企業と生活者懇談会
2023年3月9日 神奈川
出席企業:森永製菓
見学施設:森永エンゼルミュージアム「MORIUM(モリウム)」

「森永製菓の歴史や技術を通して、おいしさのひみつを学ぼう!」

3月9日、森永製菓の森永エンゼルミュージアムMORIUM、鶴見工場(神奈川県横浜市)で「企業と生活者懇談会」を開催し、社会広聴会員19名が参加しました。まず、森永製菓から、日本の菓子製造における歴史や培った技術を通じた新たな価値への取り組みに加え、120周年事業の一環として設立された同施設の概要について説明を受けました。その後、同社のロングセラー商品のこだわりを学ぶことができるエリアや製造ラインを見学し、最後に質疑懇談を行いました。
森永製菓からは、同施設の館長・コーポレートコミュニケーション部社会貢献マネジャー中島庸子氏、同部広報マネジャー藤田ゆずえ氏が出席しました。

森永製菓からの説明

■森永製菓の概要
 森永製菓は、日本では和菓子が中心だった時代、「日本の人々に栄養のあるおいしいお菓子を届けたい」という創業者森永太一郎の強い想いから、始まりました。これが今日の森永製菓の原点です。
 同社のコーポレートマーク「エンゼルマーク」は、マシュマロが米国で「エンゼルフード(天使の糧)」と呼ばれていることにヒントを得て、太一郎が考案し、1905年に商標登録されました。このマークは、他社の商品との区別や品質の保証を示すために今でも使用しています。
 同社は、「おいしく たのしく すこやかに」をコーポレートメッセージに掲げ、創業以来、様々な分野に挑戦しています。1918年には、日本で初めてチョコレートのカカオ豆からの一貫製造を開始し、翌年1919年に、業界に先駆けて8時間労働制を導入しました。また、太平洋戦争中の1944年には、日本初のペニシリン製造に成功するなど人々の生活に貢献してきました。
 これからも同社は、「おいしく たのしく すこやかに」の理念のもと、世代を超えて愛されるすこやかな食を創造し続け、世界の人々の笑顔を未来につなぐことを使命として事業活動を行っていきます。2030ビジョンでは、「ウェルネスカンパニーへ生まれ変わります」と宣言しました。心・体・環境という3つの価値を提供し続ける企業になることで、120年の歴史で培った信頼と技術を進化させ、世界のあらゆる世代のウェルネスライフをサポートしていくことを目指しています。

 

■森永エンゼルミュージアムMORIUMの特徴
 森永エンゼルミュージアムMORIUMは、創業120周年事業の一環として、これまでのお客さまへの感謝と未来のお客さまと一緒に紡いでいきたいという思いを込めて、2022年にオープンしました。MORIUMという名前は、MORINAGAのMORIとラテン語ARIUM(~の場所)を組み合わせて、同社が創り出す様々な価値をお客さまに体感していただきたいという願いが込められており、これまでに約1万8000人が来場しています。
 同施設では、まずシアタールームで創業期から現在までの歴史や主力商品の魅力を紹介する映像を視聴後、「ハイチュウ」や「チョコモナカジャンボ」などロングセラー商品の特徴や技術について大きな模型や映像とともに紹介しています。
 見学を通じて、今では私たちの生活に浸透しているお菓子の歴史や、食品メーカーならではのこだわりや工夫など、創業から120年を超えてもなお、お客さまから愛される商品を生み出し続けてきた森永製菓を深く理解することができます。

見学の様子

■おいしさのヒミツエリア■
◆ヒストリー
 最初のコーナーでは、森永製菓の創業時からこれまでの歴史、同社を代表する商品の製造の様子を展示物や写真を通じて紹介しています。
 チョコレートやビスケット、アイスクリームなど今ではどこにでもある西洋菓子ですが、明治時代後期には一般にはまだなじみのない存在でした。米国で口にした西洋菓子のおいしさに感動した太一郎は現地で11年間修業を積み、1899年に、わずか2坪の工場で「森永西洋菓子製造所」を設立しました。
 西洋菓子のおいしさを多くの人に届けたいと考えた太一郎は、1904年、若き貿易商 松崎半三郎を共同経営者として迎え、大きく事業を拡大しました。当時、森永製菓の製品のパッケージに似せた質の悪い商品が出回っていたことを受け、製品の安全性を明示し、かつ同社の商品と分かるよう保証の印として「エンゼルマーク」が誕生しました。
 2人は菓子製造の近代化を目指し、工場の機械化とともに販売組織の拡大や従業員の教育・待遇の向上に力を注ぎました。衛生面についても、着物にたすき掛けをして働いていた時代に、いち早く従業員に制服・制帽の着用を義務付け、清潔で衛生第一の製造現場を実現しました。その後も、広告・販売戦略でお客さまの心をつかみ、人々に広く受け入れられるようになりました。さらに、直営店や販売網を組織化したことで日本中に森永製菓のおいしさを届けられるようになりました。

 

◆「inゼリー」ができるまでのヒミツ
 「inゼリー」は、スポーツの合間にすばやくエネルギーを補給したいというアスリートの声から誕生しました。商品の特徴は、喉越しの良いおいしさと10秒でチャージができることで、そのままではおいしくないとされていた栄養素を、同社の技術を駆使しておいしくすばやく摂取できるように製造されています。おにぎり1個分のエネルギーをチャージできる「inゼリー」には、エネルギーに変換されるデキシトリンとブドウ糖が含まれています。おにぎりを食べるとお米に含まれているでんぷんが長い時間をかけて消化・分解され、デキストリンそしてブドウ糖と形を変えながらゆっくりエネルギーになります。一方「inゼリー」は、初めから分解されたあとの形であるデキストリンやブドウ糖を原料にしているので、時間をかけずにエネルギーとなり、すばやく栄養を補給することができるように工夫されています。


◆「ハイチュウ」ができるまでのヒミツ
 「ハイチュウ」は、1975年、ハイグレードなチューイングキャンディという意味を込めて、誕生しました。ジューシーなおいしさと柔らかくて弾力のある食感が好評で、これまでに500種類以上が販売され、新しい味の開発には、3~6カ月以上の期間を費やしています。海外でも製造・販売をしており、それぞれの国の人の好みに合わせた味づくりにこだわっています。
 また、よりジューシーな味わいを感じることができるように当初の三層構造から包み込む構造に工夫しています。「ハイチュウ」の食感をつくり出すために欠かせないものがゼラチンと砂糖です。特に、砂糖の結晶が食感を左右する大きなポイントとなっており、おいしい「ハイチュウ」をつくるためにはこの結晶をきめ細かく調節することが重要となっています。
 参加者は、これまでに販売された「ハイチュウ」の歴代の商品を懐かしそうに見ていました。


◆アイスができるまでのヒミツ
 同社は、菓子製造で培った技術をいかして、おいしいアイスを多数販売しています。大人気の「チョコモナカジャンボ」は、発売以来50年を超えて愛され続けている商品で、モナカとチョコがつくり出すパリパリの食感が好評を得ています。その秘訣は、モナカの内側にスプレーでチョコをコーティングすることにより、モナカがアイスの水分を吸収することなくパリパリのおいしさを実現することにあります。参加者は、「チョコモナカジャンボ」の製造について知り、実際にチョコでコーティングされたモナカの模型を見て感心していました。

 

◆ビスケットができるまでのヒミツ
 森永ビスケットの製造は100年以上前にさかのぼります。製造当初は海外へ輸出するためにつくられていましたが、その後国内向けの商品として大量生産に取り組みました。英国より技師を招き、技術指導を受けながら試行錯誤を重ねた末に、今日の森永「マリービスケット」が誕生しました。2023年で100周年を迎えた「マリービスケット」の生地には、たくさんの小さな穴があります。この多数の穴は、ビスケットの形をきれいに焼くために空気を抜くよう工夫されたものです。また、「マリービスケット」の名前はマリーアントワネット妃に由来し、ビスケットのまわりの模様はマリーアントワネットの家紋からデザインされたと伝わっていることを聞いた参加者からは驚きの様子がうかがえました。

 このように、今日では私たちの生活に浸透している森永製菓の商品ですが、一つひとつに様々なこだわりや工夫がされ、長い時を超えて愛され続けている理由について、深く学ぶことができます。

 

■鶴見工場の見学エリア■
 MORIUMと同じ敷地内の鶴見工場では、「ハイチュウミニ」や「小枝」などの商品の製造過程を間近で見学することができます。
 工場内では、まずパフやアーモンドが入ったサクサクとおいしい「小枝」の製造ラインが見学できます。製造する商品は日によって異なり、この日は大袋タイプの新商品の「小枝」がつくられていました。新商品のため味については秘密でしたが、均一なサイズにする製法やサクサクの食感のヒミツを映像を通して学ぶことができました。他には、フルーツのおいしさを感じる商品「ハイチュウプレミアム」の製造ラインの見学ができました。歩いているだけでお菓子の香りを感じ、商品が製造される様子を間近に見ることができ、参加者も大変興味深そうに見学していました。

森永製菓への質問と回答

社会広聴会員:
時代にあった新商品は、何にヒントを得て、どのような経過をたどって開発されていますか。
森永製菓:
新商品の開発をするにあたっては、世の中のニーズを捉えながら、商品の方向性を決め、品質、ターゲット、喫食シーン、容量、価格、発売日など細かく決め、研究、開発していきます。また、SNSなどで世の中の流行に対しては常にアンテナを張っています。

 

社会広聴会員:
森永製菓は、アレルギーのある方に対して何か取り組みしていますか。
森永製菓:
アレルギーをお持ちの方でも購入できるように商品にアレルギー物質を含む原材料の表示をしており、また当社のグループ会社では、食物アレルゲン検査キットの開発・販売もしています。

 

社会広聴会員:
チョコレートの原料となるカカオ豆の生産国で児童労働が問題となっていますが、森永製菓はどのように向き合っていますか。
森永製菓:
当社は、2008年から「1チョコ for1スマイル」という売り上げの一部を使ってガーナなどのカカオ生産国の子どもたちが安心して教育を受けることができるように、国際NGO「プラン・インターナショナル」と日本生まれのNGO「ACE(エース)」と協力して支援を行っています。年間を通して行う寄付に加えて、特別期間として当社のチョコレートの対象商品1個につき1円を寄付するキャンペーンなどの活動を行い、これまでに2億7000万円の寄付をしています。

参加者からの感想

●「おいしく たのしく すこやかに」を企業理念に掲げる森永製菓での懇談会を通して、創業者の利他の心、商品開発の工夫、工場の清潔さなどを体感することができました。また、参加者の方々の意識の高い質問を聞くことができ有意義な時間でした。
●女性が活き活きと仕事ができる企業・働きやすい企業であるのは素晴らしいと思います。MORIUMの見学では映像やクイズが交えてあり、とても分かりやすく楽しかったです。特にペニシリンの製造をしていたことには驚きました。
●見学会の中で1番良かった点はMORIUMの展示です。ただ展示するだけではなく、映像が説明の途中に挟まれていたり、展示にも仕掛けがあったり、来場者が楽しむことができる工夫があり感動しました。
●元々森永製菓は大好きな企業でしたが、歴史や企業ビジョン、取り組みを知りますます愛着を持ちました。長く愛される商品を開発されており、その中でも時代に合わせて改善やイノベーションをしていることは大変素敵だと思いました。

森永製菓 ご担当者より

 皆さまから大変参考になるご意見やご感想、励ましのお言葉をいただきまして、ありがとうございました。モチベーションが上がるとともに、今後なすべきことを考える良い機会となりました。
 私たちは、当社のパーパス「世代を超えて愛されるすこやかな食を創造し続け、世界の人々の笑顔を未来につなぎます」の実現を目指し、お会いする皆さまのお声に耳を澄まし、ご意見を社内にしっかり伝達する役目を担ってまいります。

お問い合わせ先
経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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