企業と生活者懇談会
2008年3月27日 沖縄
出席企業:沖縄銀行
見学施設:本店

「沖縄に根ざした企業の取り組みについて」

3月27日、沖縄県那覇市にある沖縄銀行本店で、「企業と生活者懇談会」を開催しました。
生活者15名が参加し、沖縄銀行の概要などの説明を受け、本店内の各部署の見学の後、質疑懇談を行いました。
沖縄銀行からは、松川義則取締役総合企画本部長、総合企画本部経営企画グループの金城澄男上席調査役、崎山和信調査役、城間有調 査役、人事部人事・研修グループの仲本大介主任が出席しました。
沖縄銀行からの説明
■沖縄銀行(株)の概要■
 沖縄銀行の創立は1956年(昭和31年)です。1963年(昭和38年)に三和銀行の営業譲渡、1964年(昭和39年)に東洋相互銀行を吸収合併、 1971年(昭和46年)に南陽相互銀行と合併して、現在の形になりました。1972年(昭和47年)に本土復帰し、日本銀行と代理店契約をし、日本の中の地方銀行という位置付けになりました。
 1987年(昭和62年)に東証2部と福岡証券取引所に、1989年(平成元年)には東証1 部に上場しました。1997年(平成9年)12月に日本格付研究所より格付を取得しました。2001年(平成13年)には女子行員の制服の自由化等々をしています。
 2002年(平成14年)6月に現在の頭取である安里昌利が第8代目として就任しました。当時54歳で、地方銀行界の中で一番若い頭取ということで、話題になりました。
 現在、支店が64店舗、ローンステーションが6カ所あります。ローンデスクが8カ所あり、ローンに特化した拠点が14拠点、事業性のビジネスローンセンターが1カ所あります。先島には宮古島に1店舗、石垣島に2店舗あります。
 沖縄銀行の「経営理念」は、健全経営を堅持しつつ、地域に密着、地域に貢献することです。2006年(平成18年)に創立50周年を迎えました。めざす銀行像、コーポレートイメージは、「People’s Bank~県民に愛される銀行~」です。
 行動指針は、「若い力を活かすビッグステージは、『おきぎん』にあります」です。金融自由化による激変の時代をチャンスと考え、斬新な発想と行動力でお客さまのニーズにこたえ、きめ細やかなサービスの提供を行う「地域社会の発展に貢献できる金融のプロ集団」でありたいと考えています。銀行業務を通して、お客さまからの支持・信頼、収益力や財務の健全性、株主にとっての魅力、そして従業員の満足、すべてにおいて地域のナンバーワンバンクでありたいと考えています。
 沖縄銀行の最前線は営業店です。従業員の約7割以上が営業店においてお客さまと接しています。まず支店長、次長というのは、経営職で、支店の経営を任せられています。その下に営業担当役席、融資渉外担当役席などがいて、営業班、融資渉外班を監督・マネジメントする重要な役割を担っています。その下に営業班と融資渉外班という2つの業務の担当がいます。
 営業班の業務は、入金、出金、送金、振り込み、公共料金の支払い、両替、税金の支払いなど、たくさんあります。最近は、ワーク・ライフ・バランスという趣旨で早帰りを推進しています。朝9 時オープンから3時まで窓口営業を行い、締めて、帰るのは6時というように、1日があっと言う間に過ぎていくというのが現状です。営業班の仕事は、基本的に即日完結処理といったものが中心です。
 それに対し融資業務は、営業班とは違って、その日で終わる仕事はほとんどありません。お客さまからの融資のご相談を受けますと、その融資に対してしっかりとした提案をしなければいけませんので時間が掛かります。個人のお客さまにしても企業のお客さまにしても、しっかりニーズを把握して提案していくことが必要なので、高いスキルが求められます。
 銀行の三大業務の1つは、お金を預かる預金業務です。2つ目が、お客さまから預かったお金を元手に、お金が必要な方々に融資をする融資業務です。預金が調達業務であれば、融資は運用業務です。最後に為替業務です。為替業務というのは、送金、振り込みなどですが、こちらは、全国どこへでも安全・確実・迅速に、振り込みなどで資金移動ができる仕組みです。これは銀行業務として、資金の流れを円滑にするということでの公共的な役割が非常に高い業務です。
 三大業務以外にも、現在、規制緩和に伴い、金融商品として、投資信託、生命保険、火災保険、損害保険などを販売している窓口販売業務があります。この三大業務を班で分けると、営業班で預金業務と為替業務を中心に行い、融資渉外班で、融資業務、金融商品の 販売などを中心に行っています。

■沖縄銀行の業績■
 2007年(平成19年)3月期の沖縄銀行の経常収益は409億円と、前年より48億円の増加となっています。主な増加要因ですが、有価証券利息が前年より6億円増えました。それにATMでの手数料収入、投信販売等々での手数料が約3億円増えて、役務取引等収益で47億円となりました。
 一番大きかったのは株式の売却益です。こちらが前年より39億円増え、42億円となっています。ただ、株式売却益に関しては、債権売却損というものもあげていて、この債権の売却損を埋めるために株式で売却益を出したということで、トータルでは有価証券でプラスマイナスゼロぐらいに持っていこうということで計上したものです。
 一方の経常費用、支出に関しては前年比17億円増加し、290億円となっています。主な増加要因は預金利息が10億円増加したことと、債権売却損です。損自体が9億円膨らんだということです。預金利息の10億円というのは残高が増えたこともありますが、2007年3月期に関しては、日本銀行が1回利上げをしていて、その分、預金金利も上昇していますので、その結果、支払いである預金利息が増加しました。
 経常費用のうち経費は176億円、それに不良債権処理に関する費用である与信費用13億円、前年より7億円減少した結果、経常収益から経常費用を引いた数字、経常利益は119億円で前年比プラス31億円となっています。
 沖縄銀行として一番重要視しているのはコア業務純益です。こちらは有価証券の売却損益などを除いた本業で稼いだ収益で、131億円です。2007年3月期に関しては比較的順調な数字となっていました。
 特別損益は、前年の反動減などもあり、26億円減少しました。その後、税金の支払いなどもあり、当期純利益では63億円となっています。
 県内地銀シェアですが、沖縄県内には沖縄銀行、琉球銀行、沖縄海邦銀行と、地方銀行が3行あり、沖縄銀行の平均残高ベースでの預金シェアは大体39%台の後半で一定している状況です。一方、貸出金は41.64%と、ここ2年間に大体1%ずつ伸ばしています。
 健全性・安全性という観点から沖縄銀行の説明をすると、マスコミなどで出てくるのは自己資本比率になるかと思います。この2007年3月期での自己資本比率に関しましては、11.07%。Tier I(正味自己資本)比率で10.47%となり、国内基準の4%はもとより、国際基準の8%も上回っています。
 日本格付研究所の評価は、20ランク中の上から6番目のA(シングルA フラット)という格付で、債務履行の確実性が高いという内容となっています。

■第13次中期経営計画■
 2007年4月に、第13次中期経営計画に「SPEED &STRONG」というサブタイトルを付け、2年計画でスタートしています。SPEED & STRONGとは、大競争時代を勝ち抜くスピード経営とたくましい組織ということです。銀行経営、環境はかなり厳しい大競争時代に徐々に入ってきています。このような時代は、何事にもスピード感を持って経営していきたいということ、また、社会変動、激震にも耐え得る強いたくましい組織をつくり上げていきたいという方針です。その上に名実ともに地域ナンバーワンバンクになりたいと考えています。
 この中期経営計画の基本戦略に営業戦略、組織戦略、人事戦略、業務戦略の連携した4本の柱を立てて実行していこうと考えています。それをS P E E D &STRONGという考え方で貫いて、営業店を介してお客さまに展開していきたいと考えています。
 沖縄銀行は「銀行経営を通して、健康・環境・文化・福祉・教育へ貢献した経済活動を行います」というCSR(社会的責任)宣言をしています。
 その中でも特に「健康応援BANK」と銘打って、心・身体・お金という3つの健康をサポートしたいと考えています。まず心が健康でなければいけません。仕事もできませんし、そういったメンタルヘルスの部分もしっかりサポートしていきたいです。次に、身体の健康で、丈夫な身体をつくらなければ経済活動もできません。これは行員向けのメッセージでもあるのです。さらに、お金の健康です。沖縄銀行はお金を扱っている業種ですので、健全なお金の活用または融資で、計画的に借りていただかなければ当行の不良資産も増えます。お客さまの立場になってお金の健康についてもアドバイスできるような銀行になりたいと思っています。
 CSRの具体的活動のひとつとして、「おきぎんふるさと振興基金」があります。2001年(平成13年)から始めた助成活動で、今年18年目を迎えています。現在166先に1億1700万円の実績があります。また、「長寿日本一復活キャンペーン」や、ママさんバレー大会の共催なども行っています。

沖縄銀行への質問と回答
社会広聴会員:
沖縄銀行では海外への進出を考えていますか。また、本土(県外)への進出についても聞かせてください。
沖縄銀行:
海外へは、三菱東京UFJ銀行の上海支店に1名派遣しています。当行の出店も可能か、する必要があるかといった調査も含めて研究するということで派遣しています。県外につきましては、東京に支店がありまして、東京での資金運用、貸し出しなども行っています。ただし、当行は「地域密着・地域貢献」という大前提がありますので、基本的には県内調達・県内運用がメーンですので、県外に、さらに出店する計画は、現時点ではありません。
 
社会広聴会員:
女性の行員の人数と、女性管理職の人数、男性との割合など教えてください。
沖縄銀行:
全体で正行員が1100名余りで、その内訳は男性が720名、女性が370名です。正行員以外は嘱託、パートタイム、派遣職員が500名ほどいまして、トータルすると、男性が810名、女性が790名とほぼ半々になります。そのうち管理職以上は全体で490名余りで、女性は47名です。役席者のうちの 10分の1が女性という状況です。
 
参加者の感想から
●沖縄県で初めての会に参加でき、感謝しています。創立以来、地域密着、地域貢献を掲げ、業績を上げて健闘されていて、地元企業として頼もしいです。

●昼食時にお話をした従業員の方は、仕事に対しても自信を持っており、表情からも自信と生き生きとしている様子が感じられました。また、お客さまにも、従業員にも、そして株主にも満足してもらうという企業の姿勢に感心しました。

●日ごろ、企業の実態を知ることのない生活者にとって企業を知ることができる良い機会だと思います。企業も生活者に知ってもらえる良い機会なので、積極的に参加していただける企業が増えることを願っています。

●銀行にはいろいろな部署があり、未来を見ながら動いていることが分かりました。明るく、元気よく、夢、希望を描いて、地域密着・地域貢献。沖縄銀行が元気である理由が少しずつ理解できました。

●本店を訪問して、企業の雰囲気や経営について深く知ることができました。資料もいただいたので、これからもう一度見直し、研究するところです。
お問い合わせ先
(財)経済広報センター 国内広報部
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