企業と生活者懇談会
2011年9月21日 神奈川
出席企業:日清オイリオグループ
見学施設:横浜磯子事業場

「“植物のチカラ”で『おいしさ・健康・美』を追求」

2011年9月21日、横浜市磯子区の日清オイリオグループ横浜磯子事業場で、「企業と生活者懇談会」を開催し、社会広聴会員23名が参加しました。同社および横浜磯子事業場の概要の説明を受けた後、同事業場を見学し、午後は質疑懇談を行いました。日清オイリオグループから、高柳利明執行役員・横浜磯子事業場長、青山敏明執行役員(商品開発室、品質保証室担当)、横浜磯子工場の佐藤将祐副工場長、CSR推進室の内田英男室長、小林和昭主管、保坂正俊品質保証室長、広報・IR部の星野康子部長、松浦謙司リーダーが出席しました。
日清オイリオグループからの説明
■日清オイリオグループの概要■ 
 日清オイリオグループは、1907年(明治40年)、中国(当時は清)の大連に工場を設け、日清豆粕製造として創業しました。満州大豆を搾りその粕を肥料として販売する事業からスタート。その後、食用油の需要拡大を見越して社名を日清製油に改め、1924年(大正13年)には日本で最初の国産サラダ油である日清サラダ油を発売しました。グループ会社の経営統合などを経て、現在は日清オイリオグループとなっています。社名の「OilliO(オイリオ)」は、油の「Oil」と、それを反転した「liO」を組み合わせた造語です。 
 主力事業は、食用油やミール(飼料や肥料用途の油粕)を扱う油脂・油糧事業と、業務用マーガリン、チョコレート油脂などを展開する加工油脂事業の2つで、合わせて売上の9割強を占めます。その他、中国での油脂・油糧事業、大豆食品素材事業、ヘルシーフーズ事業、化粧品原料や潤滑油などを扱うファインケミカル事業を成長事業と位置付けています。 
 
■横浜磯子事業場の概要■ 
 国内には、横浜磯子事業場、名古屋工場、堺事業場、水島工場の4つの製造拠点があります。横浜磯子事業場は、大豆、菜種の搾油から精製、パッキングまで一貫して行っており、一貫型製油工場としては世界最大級の規模です。食用油、ミール、マーガリン以外にも、化粧品原料、大豆たん白などの様々な製品を生産しています。協力会社を含め、およそ1000人の従業員が働いています。 
 
■食用油の製造工程■ 
 原料のほとんどは、世界各地から輸入しています。大型船で運ばれてきた菜種、大豆などは、専用埠頭から荷揚げされ、サイロで品種別に保管、コンピュータ制御によって順次製造工程に送られます。 
 まずクキ・サヤなどを抜き、細かく砕き、押しつぶします。次に、油分が多い菜種は圧搾機で圧力をかけて油を搾り出した後、残りの油分を無駄なく抽出します。大豆は油分が少ないので、圧搾せず直接抽出機にかけます。 
 こうして得られた原油は、様々な精製を経て食用油になります。まず遠心分離器で不純物を取り除きます。次の脱色工程で濾過器に通すと、濃い色をしていた油は薄くなります。サラダ油はこの後に脱ロウ工程を伴います。仕上げは脱臭です。できた食用油は、厳しい品質検査を経てパッキングされます。 
見学の様子
■横浜磯子事業場■ 
 圧搾・抽出工程の建屋に入り、中央監視室であらためて製造プロセスの説明を受けました。同工程は完全に機械化され、計5名の少人数が交代で中央監視室から遠隔管理し24時間連続運転しているそうです。菜種1キログラムを圧搾し搾り取ることで得られる油は約400グラム。重さにして半分以上が残りますが、そのミールも家畜飼料や園芸用肥料の原料として販売されていきます。場内に漂う香ばしい匂いから、食用油工場であることを実感しました。 
 続いて専用埠頭へ。輸入船は停泊していませんでしたが、大掛かりな荷揚げの様子は、高さ38メートルのサイロが並び立つ光景と、「アンローダーやコンベヤーを使っても2~3日を要する」という説明から想像できました。最後に、食用油のパッキング工程を見て見学を終えました。
日清オイリオグループへの質問と回答
社会広聴会員:
食用油にはいろいろな種類がありますが、どれが好まれていますか。
日清オイリオグループ:
家庭用食用油市場の商品種類別の構成比の推移を見ると、1990年代半ばまでは、大豆・菜種をブレンドしたサラダ油が9割以上を占めていました。それが92年の「日清キャノーラ油」の発売などを受けて大きく変化し、現在ではキャノーラ油(菜種油)が市場の7割以上を占めるに至っています。オリーブオイルの伸長も近年の特徴です。
 
社会広聴会員:
製造工程での独自の工夫があれば教えてください。
日清オイリオグループ:
食用油のサイズは、400グラム、1キログラムといった重さの単位で表示しています。リットル表示ではありません。油が温度によって体積が変わりやすいためです。この性質ゆえ容器いっぱいに油を詰められず、空気中の酸素で油が酸化してしまうおそれがあります。これを防ぐのが、日清オイリオグループ独自の「酸化ブロック製法」です。油を充填するときに容器の酸素を追い出し、窒素ガスを充填して酸素濃度を大きく下げ、鮮度を長持ちさせます。 
 
社会広聴会員:
食用油について健康の観点から教えてください。
日清オイリオグループ:
油脂とは、「グリセロールに、3つの脂肪酸が結合したもの」です。天然の油の95%以上がその形です。油脂を構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類です。飽和脂肪酸が多いと結晶になりやすく、常温では固体になります。一方、オレイン酸をはじめとする不飽和脂肪酸が多いと曲がって不揃いとなるため結晶化しにくく、一般に常温で液体です。液体である植物油には、不飽和脂肪酸―オレイン酸など体にとって必要な成分が多く含まれています。
脂肪酸は、炭素などがつながった鎖のようなものです。普通のサラダ油は炭素など18個が連なった長鎖脂肪酸です。一方、ココナッツやパームに含まれる長さが半分程度の中鎖脂肪酸というものがあり、昔から未熟児の栄養補給にも使われていました。「日清ヘルシーリセッタ」は、この中鎖脂肪酸を含み、その性質を利用した商品です。普通の油は十二指腸で初めて分解されリンパ管、血管を巡り体の隅々に貯蔵されます。一方、中鎖脂肪酸は胃で分解されるためタンパク質、糖と同じ経路を通り直接肝臓に運ばれエネルギーとして燃やされるので、脂肪蓄積が抑制されます。
 
社会広聴会員:
原料の安全性確保に向けた取り組み、特に残留農薬や遺伝子組み換え原料のチェック体制を教えてください。
日清オイリオグループ:
残留農薬については、原料を信頼のおける取引先から仕入れており、検疫所、植物油協会そして私ども企業がそれぞれの角度から定期的に分析・確認を行っています。 
遺伝子組み換え作物ですが、搾油用の大豆、菜種は「不分別」というカテゴリーに属し、組み換えと非組み換えとは分けて流通されておりません。なお、遺伝子を組み換えるとタンパク質や遺伝子そのものは変わりますが、油にはタンパク質や遺伝子は含まれず、分析では成分に差が無く、組み換えかどうかを判別することはできません。 
  
社会広聴会員:
環境配慮に向けた取り組みを教えてください。
日清オイリオグループ:
具体的な目標を掲げて環境管理を推進しています。例えば、生産部門では、生産工程の廃棄物ゼロを目指し、2010年度、再資源化率99.8%を達成しています。二酸化炭素(CO総排出量も、ガスコージェネレーションシステムの導入をはじめとする取り組みにより、「90年度比92%に改善」との目標を、大きく上回る実績を達成しています。環境保全に関する社会貢献活動にも取り組んでいます。横浜磯子事業場従業員のボランティア活動では、工場の枠を飛び越え、周辺工場の環境部門の方たちと一緒に、金沢八景の海の保全を目指すアマモ移植活動に参加・協力しています。 
 
社会広聴会員:
フライに使う油は何回くらいまで使えますか。
日清オイリオグループ:
揚げ種から出てくる成分や水分などによっても違ってきます。お客様窓口では「一般的に3、4回」とお答えしていますが、においが感じられるようになったらすぐに取り替えることをお勧めします。 
 
社会広聴会員:
グローバル展開について教えてください。
日清オイリオグループ:
中国・台湾には生産拠点があり、食用油、ミール、加工油脂を販売しています。マレーシアではパーム油を原料にチョコレート用油脂などを生産し、ロシア、ヨーロッパなどに輸出しています。スペインには化粧品原料の製造工場があります。その他、介護食品のアジアでの販売など、海外事業を積極的に展開しています。
 
参加者の感想から
●様々な質問に対して分かりやすいご説明・ご回答をいただきました。製品づくり、CSRなどのご説明から日清オイリオグループの姿を肌で感じることができました。 
 
●食用油の特性や健康オイルの仕組みが、よく理解できました。 
 
●水質汚染物質の削減、大気汚染物質の削減・監視など環境に配慮する取り組みを推進していると聞き、近所に住んでいる者としてとても安心しました。 
 
●参加された日清オイリオグループの方々全員が、笑顔で対応してくださりうれしかったです。企業ロゴマークは笑顔をイメージしているそうですが、社員の方々の応対にも理念が表れていると思いました。 
日清オイリオグループご担当者より
 社会広聴会員の皆さまからの貴重なご意見、ご質問、そして温かな励ましのお言葉を、今後の事業・CSR活動に活かしたいと考えております。身近な食品を扱う企業として、今後も生活者の皆さまとのコミュニケーションの機会を大切にしてまいります。
お問い合わせ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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