企業と生活者懇談会
2009年11月9日 大阪
出席企業:大阪ガス
見学施設:泉北製造所第2工場

「クリーンエネルギーで拓く未来のくらし」

2009年11月9日、大阪府高石市にある大阪ガスの泉北製造所第二工場で、「企業と生活者懇談会」を開催しました。社会広聴会員17名が参加し、大阪ガ スや泉北製造所の概要について説明を受けた後、第二工場や同敷地内にある泉北天然ガス発電所、ガス科学館を見学し、質疑懇談を行いました。
大阪ガスのガス製造・発電事業部からは、藤井貴理事・泉北製造所長、矢田潔泉北製造所工場長、永野典郎発電部泉北発電センター所長、入江俊和泉北製造所技 術チームマネジャー、経営企画本部企画部からは、速水英樹環境・エネルギー政策チームマネジャー、リビング事業部お客さま部からは、大島浩史サービス企画 チームマネジャー、広報部からは古田聡理事・広報部長、津田龍司報道チームマネジャーが出席しました。
大阪ガスからの説明
■大阪ガスの概要■
 大阪ガスグループは、1905年(明治38年)に創業し、今年(2009年)で104年目を迎えます。グループの主力事業であるガス事業は照明用のガス灯から始まり、家庭の厨房や給湯、そしてオフィスや工場などの商業用や工業用へと広がってきました。現在はそうしたガス事業に加え、電力事業も手掛けています。都市ガス会社は全国で約210社あり、その中でも大阪ガスの販売量は日本で2番目に多く、国内シェアの約4分の1を占めています。

■クリーンな天然ガス■
 都市ガスの主成分は天然ガスです。天然ガスはマイナス160度に冷やして液体にし(液化天然ガス(LNG))、体積を約600分の1 に小さくして、海外から専用のタンカーで輸送しています。そして、製造所でLNGに海水の熱を加えて再び気化し、もとの天然ガスに戻しています。天然ガス自体は無色無臭ですが、万一ガス漏れが発生した場合でも感知しやすくするため製造所でにおいを付け、家庭に送り出しています。
 天然ガスは石炭に比べて燃焼時の二酸化炭素(CO2)排出量が少なく、環境性に優れたエネルギーです。大阪ガスは、この※天然ガスを燃料にするコージェネレーションシステムや燃料電池など、高度なエネルギーシステムを普及させることで、省エネルギーとCO2の排出削減を両立させ、低炭素社会の実現に貢献しています。

※天然ガスコージェネレーションシステム
天然ガスを用いて、家庭や事業所等で発電した際に発生する排熱を冷暖房や給湯などにムダなく利用する省エネルギーシステムのこと。


■天然ガスの高度利用で、地球環境に貢献■
 大阪ガスは、家庭で天然ガスを燃料に発電し、そのときに出る排熱を給湯や暖房に利用する家庭用コージェネレーションシステム「エコウィル」を2003年(平成15年)から発売しています。火力発電所などで発電して家庭に送電する従来の発電システムでは、排熱や送電ロスが多いのに対し、このシステムではパイプラインで家庭までロスなく運ばれてきたガスを使用し、しかも天然ガスで発電した際に発生する熱も利用できるというのが特徴で、エネルギー効率が高く、CO2排出量を約32%削減できます。
 さらに、2009年(平成21年)6月からは、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」を発売しています。これは、天然ガスから水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させて発電する仕組みで、そこで得られた電気や発生する熱を同時に利用することができます。従来型の燃焼によってタービンやエンジンを動かし、その動力で電気を起こす発電方法とは異なり、化学反応によって直接発電するため、エネルギー損失が少なく、「エコウィル」以上の高い発電効率とCO2削減を実現しています。

■都市ガス生産の7割を担う泉北製造所■
 泉北製造所は大阪ガスの都市ガス生産量の約7割を製造する大規模な製造所で、海を挟んで向かい合った第一と第二の2つの工場からなっています。
 第一工場は三井化学と東燃ゼネラル石油の間に位置する工場で、その立地を生かし、両社と冷熱供給や蒸気融通などで協力しながらエネルギー利用の効率化を進めています。一方、第二工場は南北の長さが2.1kmと長く、タンカーを受け入れる桟橋も2カ所に設置され、LNGの貯留タンクや気化設備が充実していることが特徴です。また、安定的なガス供給を可能にするため、第二工場は地区を南と北の2つに分け、それぞれの機能を分離しています。さらに、第一工場と第二工場を海底トンネル内に敷設した連絡管でつなぎ、そのパイプを通してLNGを移送するなど両工場は一体的に運用されています。これらによって、万が一の異常発生の際においても、都市ガスを安定供給できるよう配慮されています。

■冷熱を有効活用した発電設備■ 
 泉北製造所は都市ガス製造だけでなく、LNGが持つマイナス160度の「冷熱」を有効活用する設備を設置しています。その代表例が冷熱発電設備です。 LNGを気化させるためには海水の熱を用いるのが一般的ですが、泉北製造所では、海水とプロパンを熱交換させ、海水の熱を一旦プロパンに与え、そのプロパンがLNGに熱を与えるというトライエックス式という方式を用いて冷熱発電を行っています。この方式では、プロパンは海水の熱により気化し、またLNGの冷熱により液化する過程を繰り返しますが、液体状態のプロパンをポンプを用いて圧力を上げ気化させた後、その圧力でタービンを回転させることにより、発電が可能になります。この冷熱発電設備をはじめとした冷熱の有効活
用によって、泉北製造所では年間約15万トンのCO2削減を実現しています。

見学の様子
■製造所内やガス科学館の見学■
 天然ガスを有効活用する同社らしく、製造所内の見学も、天然ガス自動車を使って移動しました。その日は、月に8度しか来航しないというタンカーが運よく着桟しており、そのスケールの大きさを見たときには、思わず声を上げてしまいました。その後、工場内にある学習用体験施設、ガス科学館を見学しました。これは来館者が年間5万人にも上る人気施設で、子どもたちが環境について楽しみながら学べる様々なアトラクションが設置されています。中でも、当日体験した「触れる地球」は、その日が初公開の新アトラクションで、私たちは記念すべき最初の体験者となりました。地球の温度変化やオゾン層の状況など温暖化が地球に与える影響を目で見て触りながら感じることができるのが特徴で、参加者の皆さんも夢中で説明に聞き入っていました。

大阪ガスへの質問と回答
社会広聴会員:
地球温暖化防止については、どのように考えていますか。
大阪ガス:
石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料は利用する際に、「温室効果ガス」であるCO2を排出します。
CO2を出さない太陽光などの再生可能エネルギーの導入が進められていますが、今後しばらくは化石燃料への依存が続くと予想されています。そうした状況の 中、化石燃料の中で環境負荷が非常に小さい天然ガスへの転換が温暖化対策として有効であり、石油から天然ガスにエネルギー資源を代えると、CO2の25% 削減につながります。今後は、天然ガスの利用を促しながら、同時に省エネを進めていくことが重要だと考えています。
 
社会広聴会員:
ガスの料金はどのようにして決まるのですか。
大阪ガス:
ガス料金は、為替や原油価格に連動する原料価格部分とそのほかの原価からなっています。この原料価格を除いたガス原価については、大阪ガスは1980年 (昭和55年)以来、一切値上げしていません。これは労務費や経費の削減、検針方法の簡素化など継続した企業努力の結果です。また、原料価格を為替や原油 価格に連動させる原料費調整(スライド)制度については、ガス料金に反映するまでのタイムラグを縮め、一般の生活感覚に近づくようにしております。
 
社会広聴会員:
ガスの埋蔵量はどのくらいあるのですか。
大阪ガス:
地下に存在する資源のうち、技術的・経済的に採掘可能な埋蔵量を可採埋蔵量といい、現在の生産を続けた場合に資源 があと何年もつかという数値を可採年数といいます。天然ガスはこの可採年数が約60年といわれています。それに対して、石油は約40年、石炭は約130年 と考えられています。ただ、この数値は20年前からほとんど変わっていません。それは新たな油田やガス田が見つかっていることや、技術革新とともに採掘可 能な資源が増えているために可採埋蔵量自体が増加しているからです。
 
社会広聴会員:
電力会社がIH製品に力を入れていることに対しては、どのように考えていますか。
大阪ガス:
ガスと電力はその使われ方が違うと考えています。営業現場ではもちろん競争意識もありますが、環境への対応などに おいては、むしろお互いに協力し合えることがたくさんあります。調理や床暖房などガスならではの特性をしっかりアピールして、用途に応じてお客さまにガス と電力を使い分けていただけるようにしていきたいと思います。
 
参加者の感想から
●ガス会社でありながら、数多くの発電設備を持ち、発電した電気を電力会社に販売しているとは知りませんでした。

●CO2削減の取り組みがかなり進んでおり、頼もしい限りでした。今後は一層削減を進めてほしいと思います。

●広い敷地を見学し、緑の多さに驚きました。また、防災設備の数々を見て安心しました。

大阪ガスご担当者より
 このたび、生活者を代表される社会広聴会員の方に、当社の製造所の見学等を通して当社グループの事業活動や最新のエネルギー事業環境をご理解いただき、ご意見をいただく貴重な機会を得たことに大変感謝しています。参加された方々のエネルギーや環境に対する意識や見識の高さにもとづく率直なご意見は、今後の事業活動に生かしてまいります。このたびは、本当にありがとうございました。

お問い合わせ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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