企業と生活者懇談会
2005年9月16日 北海道
出席企業:北海道ガス
見学施設:北ガスショールーム「サガティック」

「生活の基盤を支える企業を考える」

9月16日、北海道札幌市にある北海道ガスの北ガスショールーム「サガティック」で、「企業と生活者懇談会」を実施しました。社会広聴会員10名が参加し、複合商業施設「サッポロファクトリー」内で使用する電気と熱を供給している「ガスコージェネレーションシステム」の見学や、エ コ・クッキングを体験した後、質疑懇談を行いました。北海道ガスからは、お客さま部の須藤哲夫部長、青木徹マネージャー、ソリューション部の栗田哲也係 長、広報グループの宮本伸司マネージャー、木村元主任が出席しました。
北海道ガスからの説明
■北海道ガスの歩み■
 北海道ガスは1911年(明治44年)に創立され、翌年から札幌・小樽・函館で約3600件の顧客にガスの供給を開始しました。その後、順調に顧客数を増やし、現在は約56万件に達しています。
 都市ガスの用途は、街のガス灯から始まり、家庭内の厨房、お風呂、暖房、そしてビルや工場などの業務用へと、時代とともに拡大してきました。
 また、都市ガスの原料は、以前は石炭や石油からガスを取り出していましたが、現在は天然ガスを利用しています。
このように、北海道ガスは安全を確保し、天然ガスを安定供給することにより、総合エネルギーサービス事業を展開しています。

■クリーンエネルギー「天然ガス」■
 天然ガスは、硫黄などの不純物を含んでいません。このため、燃焼しても硫黄酸化物(SOx)をまったく発生せず、窒素酸化物(NOx)の発生量も石油や石炭に比べ少量です。また、地球温暖化の原因といわれる二酸化炭素(CO)の発生量も少ないことから、クリーンで安全なエネルギーとして利用が進められています。

■北海道産の天然ガスを利用■
 北海道ガスは、1996年(平成8年)に天然ガスの導入を開始しました。天然ガスへの転換作業は地区ごとに行われており、今年6月に札幌地区の転換作業が完了しました。さらに、小樽地区は年内に、函館地区は来年中に転換作業が完了する予定です。
 日本では、LNG(液化天然ガス)を海外から輸入し、天然ガスへの転換を図るケースがほとんどです。しかし、北海道ガスは北海道産の天然ガスを利用して転換を進めています。これは、石油資源開発が苫小牧市勇払地区において、天然ガスの試掘に成功したことによるものです。
 勇払地区で生産された天然ガスは、同社の石狩供給所まで敷かれた全長112.5kmのパイプラインで送られ、札幌市内をはじめとするパイプラインの沿線各地に供給されています。エネルギーの生産地と消費地が近いことは、効率の面からもセキュリティーの面からも優れています。
 一方、札幌や小樽と地理的に離れている函館では、パイプラインで天然ガスを運ぶことが困難なため、東京ガスから年間約3万トンのLNGを調達することで、天然ガスへの転換を図る予定です。そのため、現在「函館みなと工場」を建設中で、2006年2月に完成予定です。

■ガスコージェネレーションシステム■
 ガスコージェネレーションシステムとは、都市ガスを燃料としたガスエンジンやガスタービンなどで発電し、その時に発生する排熱を回収し、給湯や冷暖房に有効活用するシステムです。従来の発電システムでは、エネルギー総合効率が約40%であるのに対して、ガスコージェネレーションシステムでは70~80%と高く、省エネルギー化を実現するとともに、COの削減にも貢献します。
 このようなシステムは、今回見学したサッポロファクトリーをはじめ、札幌ドームや札幌駅南口のJRタワーなど、全国のオフィスビル、ホテル、病院、イベント施設、複合商業施設、工場などで、導入されています。

※エネルギー総合効率
使用する一次エネルギーを100として、エネルギー変換(発電など)や輸送(送電など)によるロスを差し引いた後の最終的に利用できるエネルギーの割合。


■「買い物~料理~片付け」をエコの意識で■
 北海道ガスでは、環境のことを考えて買い物をし、料理し、片付ける「エコ・クッキング」の推進に積極的に取り組んでいます。エコ・クッキングの「エコ」は「エコロジー」のエコで、地球環境を大切にしようという意味です。
 私たちが毎日かかわる「食」を通じて、食べ物やエネルギーを大切にすることを体験する場として、エコ・クッキング講座を開設しています。
 今回の懇談会で、参加者はエコ・クッキングを体験しました。お茶の出がらしを使った緑茶まんじゅうを作り、ごみを減らす料理法や水を汚さない後片付けなどを楽しみながら学びました。
北海道ガスへの質問と回答
社会広聴会員:
都市ガスの安全性について教えてください。
北海道ガス:
まず、お客さまのところまでガスをお届けする際の配管ですが、以前使用していた鉄製の配管から、ポリエチレン製の配管への取り替えを進めています。このポリエチレン管は、鉄のように腐食することがないので、耐久性に優れています。また、柔軟性があることから折れたり亀裂が入ることがなく、地震の際にも安心です。
続いてガスを使用する際ですが、都市ガスをお使いいただいている場所には、「マイコンメーター」を設置しています。このマイコンメーターは、主に4つの機能があります。(1)震度5以上の地震の際に自動的にガスを止める機能、(2)ガスが必要以上に大量に流れた場合にガスを止める機能、(3)通常の使用時間よりも長時間使用された際にガスを止める機能、(4)ガス漏れ警報機がガス漏れを感知した際に連動してガスを止める機能です。これらの機能が作動した場合、お客さま自身でマイコンメーターの復旧作業をしていただければ、マイコンメーターが自動的に安全を確認し、その後は通常通りガスをお使いいただけます。
さらに、最近ではガス器具の安全性も急速に進んでいますので、ガスを使用する際の「3重の安全性」の普及に積極的に取り組んでいます。
 
社会広聴会員:
家庭用コージェネレーションシステム「エコウィル」の特徴や仕組み、コストなどについて教えてください。
北海道ガス:
「エコウィル」とは、ガスでエンジンを動かしてご家庭で発電し、その際に出る排熱をお風呂や給湯、暖房に利用するシステムです。北海道ガスでは、今年の6月から発売を開始しました。光熱費が軽減されるだけでなく、COの排出量も大幅に削減できます。
このシステムは、同様の機能を持った従来の商品に比べると割高ですが、高い省エネルギー性が認められ、国からの補助金を受けることができます。したがって、従来の商品とほぼ同等の価格で購入できます。一方、ランニングコストですが、過去2年間に約30軒の戸建住宅でモニター調査を行いました。その結果、灯油によるセントラルヒーティング住宅やオール電化住宅に比べ、光熱費を抑えられることが分かりました。
機能面の特徴として、「学習機能」が挙げられます。家族の生活パターンを記憶して、電気や熱を多く使う時間帯に運転するようになります。また、電気とお湯をどの程度有効活用できたかを確認できる「省エネ指数」も表示できます。
 
社会広聴会員:
エコ・クッキングを実践すると、COはどのくらい削減できるのでしょうか。
北海道ガス:
2002年(平成14年)に政府が出した『地球温暖化対策推進大綱』によると、日本中のご家庭にエコ・クッキングが普及すれば、年間10万トンのCOの削減になるそうです。この削減量は、歯を磨いたり、顔を洗ったりする際の洗面所での節水とほぼ同等です。
エコ・クッキングは、買い物から調理、後片付けまでと、取り組みの範囲が幅広いので、一人ひとりができることから始めて、少しずつ進めていくことが大切だと思います。
 
参加者の感想から
●エネルギーに関しては、毎日の生活の中でお世話になっていながら、なかなか詳しく知ることができないのが現状です。今回の懇談会に参加し、天然ガスの環境性やガスコージェネレーションシステムなど、大変勉強になりました。
 また、当日のプレゼンテーションを聞いているうちにわいてきた疑問・質問に対し、的確に回答していただけるという、懇談会形式のツーウェイコミュニケーションの良さを大いに感じました。懇談会で得た情報を、今後の活動に生かしていきたいと思います。

●ガスに対するイメージとして、「ガス漏れ」「ガス爆発」などという過去のイメージが強かったのですが、今回の懇談会で天然ガスの安全性がかなり高いことを知りました。
 自分としては少しでも環境問題に協力しようと考えているのですが、エコ・クッキングなどの説明を受け、主婦の一番身近なところでその意識が欠落していたことが分かりました。もっと身近な生活の中に、疑問や不思議を感じるようにしようと思った一日でした。

●生活に欠かせないエネルギーのひとつであるガスについて、いろいろなことを学ぶことができ、大変有意義でした。地産地消という考えのもと、勇払産の天然ガスを使用することは、資源の乏しい日本にとって明るい話題です。未来の子どもたちも十分に使えるよう、省エネにも取り組まなければと改めて思いました。
 排熱を十分に生かしきる姿勢や、エコ・クッキングでの買い物から片付けまでの心配りをみて、小さな積み重ねの大切さを痛感しました。

●施設見学だけでなく、エコ・クッキングの実習にも参加することができて、面白かったです。時間の関係などもあったと思いますが、ガスならではのエコについての説明を聞きたかったなぁと思います。ガスを利用する際の省エネについて、一般的にいわれていることに加えて、何かヒントを教えていただければと思いました。

●環境への取り組みや、地球環境に対する保全活動としての天然ガス導入のお話を聞くことができ、大変有意義な懇談会になりました。
 地産地消の勇払産の天然ガスを供給している点や、函館にLNG受入基地を建設しているなど、「頑張っているなぁ」との感想を抱きました。北海道ガスの企業責任、企業市民としての環境に対する真摯な取り組みを知り、私たち一人ひとりがどのようなライフスタイルをつくり上げていくのかを考えるきっかけになった一日でもありました。


以上

お問い合わせ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
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