企業と生活者懇談会
2003年7月1日 東京
出席企業:スカイパーフェクト・コミュニケーションズ
見学施設:青海放送センター

「新しいライフスタイルを創造する企業を考える」


スカイパーフェクTV!からの説明
■会社概要■
 当社の沿革をたどると、1996年10月に、当社の前身である「日本デジタル放送サービス」が、日本で初めての多チャンネル放送である「パーフェクTV!」として、テレビ番組57チャンネル、デジタルラジオ番組4チャンネルで本格放送を開始しました。
 1998年5月に、「日本デジタル放送サービス」と「ジェイ・スカイ・ビー」という2つの放送サービス会社が合併し、現在の「スカイパーフェクTV!」となりました。
 2003年5月末現在、「スカイパーフェクTV!」の加入件数は約341万件、昨年7月に開始した「スカイパーフェクTV!2」の加入件数は約4万8千件、合計約346万件の方に加入いただいています。
 「スカイパーフェクTV!」では、テレビ番組として181チャンネル、デジタルラジオ番組が104チャンネル、合計285チャンネルの番組を放送しています。また、「スカイパーフェクTV!2」では、テレビとデータで58チャンネルを放送しています。現在、4万8千件ご加入いただいていますが、地上波デジタル放送が開始される今年12月以降、テレビの買い替え需要が発生するため、「スカイパーフェクTV!2」を含めて、デジタル放送への関心が再度高まるのではないかと期待しています。

■視聴動向について■
 全国の平均普及率は7・8%です。中期計画では、2007年に全国普及率を10%、件数にして500万件を計画しています。
 一番普及率が高いのは、静岡県で10%を超えています。ここはサッカーファンが多いことに加え、多チャンネル放送に限らず、新しいものを進んで受け入れる地域性があるようです。
 当社で目標としている普及率の数値は10%で、宮崎、島根、滋賀、福井県が該当します。これらの地域で普及率が高い要因は、地上波の民放チャンネルが少ないことや、より多くのチャンネルを希望してスカパーをご覧いただいているお客様が多いという点にあります。一方、大阪と東京といった大都市での普及率は、数%レベルと比較的低い水準にとどまっています。加入総数自体は大都市では多いのですが、普及率になると、衛星の受信用のアンテナを立てられない集合住宅が多いことなどから、低くなっています。
 当社の加入者を年齢層で見ると、加入を促進させる宣伝をたくさん行った効果もあり、20~30歳代のお客さまが比較的多くなっています。「スカイパーフェクTV!2」については、現状では受信装置が比較的高価ということもあって、年齢分布的には中高年齢層のテレビ購入者など、余裕ある世代層が中心のようです。
 6月末の株主総会で、株主さんから「ターゲットが若者に向きすぎているのではないか。高齢化社会をどう考えているのか」という質問がありました。これに対して当社は、「どうしても事業の立ち上げ時期には、消費者の中で引っ張ってもらう層が必要になります。その際に、若い方々に引っ張っていただかないと普及につながらない。ですから、これまでは20~30歳代をターゲットにしていました。当社も今年度は黒字が出る予定で、事業として次のステージに立ったと思っています。これからはまた違った形で、幅広い層にターゲットを設定するなど検討しなければいけないと考えています」という回答をいたしました。
 一方で、チャンネルの中には意外と50~60歳代の方々に向けたチャンネルも多い。囲碁、将棋の専門チャンネル、時代劇チャンネル、昔のドラマや映画を楽しんでいただけるチャンネルもあります。この点を来年以降どうやってPRしていこうかというのが、当社の課題です。

■多重放送について■
 今年の12月をめどに、東京の一部の集合住宅で光ファイバーを使った映像配信事業を始める予定です。都市部に多い集合住宅では、窓が北向きであったり、美観や安全上の規制等もあり、スカパーのアンテナを立てることができないケースが多くあります。多くのご家庭が地上波放送もケーブルテレビで見ている状況で、首都圏では60%がアンテナの難視聴地域にあると考えられています。このような要因から、アンテナから直接受信するスカパーのサービスは、集合住宅では受け入れられにくい現状にあります。こういった問題を解決するために、地上回線である光ファイバーを使って、集合住宅向けにスカパーのサービスをお届けしようと計画しています。
 髪の毛くらいの細さの光ファイバーを通して、テレビ500チャンネルと100メガbpsのインターネット通信の提供が可能になります。地上波アナログ放送、12月から始まる地上波デジタル放送、またBSデジタル放送も含めて、全てのチャンネルを光ファイバーの中に押し込んで、集合住宅向けにお届けしようという計画です。

■わが国のテレビの進化■
 地上放送として、1953年に白黒のテレビ放送が始まりました。その後、40年以上アナログ放送だけの時代が続きましたが、日本でも1996年からデジタル衛星放送がスタートしました。2000年12月にはBSデジタル放送もスタートし、現在はデジタル化の最後ともいうべき地上波のデジタル化の準備が進められています。地上波のデジタル化は、まず東京、大阪、名古屋の三大都市圏で今年の12月から始まる予定です。
 CS放送、BS放送とよく聞きますが、一体何が違うのでしょうか。実は衛星の位置や伝送方式が違うのです。東経124度、128度にある衛星が「スカパー!」などのCS放送用、東経110度には、「スカパー2!」などのCS放送用の衛星と、BS放送用の衛星があります。それぞれに別の受信装置が必要になります。
 放送のデジタル化は世界的な流れです。最初にデジタル放送を実施したのが、アメリカのディレクTVです。イギリスでは地上波のデジタル化は1998年から開始しています。アメリカやスペインに続き、日本も三大都市圏の一部で、地上波デジタルが今年12月から始まります。
 では、デジタル化とは一体どのようなことなのでしょうか。カラーテレビになった時は白黒から色付きになり、外国の俳優が出てくると「目の色が青いのね」、「色が本当に白いのね」と分かりました。デジタルになった時、何を通して実感できるのでしょうか。
 大きな特徴として3つ挙げられます。一つは高画質です。BSデジタル放送をご覧の方は、大画面でも大変きれいな映像を見ていただいていると思います。本年12月から始まる地上波デジタル放送も、中心は高画質の映像です。
 二つ目は放送内容の高機能化です。BS放送でも、CS放送の一部でも実施していますが、データ放送や双方向性といったことが可能になります。例えば、放送中のクイズ番組に直接参加できます。また、画面に流れている音楽のCDを欲しいと思ったら、簡単な操作でCDが買えるようになります。
 三つ目の特徴として、マルチチャンネルがあります。この機能により放送時間を気にせず、自分の好きな時に、いつでもニュースや天気予報が見られるようになります。

■青海放送センター■
 「スカイパーフェクTV!」のメイン事業はプラットフォーム事業です。プラットフォーム事業とは、番組を放送してもらいたいという
会社から委託を受けて、それを衛星に送る事業のことです。衛星に送る業務は目黒、青山、大阪、青海の4カ所で担当しています。スカパーは3つの衛星に地上から映像を送っています。先ほど説明したように、東経124度、128度、それから110度の衛星です。
 放送にいたるまでの全体の流れをお話しすると、まず放送を希望する会社から番組をいただきます。この際、専用の回線を使ったり、VTRを持ち込むなどして、スカパーに番組を届けてもらいます。これらは大量の数になりますが、これをデジタル圧縮技術を使って変換し、それを地上から衛星に打ち上げます。お客様はこれを受信機で受けて視聴していただく流れになっています。
 番組は無料放送もありますが、ほとんどが有料放送です。有料番組の視聴の可否は、有料視聴の申し込みを受けたカスタマーセンターが「鍵」にあたるデジタル信号を衛星を使って送り、その「鍵」を受け取ったチューナーは有料放送を見ることができるようになってます。「鍵」を持っていない視聴者は、番組を見ようとしても見られません。また、「ペイ・パー・ビュー」というサービスもあり、ある番組だけ、あるいは1日だけ有料チャンネルを見たいといった場合、これを利用できます。
 
スカイパーフェクTV!への質問と回答
社会広聴会員:
サッカーなどスポーツ番組がスカパーの一つの売りだと思うのですが、全般的に子供向けの番組が少ないと感じます。今後の番組編成の方針についてお聞かせください。
スカイパーフェクTV!:
皆さんが日常ご覧になっている民放各局は、自分たちで多くの番組を制作し、放送しています。つまり、番組という「ソフト」制作と放送という「ハード」の2つの事業を行っているのです。それに対して当社は、プラットフォーム事業者という位置付けにあります。当社は、放送事業者から受けた番組を衛星に伝送するのが主な仕事です。つまり、番組制作という「ソフト」と、放送という「ハード」が別々に行われているのです。
スカパーは加入者を増やし、契約件数が350万件を超えました。しかし、事業を始めた頃は、お客さまの数が少ない中で、多額の投資をしなければなりませんでした。そのような中で、お客さまを増やすコンテンツとして、多くの方に人気のあるサッカーなどスポーツで需要を掘り起こしてきました。
350万件とお客さまも増えてきたので、今後はお客さまの持つ潜在的なニーズを把握したり、専門的で特徴のある分野の番組提供を進めていきたいと考えています。 
 
社会広聴会員:
番組編成は、どのように進めているのですか。売り込みがあった中から選ぶのか、それともスカパーさんから作って欲しい番組をお願いするのでしょうか。
スカイパーフェクTV!:
日本には放送法をはじめさまざまな法律があり、各種の規制の下にあります。規制の厳格な順番に事業者を並べると、まずNHKがきます。次に一般放送事業者である民放各局。そして、委託放送事業者、役務放送事業者といった放送設備を持たない業者が、規制緩和で放送事業に参入することが可能となりました。
それぞれの事業者に対して、総務省から免許が交付されています。例えば、委託放送事業者が海外のテレビで良い番組を見つけ、国内に紹介したいと考えれば、総務省に免許の申請をします。さまざまな審査を経て、認可を受ける。その認可を受けた番組がスカパーに入ってくるのです。当社に番組を提供するのは、この委託放送事業者と役務放送事業者になります。
番組の編成ということになると、これは事業者の仕事になります。委託・役務放送事業者が自分たちで、どういった時間帯が視聴者にとって見やすい時間だろうか、自分たちがターゲットにしている視聴者はどの時間帯に多いだろうかといったことを考えて編成します。
当社でも自前のチャンネルを複数持っています。これらのチャンネルに対して、どのような番組を提供するのが適切なのかをマーケティングしています。基本的な考えとして、スポーツは生中継が大事だと思っています。放送を見逃した方のために、再放送もしています。見て欲しい方に、見やすい時間に編成することが、編成のあるべき姿だと考えています。
 

社会広聴会員:
私たちが普段見ている民放の番組では、CMなどが番組の合間に流されていますが、CS放送ではどのような取り扱いになっているのですか。
スカイパーフェクTV!:
チャンネルによってはCMを入れ、スポンサーから広告収入を得ているところもありますが、民放のようにそれをメインにしてビジネスをしているチャンネルはほとんどありません。民放の15秒のCMにかかる費用と、当社の30秒あるいは1分のCMにかかる費用とでは、金額が数十倍は違うと言われています。スカパーは大きくなったといっても、お客さまの数は300万規模です。
通常の民放は、その一ケタ上の数字になります。そのぐらい差があります。しかし、そういうところで、一生懸命に気持ちを込めて番組を作りたいとおっしゃる制作会社もいっぱいあります。6時間全部使って、ひとりの人を追うドキュメンタリーを作るなど、民放では考えられない番組を作っています。現場の我々としても、視聴者が本当に興味を持って見ていただけるような番組を作って、放送するということを常に考えています。ところが、一方でそれには非常にお金がかかることもあり、すべて思い通りに動くわけではありません。ジレンマに陥ることもあります。ビジネスとしてもっと回転するようになれば、若干余裕が出てくるのではないかと思います。当社はデジタルという武器を持っています。今後はこのデジタルを軸に、事業の拡大を図ることを考えています。今後、加入者が増えればポジティブ・スパイラルとなって、良い内容のチャンネルもどんどん育成できるのではないかと思っています。
 

社会広聴会員:
サービス開始当初より、利用させていただいています。野球中継を見るために、ペイ・パー・ビューのプロ野球セットの契約をしています。しかし、Jスカイとの合併の後遺症でしょうか、放送があるのに受信できない試合があります。電話で問い合わせたところ、チューナーを買い替えないとダメだということでした。チューナーを買った時期が早かったというだけで、同じ料金を払っているのに見られないというのは納得がいかないのですが……。
スカイパーフェクTV!:
おそらく最初のチューナーをお持ちなのだと思います。1996年に「パーフェクTV」がスタートした時にご購入いただいたチューナーは、東経128度にある衛星からの電波を受信しています。その後、1998年にジェイ・スカイ・ビーと合併し、こちらは東経124度の衛星から電波を発信しています。合併後は、2つの衛星からの電波を受信できるアンテナ・チューナーが販売されています。
最初にご加入いただいた方々は、当社にとっては大変貴重なお客さまです。そういう方々に対して、今後どのように対応していくのか重要な課題ですが、他の視聴者に費用が跳ね返ってはまずい。当社が成長していく過程で出てしまった問題です。こうした事情もご理解いただき、チャンネルの編成などでご満足いただけるよう心がけています。
 

社会広聴会員:
ケーブルテレビは頻繁にチラシが入ってきますが、スカパーのチラシは見かけません。家電屋さんに行けば、スカパーのサービスのことがよく分かるとは思うのですが、もう少しPRをしたらどうでしょうか。潜在的なお客さまはかなりいると思うので、積極的なアプローチをしてみてはいかがでしょうか。
スカイパーフェクTV!:
おっしゃる通りだと思います。ケーブルテレビはインターネットのサービスとセットで、強力に営業を進めていますね。今まで家電屋さんを中心に営業を進めてきて、これはこれで効果を上げています。こうしたやり方は、一面では大変お金がかかる手法です。いずれにしても、PR不足が加入者増に結びついていないことが、今日の懇談会の中でもよく分かりましたので、営業にもきちんと伝えていきたいと思います。
 

社会広聴会員:
私はスカパーの株主なのですが、株主宛てに「あなたはスカパーの加入者になっていますか」と問い合わせる書類を見たことがない。株主に加入をお願いする案内状を出したことがありますか。
スカイパーフェクTV!:
今のご意見は非常に耳が痛い。本年度株主さんにお送りした書類には、当社の商品説明と加入のパンフレットを入れさせていただきました。当社には株主さんが4万人います。希望としては、少なくとも全員に加入していただきたいと思っています。まず株主さんにご加入いただいて、率直な、そして色々なご意見を伺いたい。株主さんから周囲の方に加入者を増やしていくことが大切だと考えています。今後も努力したいと思います。
 

社会広聴会員:
私はスカパーの株主なのですが、株主宛てに「あなたはスカパーの加入者になっていますか」と問い合わせる書類を見たことがない。株主に加入をお願いする案内状を出したことがありますか。
スカイパーフェクTV!:
今のご意見は非常に耳が痛い。本年度株主さんにお送りした書類には、当社の商品説明と加入のパンフレットを入れさせていただきました。当社には株主さんが4万人います。希望としては、少なくとも全員に加入していただきたいと思っています。まず株主さんにご加入いただいて、率直な、そして色々なご意見を伺いたい。株主さんから周囲の方に加入者を増やしていくことが大切だと考えています。今後も努力したいと思います。
 
社会広聴会員:
他のメディアとの競合が激しくなることが予想される中で、スカパーの独自性をどう出していきますか。
スカイパーフェクTV!:
WOWOWやケーブルテレビが良きライバルなのかもしれませんね。
ライバルという点では、インターネットも挙げられます。これまでインターネットでは、せいぜい文字情報や写真を見る程度でした。これからネット上でどんどん映像を見ることができるようになってくると、インターネットの世界と、放送の世界がバッティングしてきます。当社も、今後はインターネットや光ファイバーを使って、サービスの拡大を進めていこうと考えています。
映像をはじめ情報を届ける経路は、その時々でどんどん増えたり、変わったりしていくでしょう。しばらくすると、携帯電話でテレビが見られる時代がくるかもしれません。
途中の経路はどうであれ、視聴者にコンテンツをきちんと届ける。当社には、多くのコンテンツを持った事業者にお集まりいただいている。それをいろいろな経路を使って、視聴者に届ける。この仲介役を当社がきちっとやっていく。それがコンテンツを持っている方々にとっても、視聴者にとってもメリットになると思います。今は衛星放送が中心ですが、今後は伝達方法をどんどん広げていきます。
将来にわたって多チャンネルの文化を根付かせるためには、他社との提携も考慮しなければならないだろうと考えています。それを実現するために、販促費、広告宣伝費を有効に使い、魅力あるコンテンツを用意して加入者を増やす。そして、多チャンネルを根付かせる。こういったことを実現するために、積極的に取り組んでいきたいと思います。
 
出席者の感想から
●生活者の目線で企業と懇談ができたとことは、大きな意義がありました。
また、企業側も生活者の意見が聴取できたと思います。スカイパーフェクTV!は、従来の日本の産業社会にはなかった企業で、その成り立ち、課題、経営施策などが大変参考になりました。

●テレビを見るのが大好きな私ですが、与えられた番組の中から、今何を見ようかと選ぶのではなく、この番組が見たいから見るようにするというのが、特にこれから年をとっていく上でも、とても大切なことだと思いました。

●「288の多チャンネル、24時間放映」―すごい時代なんだなあと驚いています。これからは時間の使い方、得た情報の中から自分が何を選択するか、その選択眼が大切なんだと痛感しています。

●衛星放送システムの現場に接する機会を作っていただいたお陰で、その原理、設備、支えるスタッフの実態がよく理解でき、大変勉強になりました。あわせて、視聴者の多様性の一端にも触れることができ、情報化社会の理解を深める上で、異色の体験をさせていただいたことを感謝しています。
 
お問い合わせ先
(財)経済広報センター 国内広報部
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