に来て、ガスと科学を学んでほしいと思いました。

●災害時の対策や、普段からの防災対策など、安全の確保に努めていることが分かりました。事故は待ったなしなので、今後ともこれらの対策を進めてもらいたいです。

●企業の考えを押し付けるのではなく、来場者の楽しさに重点を置き、無料でその場を提供する東京ガスの懐の広さを実感できました。
お問い合わせ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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