生活者の企業施設見学会
2018年4月18日 東京
企業・団体:東京地下鉄
見学施設:地下鉄博物館

「地下鉄の歴史・技術を『みて!ふれて!動かして!』学ぼう」

2018年4月18日、東京地下鉄の関連法人である公益財団法人メトロ文化財団が運営する地下鉄博物館(東京都江戸川区)で「生活者の企業施設見学会」を開催し、社会広聴会員22名が参加しました。

概要説明

 メトロ文化財団は、財団法人地下鉄互助会(1956年6月に設立)が前身で、2012年4月に公益財団法人となりました。同財団は、地下鉄博物館の運営を中心に、地下鉄に関する知識の普及、沿線地域文化の振興などの活動を通じて、交通道徳の高揚を図り、交通文化の発展に寄与する事業を展開しています。また、東京地下鉄株式会社(愛称:東京メトロ)と協力して、東京メトログループ14社全体の社会貢献活動事業を行っています。 
 地下鉄博物館は、日本初の地下鉄ミュージアムとして、1986年7月にオープンしました。地下鉄が私たちの生活の中でどのような役割を担っているのか、どのようなシステムで動いているのか、どのように守られているのかを「みて、ふれて、動かして」理解するというコンセプトの下、地下鉄の歴史や最新技術を学ぶだけでなく、運転シミュレーターや模型が動くメトロパノラマ、地下鉄クイズなど遊びながら体験して学べる施設になっています。また、館内のガイドは15カ国語に対応しており、スマートフォンやタブレットなどでQRコードを読み取ると、選択した言語のガイドを見ながら見学することができます。 

見学の様子

 地下鉄博物館の概要について説明を受けた後、7つの展示コーナーで構成されている館内を見学しました。参加者はガイドの解説を聞きながら、まず、東京の地下をどのように電車が走っているのかを見渡せるメトロパノラマを見学しました。東京メトロ9路線を再現したメトロパノラマの線路の全長は約400メートルにもなります。銀座線の模型電車には車載カメラが付いており、自動運転で走行する模型電車目線の景色がモニターに映し出されました。このような解説付きのデモンストレーションが1日4回あります。 
 続いて、東西線ホームの実物大模型を見学しました。線路に転落した場合の危険性や、物を落としてしまったときの状況をイベント時などに体験できます。参加者は実際のホームの高さから線路を見下ろしたり、線路からホームを見上げたりして、普段思っていた以上に線路からホームまでが高いことを改めて体感しました。ここでは、ホームでの転落や電車との接触を防止するためのホームドアの安全性を再確認できました。
 「地下鉄の歴史」コーナーでは、日本の「地下鉄の父」である早川徳次(のりつぐ)の功績や地下鉄の歴史をたどりました。世界最初の地下鉄は1863年にイギリスのロンドンで誕生し、早川は1914年にロンドンの地下鉄を見て、東京での地下鉄開業を志したといわれています。そして、日本では1927年12月30日、東京の上野~浅草間2.2キロメートルに開通したのが地下鉄の始まりです。また、全国9都市の地下鉄のシンボルマークや概要が一覧できるコーナーもありました。
 次に、参加者は丸ノ内線の池袋~御茶ノ水間を走っていた戦後初の電車である301号車内を見学しました。現在の丸ノ内線を表す鮮やかな赤色のボディーの電車です。そして、開業当時のターンスタイル(回転式改札口)を通り過ぎると、2017年9月に「国の重要文化財」に指定された日本初の地下鉄車両1001号車が見えてきました。文化財保護のため、通常は車内公開をしていませんが(年に数回、特別の日等で公開)、今回は特別に1001号車の車内を見学しました。1001号車は上野~浅草間の地下を走った鉄道で、安全性を最優先にして設計され、燃えない材料や難燃性の高い材料を使いました。吊手は走行中に左右に振れないよう、ばねで跳ね上がるリコ式吊手が採用されました。安全装置としては、衝突を防止するための打子式ATS(自動列車停止装置)を開業当初から採用していました。
 2017年には、地下鉄開通90周年を受けて、東京メトロでは内装まで当時の1001号車を再現した1000系特別仕様車のラッピング車両が登場しました。現在も2編成が運行されています。1001号車のように、前部標識灯が1つだけ付いている車両が特別仕様車の目印です。
 次に、「地下鉄をつくる」コーナーで、どのように地下鉄をつくっているのか、複雑に交差する地下空間を動く立体模型を見ながらトンネル工法の説明を受けました。副都心線の建設工事で使用したシールドマシンのカットモデルも見学し、参加者はその大きさに驚いていました。
 そして、地下鉄の中枢神経と呼ばれる総合指令所の体験ができる「地下鉄をまもる」コーナーでは、地下鉄が安全に走るための安全対策や修理・点検作業がどのように行われているのかなどを学び、安全運行のための様々な取り組みへの理解を深めることができました。また、東西線葛西駅の運行状況がリアルタイムで見られるモニターもあり、総合指令所の雰囲気を体感しました。
 続いて、「旅客サービス」コーナーで、駅のサインシステムや、空調システムなど地下鉄をより便利に快適に利用してもらえるような取り組みについて学びました。そして、「地下鉄車両のしくみ」コーナーでは、実物のパンタグラフの昇降体験や渋谷~新橋間を走った100形(129号)の車内見学を通じて、地下鉄車両がどのように走行するのかを理解しました。
 最後に、「地下鉄プレイランド」コーナーで、千代田線電車運転シミュレーターを体験しました。本物の6000系の電車の運転台で運転ができ、走行中の揺れまで体験することができました。地下を走っている映像が見えるので、実際に乗車しているような感覚です。他にも、銀座線、有楽町線、東西線の簡易シミュレーターの体験ができます。
 参加者は地下鉄博物館の見学を通じて、地下鉄の歴史から地下鉄のしくみ、安全に走行するための取り組みなどを「みて、ふれて、動かして」理解を深めながら、地下鉄をより身近に感じることができました。

参加者の感想から

 「地下鉄の歴史、建設、保守安全、旅客サービスなどの各分野にわたり、コンパクトかつ適切に展示がされていて、大変楽しめ、勉強になりました」「アカデミック性とアミューズメント性を備えた施設として、幼児から大人まで学べ、楽しめることを実感しました」「子どもたちにも夢を与える素晴らしい施設だと感じました」

 

お問い合わせ先
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