企業と生活者懇談会
2022年9月30日 東京
出席企業:KDDI
見学施設:KDDI MUSEUM

「日本の国際通信の歴史を学び、最新技術を通して未来を一緒に考える」

9月30日、KDDIのKDDI MUSEUM(東京都多摩市)で「企業と生活者懇談会」を開催し、社会広聴会員17名が参加しました。まず、KDDIから、日本の国際通信の歴史やデジタル化が加速する近年における5GやIoTなどの技術の進展に加え、同ミュージアムの役割について説明を受けました。その後、同社の通信市場参入と挑戦の軌跡、auブランドの携帯電話やスマートフォンの歴史、5Gの特性を活用した新しい価値体験ができるエリアなどを見学し、最後に質疑懇談を行いました。
KDDIからは、渉外・広報本部広報部の名古路太一郎広報部長、同部メディア開発グループリーダーの中村孝太郎氏が出席しました。

KDDIからの説明

■KDDIの概要
 KDDIは1984年に創業された第二電電(DDI)とKDD、日本移動通信(IDO)が2000年に合併して発足しました。KDDIは通信事業を基盤とし、通信・コミュニケーションのほか、金融や電気、エンタメなど多彩な事業展開をしており、その事業は大きく個人、企業、グローバルの3つの分野に分かれています。個人向け事業では、au、UQモバイル、povoの3つのブランドのもとに、モバイル通信サービスを提供し、スマートフォンを中心に金融・決済やモビリティなどを組み合わせてLX(ライフトランスフォーメーション)を進めています。企業向けには、通信・ソリューション事業を中心に、近年ではIoT、ドローン・データ分析などのDX基盤事業にも着手しています。そしてグローバル事業においては、光海底ケーブル、衛星通信などのインフラを利用し、世界190カ国を接続する国際ネットワークサービスや企業向けマネージドサービスを提供しています。
 同社は、「豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献すること」を企業理念に掲げています。先般の通信障害を受け、2020年に発表したSDGsの指針となる「KDDI サステナブルアクション」を改めて心に留め、命をつなぐ、暮らしをつなぐ、心をつなぐという社会的責任を果たし、世間のニーズに応えていきます。
 2022年度より、ありたい未来社会を実現するため、「KDDI VISION 2030:『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる」を策定し、長期的な視点で社会課題とKDDIグループの経営の重要度を総合的に網羅した課題の解決に取り組んでいます。

■KDDI MUSEUMの特徴
 KDDI MUSEUMは、1871年から始まる約150年の日本の国際通信とKDDIの挑戦の歴史を紹介し、お客さまと一緒にワクワクする未来を描きたいという想いを込めて、2020年12月にオープンしました。
 同施設では、直径約10メートルの円形映像シアターで迫力ある映像を視聴後、4つのエリアを見学することができます。まず、海底電信や無線通信、衛星通信など、日本の国際通信の変遷を学ぶA-ZONE。次に、KDDIの通信市場参入と挑戦の軌跡を知るB-ZONE。続いて、auブランドの携帯電話やスマートフォンの歴史をたどるC-ZONE。最後に、5Gの特性をフルに活用した新しい価値体験ができるD-ZONE。各エリアを専任のガイドスタッフが実物の機器や資料を用いて解説します。また、auブランドで展開する歴代の携帯電話やスマートフォンのディスプレーの見学や、最新の5G、IoT技術を体験することができます。
 さらには、「先端技術と芸術の出会い」をコンセプトに、日本画や西洋絵画、ガラス工芸品などの美術品を展示する「KDDI ART GALLERY」が併設されており、5Gの技術を駆使した新たな鑑賞体験をすることができます。
 ミュージアムの見学を通じて、今では気軽に行えるようになった海外との電話やメールはもちろん、インターネットやSNSなど、飛躍的に便利になった裏側にある先人たちの挑戦の歴史を目の当たりにし、KDDIのDNAを深く理解することができます。

見学の様子

■海底電信や無線通信、衛星通信など、日本の国際通信の変遷を学ぶA-ZONE
 A-ZONEでは日本の国際通信の始まりから、海底電信、無線通信、衛星通信、光海底ケーブル通信と、日本と世界がつながる国際通信の歴史を学びました。最初に驚かされたことは、日本に電信技術をもたらすきっかけが、あの「黒船来航」であったということです。ここでは、ペリー提督がアメリカ大統領から江戸幕府への献上品の一つとして持参したモールス電信機や、大西洋を横断した海底電信ケーブルの実物など、貴重な資料を間近で見ることができました。また、1871年に長崎に建てられたレンガと石造りの海底線陸揚庫が復元されていました。通称ケーブルハットと呼ばれるこの建物は、海底に敷設された海底電信ケーブルと陸上の電信線をつなげるための施設であり、ここに引き込まれた海底電信ケーブルによって、初めて日本は世界とつながりました。参加者たちは、当時の業務の様子を再現したプロジェクションマッピングを観賞し、約150年前の日本で行われていた壮大な取り組みを学びました。
 このエリアの最後では、日本の国際通信の高速化と大容量化に向け、衛星通信ネットワーク構築への参画、太平洋横断海底ケーブルの建設といった宇宙や深海に挑戦するプロジェクトについての説明があり、通信衛星の模型や光海底ケーブルの実物を見学しました。また、モールス信号の送信が体験できるコーナーもあり、参加者たちは、実際に電鍵を叩いて「了解」と「SOS」という信号を送ることにチャレンジしました。


■KDDIの通信市場参入と挑戦の軌跡を知るB-ZONE
 B-ZONEはKDDIにおける国内通信市場への参入と挑戦がテーマとなっています。「日本の電話を安くする」という志のもと、KDDIの前身会社の一つであるDDIが新規参入事業者としてNTTという巨大企業に挑戦してきた軌跡を映像で紹介しています。また、同じく前身会社のIDOが1988年に提供を開始したショルダーフォンやそこから小型化されていった初期の携帯電話などが展示されていました。その他、駅の改札口付近にあった伝言板やポケベルなどを見て、当時の通信と社会の出来事を振り返り、懐かしさに包まれました。


■auブランドの携帯電話やスマートフォンの歴史をたどるC-ZONE
 C-ZONEの目玉となるのは「au Gallery」です。auブランドが誕生した2000年から現在までの携帯電話・スマートフォンが壁一面に並んでおり、その数なんと約500台。懐かしいものや珍しいタイプの機種がずらりと並び、市販化されなかった貴重なコンセプトモデルは目を引くものがありました。その他、携帯電話がつながる仕組みについて、ガラス面に浮かび上がるアニメーションで解説するコーナーもありました。


■5Gの特性をフルに活用した新しい価値体験ができるD-ZONE
 最後のD-ZONEでは、2020年3月からスタートしたau 5Gを活用した最新のコンテンツを体験しました。映し出された3Dホログラム映像を、ヘッドマウントディスプレーを装着することなくジェスチャーで上下左右に回転させ、あたかも触れている感触を味わうことができました。また、設置型高機能遠隔撮影システムを使って最高に「映える」写真を撮ることができるコーナーもあり、最先端の技術を使ったベストアングルでの撮影を体験しました。さらには、スマートグラスを使って、目の前に画面が現れてゲームや映像を楽しめるAR体験や、スマホ上に現れるドアを抜けると360度別世界が広がる「XR Door」という瞬間移動体験を楽しみました。au 5Gを通じて、まるで映画やマンガの世界が現実になったかのようなワクワク感をもたらす近未来を、存分に体感できる様々なコンテンツが用意されていました。

KDDIへの質問と回答

社会広聴会員:

KDDIにおける独自性や他社との違いを教えてください。

KDDI:
KDDIには、通信の自由化という激動の時代に稲盛和夫が築いた挑戦の歴史があり、その精神は現在にも受け継がれています。それは、スペースⅩとの衛星通信での提携など、新しいことにいち早くチャレンジしていく企業姿勢に表れています。また、2014年よりau独自となる非接触型の決済サービスの提供を開始するなど、常にお客さまの利便性向上を追求してきました。

 

社会広聴会員:

安全性・セキュリティーの確保について教えてください。

KDDI:

通信技術部門の精鋭たちが、サイバー攻撃に備えて24時間365日、ネットワークを守ることを使命として、安全に便利にお使いいただけるようセキュリティーの確保に努めています。個人の自衛手段としては、セキュリティーソフトの導入や二段階認証を活用することなどが効果的です。

 

 

社会広聴会員:

デジタル化が急速に進展する中で、主に高齢者層へどのような支援策を講じているのですか。
KDDI:

全国のau Styleやauショップの店舗で「auスマホ教室」を開催しています。初めてスマホを手にして不安をお持ちの方や、もっと便利にスマホを楽しみたい方へ、初期設定や決済サービスなどについて熟練のスタッフが分かりやすくお教えします。また、動画の視聴を通じて、ご自宅にて自分のペースで学んでいただくことも可能です。

 

社会広聴会員:

通信障害などの事故の発生を防ぐために取り組んでいることはありますか。

KDDI:
通信という重要なインフラを担う立場であるという自覚を持ち、運用部門や技術部門を中心に日々の訓練や障害発生を想定したシミュレーションを通じて事故の発生防止に努め、技術の急速な発展についてキャッチアップしていきます。また、大規模災害に備えた全社規模の防災訓練も年2回実施しており、有事の際にも速やかなサービス復旧が実現できるようマニュアルを配備しています。

 

社会広聴会員:

今後の目指す方向性について教えてください。
KDDI:

今年度からの中期戦略ではサステナビリティ経営を根幹に、サテライトグロース戦略と経営基盤強化を進めています。5G通信を核にDX、金融、エネルギー、LX、地域共創など新事業拡大を図ります。また、「ライフトランスフォーメーション テクノロジー」というテクノロジー戦略を掲げ、モビリティ、宇宙、メタバースなど、多様化が進む消費・体験行動に革新を起こす新たなビジネスの創出を目指し、取り組みを推進しています。

 

参加者の感想から

●展示コーナーは、もう一度ゆっくり見たいと思うほど情報が満載であり、ミュージアムの見学を通じて時代の変遷を感じることができました。また、海底ケーブルの実物を見ることができ、この線で世界がつながっているというスケールの壮大さに感無量でした。
●現在当たり前になっているサービスも、一朝一夕にできたものではなく、多くの人々が積み重ねた努力のたまものであることを再認識しました。また、過日の事故に関する再発予防の取り組みについても伺い安心しました。豊かなコミュニケーション社会に貢献すべく日々努力されている姿勢に敬意を表するとともに、今後もみんながびっくりするようなサービスを提供していただくよう心より願っております。
●趣向を凝らしたミュージアムの見学を通じて、通信の全体像から、過去・現在・未来をうかがい知るための良い機会になりました。また、質疑懇談では質問への丁寧なご回答に、好感と信頼感を持つことができ、会社がより身近になってきたように思います。
●物理的な発達から生活全般へと広がっていく通信の軌跡を学ぶことができ、教育施設の素晴らしさを感じました。展示物も多く、非常に見応えがありました。
●質疑懇談において、答えにくい部分についてもギリギリまで回答するなど、各所で見られた真摯な対応にKDDIへの信頼度は高まりました。稲盛和夫氏の伝統が、長い時間を経て続いているものと感じます。

 

KDDIご担当者より

 今回、厳しい暑さの残る中、17名もの広聴会員の皆さまにKDDI MUSEUMへご来館いただくことができました。本当にありがとうございました。皆さまから頂戴したご質問・ご意見は自身を見つめ直す良い機会となりました。通信は目に見えない技術のため、難しく遠い存在に思われがちです。私たちはこのミュージアムを通して、通信が社会に果たす役割をお客さまに分かりやすくお伝えし、もっと身近に感じていただけるように精進してまいります。

 

お問い合わせ先
経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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