企業と生活者懇談会
2009年7月24日 北海道
出席企業:東日本高速道路
見学施設:北海道横断自動車道道路工事現場

「北海道の暮らしを支える高速道路」

7月24日、東日本高速道路(NEXCO東日本)の協力で、「企業と生活者懇談会」を開催しました。生活者12名が参加し、NEXCO東日本北海道支社の 事業概要や北海道横断自動車道の概要についての説明を受けた後、橋梁とトンネルの工事現場、札幌道路管制センターを見学しました。 質疑懇談では、北海道における道路管理の将来像やETC割引など、幅広い話題をテーマに活発な意見交換を行いました。NEXCO東日本からは、北海道支社 より畠中耕三建設事業部長、千歳工事事務所の水口和之所長、総合調整部広報課の鈴木隆課長、道路管制センターの伊藤敦管制課長、本社より片山道夫広報室長、堤淳一広報室係長が出席しました。
東日本高速道路からの説明
■NEXCO東日本北海道支社 事業概要■
 東日本高速道路(株)は、2005年(平成17年)10月1日に旧日本道路公団が分割民営化したことに伴い、関東以北・新潟・東北から北海道に至る東日本エリアの高速道路の管理運営事業や建設事業などを行う事業主体として発足しました。
 愛称として「NEXCO東日本」を採用していますが、北海道では、一般の皆様の認知度は十分とはいえません。一層の周知を図ってまいりたいと考えています。 
 北海道支社管内の営業延長は589.7kmですが、現在、縦貫道で1カ所、横断道で2 カ所の計3カ所129.9kmを建設中です。そのうち、道央道八雲~落部間が10月10日、道東道占冠~トマム間が10月24日開通予定です。2008年度(平成20年度)の実績で利用台数は1日約15万台、営業収入は410億円となっています。
 北海道内のETC利用率は5月現在で71.2%であり、全国平均の80.2%と比べ低いものの、多くのお客さまによるETC休日特別割引等のご利用もあり、利用率は着実に増えています。また、北海道支社では「ETC夏トクふりーぱす」などのお得な割引商品を販売しています。
北海道支社としては、今後ともお客さまのために、安全・安心・快適・便利な高速道路を提供してまいります。

■北海道横断自動車道の概要■
 北海道横断自動車道は、札幌をはじめとする道央圏と、帯広・釧路などの中核都市が位置し中国地方5県とほぼ同じ面積を有する道東圏を結ぶ高速道路であり、広大な北海道の東西を結ぶ高速道路ネットワークとして非常に重要です。 北海道横断自動車道夕張~十勝清水間が開通することにより、次の効果が期待できます。
 1つは、道央圏と道東圏との旅行時間が短縮されます。これにより札幌方面から帯広市をはじめとした道東圏のアクセスが向上し、更なる観光行動圏の拡大など、地域の活性化および交流の促進が期待されます。
 2つ目に、過酷な峠を回避する機能が強化されます。道央圏と道東圏を結ぶルートとして一般国道274号がありますが、この区間には急峻な地形と過酷な気象条件下にあって北海道最大の交通の難所として有名な標高1022mの日勝峠があり、北海道の東西交流の大きな障害となってきました。高速道路は、この峠より標高が400m低い位置にあり、道路のカーブや縦断線形も大幅に改善されるため、霧による見通しの悪さが改善し冬期交通障害が減少するなど、更なる安全性の確保が図られます。既にトマム~十勝清水間の開通により、人身事故が開通前1年で25件だったのが開通後1年では14件にまで減少しています。

■工事現場見学■
 北海道横断自動車道の工事現場として、「楓橋」「大夕張トンネル」を見学しました。建設の3つの橋梁の名称について、近隣の小学校から募集し「夕張のぞみ橋」「夕張きぼう橋」「夕張みらい橋」に決まったことが紹介されました。 橋梁完成後は、この名称を習字で書き、その字体のままの名称看板を設置するとのことです。地域との触れ合いを大切にするNEXCO東日本の姿勢を改めて感じました。「楓橋」見学では、工事用エレベーターで建設中の橋梁に昇り、建設における苦労や工法についての説明を受けました。「大夕張トンネル」見学では、入り口から700m程までバスで入った後、 実際にトンネルを歩き、トンネル工法の特徴などの説明を受けました。「大夕張トンネル」は、総延長4000mを超える大規模トンネルで、その壮大さに見学者も圧倒されていました。また、トンネル工事の最中で発見されたアンモナイト化石が置いてあり、思わぬ発見が見学者の驚きを誘いました。

■札幌道路管制センター見学■
 札幌道路管制センター見学では、24時間、365日安全をバックアップしている作業現場の交通管制室に入り、業務内容について分かりやすく説明を受けました。
 実際に業務状況のひとつとして、大型パネルの具体的な内容と、9台のITVモニターから流れてくる道路状況などを見ながら、高速道路の維持・管理作業などを知ることができました。また、室内には、「非常電話」の現物が配置されており、普段では触ることのない機器類などの説明を聞くことができました。

東日本高速道路への質問と回答
社会広聴会員:
北海道の道路管理の将来像について。
東日本高速道路:
積雪寒冷地の高速道路であるため、冬期においても安心してご利用いただける道路を目指し、安全で円滑な道路交通を確保していきます。現在進めている事例として、「自発光スノーポール」を設置するなどの取り組みをしています。
 
社会広聴会員:
高速道路の発達により、道央圏(札幌など)へのヒト・モノ・カネの集中を助長し、地方の過疎化を促進するのではないでしょうか。
東日本高速道路:
高速道路が開通することで、ヒト・モノ・カネの流れは双方向に活性化すると考えています。いわゆる「中央から地方へ」の流れでは、例えば、観光地の入込み客数の増加や、 安価な土地を求めて工業団地への企業の進出などが期待されます。
 
社会広聴会員:
北海道横断自動車道建設の効果と費用は。
東日本高速道路:
夕張~十勝清水間の事業費約2440億円に対し、当区間の開通後50年間にわたって発生する総便益は約3850億円と算出されています。
 
社会広聴会員:
コスト低減の取り組みはどのようなものがありますか。
東日本高速道路:
例えば、トンネルの照明器具や配線などに用いる陶管をメーカーと共同開発したり、ガードレールなどの資材を直接調 達することでコストを削減するなど、様々な取り組みを実施しています。また、照明などで省電力・長寿命のLEDを採用し、維持管理費の削減にも努めています。
 
社会広聴会員:
高速道路と一般道の道路規格の違いは何ですか。
東日本高速道路:
高速道路は、高速でかつ安全な状態での車両走行を確保する必要があることから、一般道路と比べて幅が広く、曲線半径や勾配といった要素も緩やかになります。これらは、政令(道路構造令)で定められています。
 
 
社会広聴会員:
直線道路が望ましい場合でも、山や谷、河川などがあって、直線が困難な場合はどのように対処するのでしょうか。
東日本高速道路:
直線でルートを計画した場合、地形や河川などの関係で橋梁やトンネルの延長が増えるなど、不経済となる場合があります。そのため、許容される範囲内で曲線や勾配を採用し、経済的なルートを通ることとしています。今回見学した北海道横断自動車道の場合、夕張山地と日高山脈の間の地域で効率的なルートを選んでいます。
 
社会広聴会員:
新技術の採用についてはどうなっているのですか。
東日本高速道路:
新技術に関する情報交流の窓口として「TIネットワーク(Technical Interchange Network)」を2007年(平成19年)3月に開設し、企業の皆さまからの新技術や新工法のご提案をお受けしています。また、材料や製品情報を含め、有効と考えられる技術については、提案内容、企業名などを社内ネットワークで配信し、各現場にも周知しております。
 
社会広聴会員:
外国人観光客に対するサービスはどのようなものがあるのでしょうか。
東日本高速道路:
昨年のサミットを契機に、北海道の高速道路利用ガイドの英語版を作成し、レンタカー会社を通じて配布したほか、各 料金所には「外国人用指差しマップ」(4カ国語:日本語、英語、中国語、韓国語)を配付し、料金所での外国人との円滑な意思疎通を図っています。また、トイレにも4カ国語を表示しています。
 
 
社会広聴会員:
ETCの割引を実施していますが、ETCのみであるのは不満です。
東日本高速道路:
現在実施中の割引はご利用の距離や時間帯によって様々であり、ETCシステムを活用することで、 これらの割引にきめ細かくかつ円滑に対応できることをご理解いただければと思います。なお、お盆とその前後の期間限定ですが、現金のお客さまにもご利用いただけるような北海道独自の料金割引商品を提供したいと考えています。(NEXCO東日本は、同日夕刻「北海道夏ワリチケット」をプレスリリースしまし た。)
 
参加者の感想から
●困難に立ち向かう姿勢が頼もしく自動車道づくりは任せたよという気持ちになりました。無事開通しますように願いながら現場を後にしました。

●工事現場の見学はなかなか行けないところなので大変参考になりました。想像以上に工事現場内の整理整とんがされており、労働災害防止にも役立っていると思います。

●高速道路の橋梁およびトンネルの工事現場で具体的な説明をお聞きし、改めてその技術力に驚き、また、感心しました。

●高速道路の管制センターで、車両の安全性の確保が行われている現場を拝見し、担当する方々の影の努力に改めて感謝し、交通安全の確保が、今後ますます向上されることを望んでいます。

お問い合わせ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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