生活者の企業施設見学会
2022年3月3日 オンライン(Zoom Meeting)
企業・団体:森永乳業
見学施設:神戸工場

「笑顔あふれるものづくりを学ぶ」

2022年3月3日、オンライン「生活者の企業施設見学会」を森永乳業神戸工場で開催し、社会広聴会員21名が参加しました。

概要説明

 森永乳業株式会社を中心とする森永乳業グループは、2017年に創業100周年を迎え、グループ理念を新たに策定し「かがやく“笑顔”のために」をコーポレートスローガンに掲げています。この言葉には、日々の生活や、家族や仲間との団らんを通じて、内面から自然とあふれてくる“笑顔”を生み出していきたいという想いが込められています。同グループは、牛乳・飲料・ヨーグルト・アイスクリーム・チーズをはじめ、栄養補助食品などの幅広い商品を通して「笑顔あふれる豊かな社会づくり」に貢献しています。
 今回見学した神戸工場はバイオマス設備や風力発電、太陽光発電を導入するなど地球環境に配慮した取り組みも行っている同社の基幹工場で、2006年に操業を開始しました。牛乳・カップ飲料・ヨーグルトなど約40種類の商品を24時間365日、製造しています。

見学の様子

■神戸工場の紹介
 2021年に神戸工場見学施設を「Morinaga Smile Factory」にリニューアルし、同社商品の源「乳」に焦点を当て、商品の秘密や乳の魅力、酪農家の想いなどを楽しく学ぶことができる空間となっています。
 神戸工場は兵庫県神戸市灘区、周囲を海に囲まれた摩耶埠頭にあり、敷地面積は約15万平方メートル(甲子園球場4個分)、西日本地域の商品供給の要です。
 見学会では同工場からの中継で同社の歴史や商品の説明、「ビヒダス ヨーグルト4ポット」や「マウントレーニア」ができるまでのVTRを視聴し、クイズに回答しながら同工場の取り組みについて学びました。

■ヨーグルトができるまで・商品の秘密
 「ビヒダスヨーグルト」は乳酸菌とビフィズス菌を配合し、酸味を抑えたまろやかな味わいで、おいしく健康な毎日をサポートしています。
まず、ヨーグルトのベースを作る工程からVTRはスタートしました。厳しい検査をクリアした乳製品、砂糖などの原料をスーパーミキサーで混ぜ合わせ、滑らかで消化しやすいヨーグルトにするためホモジナイザーという機械を通して、原料の脂肪球の大きさを揃えます。その後高温で加熱殺菌し、発酵に適した温度まで冷やします。そして原料に乳酸菌とビフィズス菌を入れてタンクで混ぜ合わせ、菌が働きやすい温度で発酵させます。発酵タンクの中で固まった大きなかたまりのヨーグルトを小さく滑らかにし、冷却タンクで冷やします。カップとなる容器はプラスチックのシートから熱と空気を利用して立体的に作られ、たくさんのカップがつながった状態で機械の中を進みます。出来たてのカップに冷やしたヨーグルトとソースを混ぜて入れ、すぐにふたをして、中身に異常がないか、決められた量が入っているかなど、厳しい検査に合格した商品だけが出荷されます。発酵の様子はオンラインだからこそ見られるシーンで、カップを作り中身を詰めてふたをする動作を一度に1台の機械で行っている様子は迫力がありました。
 また、ヨーグルトが付着しにくい仕様になっているカップのふたは、ハスの葉の構造を参考に開発されたそうです。ハスの葉の表面は小さな凸凹構造となっていて、その凸凹が水をはじき、葉の表面に付いた水はころころの水滴になりぬれることがありません。見学会では商品を振って中身のヨーグルトがふたに付着しないかの実験動画を視聴しました。すべてのふたがきれいに保たれていたことに感動している参加者の様子がオンライン画像から伝わってきました。

■カップ飲料ができるまで・CO2削減の取り組み
 神戸工場で生産しているもう1つの主力商品は「マウントレーニア カフェラッテ」です。厳しい検査に合格したコーヒー豆を1日約5トン使用し、工場で豆をひいて本物のエスプレッソと同様に熱湯と圧力をかけ一気に抽出します。味の決め手となるエスプレッソやミルクなどをタンクでよく混ぜ合わせてからクラリファイヤーという機械で小さな異物を取り除き、殺菌機で加熱殺菌してすぐに冷やします。完成した中身をカップに入れ、新鮮さを保つためカップの中の空気を押し出してふたをし、カップにキャップを付けストローを貼り賞味期限を印字して完成です。
 また、神戸工場では、商品を作るときに発生するコーヒーのかすなどを捨てずに工場の施設でエネルギー化し、工場内で利用することでCO2削減に取り組んでいます。2020年度の実績は、年間で概算1300トンのCO2削減となりました。コーヒーかすなど動植物から生まれたバイオマスは、近年再生可能エネルギーの1つとして注目が集まっています。太陽光発電も積極的に取り入れるなど、環境に配慮した商品作りも心掛けています。

■乳牛・乳の歴史について
 飛鳥時代に百済から日本に初めて持ち込まれた牛乳は、平安時代に天皇や貴族の間で薬として飲まれるようになりました。江戸時代末期に横浜で牛乳販売がスタートし庶民の飲み物になりました。高度経済成長期には牛乳が学校で配られるようになり、私たちの生活に浸透し、牛乳・乳製品は毎日の生活になくてはならない存在になりました。牛が生まれてからミルクを出せるようになるまで、約2年以上の年月がかかります。森永乳業グループは原料にこだわり、「安全・安心は健康な乳牛から」をモットーに、酪農家を直接訪問して様々なサポートも行っています。
 参加者は出題される3択クイズに挑戦したり、様々な映像を興味深く視聴したりするなど、企業との円滑なコミュニケーションを図りながら商品の秘密や乳の歴史や魅力、酪農家の想いなどを楽しく学びました。

質問コーナー

社会広聴会員:
コーポレートスローガンは社員にどのように浸透させていますか。
森永乳業:
「かがやく“笑顔”のために」に基づき、「お客さまに寄り添い感動を共有できていますか」「本物の安全・安心を追い続けていますか」「常に挑戦し続けていますか」など、全国から集まった社員で策定した「私たちの8つの問い掛け」を当社グループの行動指針としています。本質を理解・共感し、それを実務で体現すべくツールの活用や社内セミナーの開催、社員の意識調査の結果を活用し、職場ごとのワークショップも実施しています。
社会広聴会員:
食品メーカーとしてのSDGsの取り組み、具体的な事例についても教えてください。
森永乳業:
森永乳業グループ10年ビジョンを2019年に制定後、サステナブルな社会の実現に貢献すべく昨年(2021年)6月に社長の直下でサステナビリティ本部を新たに組織し、全社グループでの推進に注力しています。取り組みを進めるための体制づくりや社員一人ひとりの意識の高揚が重要であると捉えて活動しています。

 

お問い合わせ先
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