企業と生活者懇談会
2015年11月5日 神奈川
出席企業:中日本高速道路
見学施設:新東名高速道路工事現場、コミュニケーション・プラザ川崎、川崎道路管制センター

「地域社会の発展と暮らしの向上に寄与する高速道路~みちを守る みちを造る~」

11月5日、中日本高速道路(NEXCO中日本)の新東名高速道路工事現場(神奈川県海老名市および厚木市)、コミュニケーション・プラザ川崎、川崎道路管制センター(神奈川県川崎市)で「企業と生活者懇談会」を開催し、社会広聴会員19名が参加しました。同社概要、新東名高速道路概要について説明を受けた後、海老名南ジャンクションや厚木南インターチェンジ(仮称)の工事現場などを見学し、質疑懇談を行いました。 
NEXCO中日本からは、東京支社厚木工事事務所の末吉寿明所長、飯村英紀工務課長、東京支社保全・サービス事業部道路管制センターの渡邉雄二センター長、コミュニケーション・プラザ川崎の秋岡正男館長、経営企画本部広報部の横山亮介副部長、経営企画本部広報部広報室の木之?逸郎室長代理、会田俊介氏が出席しました。

NEXCO中日本からの説明

■NEXCO中日本の概要■
 NEXCO中日本は、2005年(平成17年)10月1日、旧日本道路公団の分割民営化により、NEXCO東日本、NEXCO西日本とともに設立されました。東は東京都から、西は福井県、滋賀県、三重県までを営業区間とし、管理・運営する道路は約2000キロメートル、サービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)は約180カ所、1日の利用台数は約190万台に上ります。 
 同社では、主に3つの事業に取り組んでいます。1つ目が、高速道路の建設事業です。新東名・新名神の整備によるダブルネットワークの形成や大都市圏の環状道路の整備など、効果的で信頼性の高い高速道路ネットワークの整備を着実かつ効率的に進め、渋滞緩和や沿線地域の利便性向上など、お客さまの期待に応えています。2つ目は、保全・サービス事業です。24時間365日、安全で、安心・快適な高速道路を支えるために、高速道路の保全とサービスの充実に努めています。また、同社が管理する高速道路のうち、開通後の経過年数が30年を超えているものが総延長の約6割に達するなど、老朽化が進んでおり、大規模更新や大規模修繕を実施しています。最近では、重大事故の発生につながる逆走防止対策も大きな課題となっており、大型矢印路面標示やUターン防止のラバーポール設置などの対策を進めています。3つ目は、関連事業です。地域の特色を生かした店舗づくりなど、特徴と魅力あるSA・PAづくりを進めています。また新たな事業領域への挑戦として、高速道路の価値を高めるインターチェンジ(IC)周辺の開発や、観光振興、不動産開発などにも取り組んでいます。 

■安全性向上3カ年計画■
 NEXCO中日本が事業を行う上で、最も力を入れていることは、「安全性の向上」です。同社は、2012年(平成24年)12月の中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故以降、「二度とこのような事故を起こしてはならない」という深い反省と強い決意のもと、安全性向上3カ年計画を策定し、着実な実行に取り組んでいます。同計画は、5つの取り組み方針のもとに、具体的な取り組みが定められています。1つ目が、「安全を最優先とする企業文化の構築」です。お客さまの安全を何よりも優先するという基本姿勢を徹底し、安全を最優先とする経営理念への見直しや、社長自らが現場を訪問し安全に関する意見交換を行っているほか、計画を着実に実行するために組織の抜本的な改革を進めています。2つ目は、「構造物の経年劣化や潜在的リスクに対応した業務プロセスの見直し」です。高速道路の維持管理段階での点検データなどを建設段階へフィードバックするPDCAサイクルの構築や、画像撮影技術などを活用することによる点検・補修技術の高度化などに取り組んでいます。3つ目は、「安全管理体制の確立」です。社員からの提案、お客さまからのご意見など、社内外の安全に関する情報を共有する仕組みを構築し、運用しています。4つ目は、「体系化された安全教育を含む人材育成」です。研修などを通じて、安全管理に関する技術力の向上に取り組むとともに、自ら考え、安全を優先する人材を育成しています。5つ目は、「安全性向上に向けた事業計画」です。道路上などに設置された構造物の撤去・移設など、ハード面での安全対策を実施しています。 

■新東名高速道路の概要■
 新東名高速道路の全長は約270キロメートル(連絡路含む)です。このうち御殿場ジャンクション(JCT)(静岡県御殿場市)から浜松いなさJCT(静岡県浜松市)の約162キロメートルは2012年4月に開通しており、その他の区間については開通に向けて工事を実施しています。すでに開通している静岡県内の新東名高速道路の整備効果として、東名高速道路の静岡県内における渋滞が9割以上解消しています。さらに、海側を走る東名高速道路に対して、新東名高速道路は山側に建設されているため、東名高速道路が台風による高波や地震による津波などの影響を受けた際の代替道路としての機能も果たします。また、開通以来、静岡県内の工場立地数が約2倍に増加し、県内の宿泊者数が2年連続増加するなど、地域経済への波及効果も拡大しています。

見学の様子

■海老名南JCT工事現場を見学■
 海老名南JCTは、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)と新東名高速道路がつながる場所になります。海老名南JCTから西に向けて建設中の高速道路のほとんどは、橋りょうで建設されています。参加者は、工事用の足場で建設中の高速道路に上り、「高速道路の橋りょうは、河川や道路など交差する条件によって、コンクリート橋・鉄(鋼)橋を使い分けています」といった内容の説明などを聞きながら、高さ数十メートルはある重機を使った迫力ある橋りょうの建設工事を熱心に見学しました。 

■厚木南IC(仮称)工事現場を見学■
 厚木南IC(仮称)は、海老名南JCTから西に約2キロメートルの地点にあります。ICはJCTと違って、一般道から高速道路に乗り降りする場所になります。厚木南IC(仮称)の現場では、軟弱地盤対策として、約1年間かけて、深さ20~30メートルから地上までの土にセメントを混ぜ、軟らかい地盤を固めているそうです。参加者は、興味深げな表情で見学していました。
 実際の建設現場で工事の様子を見ながら、現場担当者の説明を聞き、一つひとつの工程に対する工夫と技術力を学ぶことができました。

■EXPASA海老名■
 次に参加者は、東名高速道路(上り)のSAである「EXPASA海老名」(神奈川県海老名市)に立ち寄りました。 
 EXPASAとは、NEXCO中日本のSAのブランドの名称で、東名高速道路、中央自動車道、名神高速道路などに展開しています。EXPASA海老名は、「1.5日のマイパートナー」をテーマに運営しています。これは、翌日の朝ご飯や翌日以降も楽しめる日用品をお客さまに提供し、帰宅後もEXPASA海老名を楽しんでもらうことを意味しています。EXPASA海老名では、高速道路を利用するお客さまだけでなく、地域の方にも利用していただけるよう、海老名市が運行するコミュニティーバスの停留所「EXPASA海老名前」を誘致するなど、多くのお客さまに利用してもらえるように取り組んでいます。 

■コミュニケーション・プラザ川崎 川崎道路管制センター ■
 最後に、コミュニケーション・プラザ川崎と川崎道路管制センターを見学しました。 
 コミュニケーション・プラザ川崎は、NEXCO中日本がグループ一体となって進めている高速道路の建設や管理、SAの運営などについて紹介する施設です。参加者は、高速道路の歴史を振り返りながら、“みち”を「造る・守る・愉しむ」ための様々な取り組みなどを学びました。
 川崎道路管制センターでは、NEXCO中日本が管理・運営する約2000キロメートルの高速道路の内、515.6キロメートルの道路状況の監視、事故対応、設備制御などを担当しています。刻々と変化する交通量や路面などの情報を、高速道路上に設置してあるカメラや24時間パトロールを行っている交通管理隊などからリアルタイムで収集しています。その情報を、情報板などを通じてお客さまにスピーディーに提供するなど、安全で安心・快適な高速道路空間の提供に向けて取り組んでいます。

NEXCO中日本への質問と回答

社会広聴会員:
高速道路を新たに建設するルートなどの計画はどのような過程を経て、決定するのですか。
NEXCO中日本:
高速道路の建設などの計画については、国土開発幹線自動車道建設法という法律に基づいた予定路線について、国土開発幹線自動車道建設会議での審議を経て、具体的に建設するルートなどが決定されていきます。この会議は、国会議員と大学教授などの有識者10~20名で行われ、計画の決定に当たっては、地形、地質、気象などの自然条件、集落や工場などの社会環境条件など、様々な条件を検討することになっています。
 

社会広聴会員:
高速道路と一般道路で走行する際の違いや工夫されている点はありますか。
NEXCO中日本:
 いろいろな工夫がありますが、例えば高速道路は、一般道路に比べて、安全面を考慮してカーブが緩やかに設計されています。急なハンドル操作をせずに安全に曲がることができるように設計しています。これを専門用語で「クロソイド曲線」と言います。
 

社会広聴会員:
高速道路を建設する際に最も苦労される点は何ですか。
NEXCO中日本:
高速道路を建設する際は、地域住民の方々のご了解をいただいて、測量や調査などを始めるという工程になっています。地域住民の方々と高速道路の計画について協議し、その後、建設予定ルートの土地を持っている方から土地をお譲りいただく交渉をさせていただきます。現場ごとに条件などが違い、一概には言えませんが、大事な土地をお譲りいただくということで、土地の取得に時間がかかるケースが多くあります。また、高速道路は、建設費用をお客さまから通行料金として頂くことになっています。安全を第一に考えながら、できるだけコストを抑えてお客さまに満足いただける高速道路を造ることにも、常に気を使っています。
 

社会広聴会員:
高速道路建設の際の、環境への配慮について。
NEXCO中日本:
例えば動植物が多く生息している湿原や河川の環境保全など、エコロード(自然環境に配慮した道)づくりによる生物多様性の保全に取り組んでいます。また地域の方々と連携して植樹活動なども行っています。
 

社会広聴会員:
新幹線や飛行機など、他の交通手段との結合や連携について教えてください。
NEXCO中日本:
2009年(平成21年)に開港した富士山静岡空港については、東名高速道路のICが比較的近くにあることから、空港へのアクセス道路としてご利用いただいています。また少し先の話ですが、現在計画されているリニア中央新幹線の山梨県内の駅が、中央自動車道の近くに計画されていますので、スマートICの設置を関係機関と連携・協力して進めていく予定です。
 

社会広聴会員:
社会貢献の取り組みについて。
NEXCO中日本:
NEXCO中日本グループでは、様々な社会貢献活動を行っています。例えば、障がい者就労支援として、障がい者団体と連携して、高速道路の清掃や植栽作業などをお願いしています。また、お客さまに高速道路を安全に走行していただくことを目的とした、無料出張講座「高速道路交通安全セミナー」を企業や学校などを対象に実施しています。2014年度までに約23万人の方に受講いただいています。他にも、高速道路沿線地域での草刈りなどのボランティア活動も積極的に行っています。
 

参加者の感想から

●最悪の道路事情といわれた日本の歴史を変えた自信と、誇りを見ることができました。引き続き、世界で必要とされるインフラ事業の先端を歩んでいってほしいです。 

●高速道路の安全に対する真摯な取り組みを知り、安心しました。 

●普段は入ることのできない高速道路の裏側を知ることができ、何気なく使用していた高速道路が多くの方々の苦労があって、安全に成り立っていることを実感することができました。 

●EXPASA海老名では、最新の商品を扱う店や有名店が出店しており、まるで百貨店のようでした。

●工事現場では、安全を大前提に工期なども意識しながら作業している中で、地域住民への騒音軽減の配慮などもしていることを知り、工事現場の大変さを痛感しました。今後も安全・安心・快適な高速道路建設・管理に向けて頑張ってください。 

●コミュニケーション・プラザ川崎や川崎道路管制センターを見学して、24時間利用する側への対応体制が万全であることを知りました。

NEXCO中日本ご担当者より

 このたびは、新東名高速道路の建設現場をはじめ、当社施設の見学にお越しいただき、ありがとうございました。
 今回ご見学いただいた新東名の全線開通には、まだしばらく時間がかかりますが、2016年2月13日には、愛知県内の区間(豊田東JCT~浜松いなさJCT間約55キロメートル)が先行して開通する予定です。すでに開通している静岡県内の区間(御殿場JCT~浜松いなさJCT間約162キロメートル)と合わせて、200キロメートルを超える区間で、東名高速道路とのダブルネットワークが完成します。
 当社はこれからも、お客さまの安全を最優先に、安心・快適な高速道路を提供できるよう、皆さまの声をお聞きしながら事業を進めてまいりますので、引き続きご支援とご協力をよろしくお願いいたします。

お問い合わせ先
経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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