企業と生活者懇談会
2001年11月29日 奈良
出席企業:関西セキスイ工業、積水化学工業
見学施設:関西セキスイ工業

「住宅と環境」

関西セキスイ工業からの説明
会社概要の説明
積水化学工業は、塩ビ、プラスチック製品から住宅まで幅広い事業展開をしています。今年から、それぞれの事業を社内分社化して"カンパニー"と呼んでいます。
"住宅カンパニー"は、全国に8つの生産会社を持っており、私どもは、「関西セキスイ工業」です。皆さんご存知の"セキスイハイム"を生産しています。
 積水化学工業としての住宅事業の歴史は、 "セキスイハウスA型"の試作に成功した1960年、住宅専門会社として積水ハウス産業を設立したのが始まりです。
 それから10年後の1970年に積水化学工業本体も、住宅事業を始めました。このブランドが"セキスイハイム"です。
 この工場では、1つの家のリビングとか和室といった部屋のユニットを生産しています。そして、出来上がったユニットを現場に搬入し、組み立てるわけです。大体、家を建てるのにかかる工数の80%をこの工場で行なっています。
 これからの住宅は、「環境」、「高齢者」、「耐震」に対応したものでなければなりません。そのために、材質・設計・施工法などを十分吟味するとともに、メンテナンスやリフォームなどのサポート体制をしっかりしたものにしていくように努めています。
 また、地球環境の保全については、積水グループ挙げて取り組んでいますが、私ども関西セキスイ工業は、1997年にISO14001認証を取得しました。
 全社員が一丸となって、3R(リデュース、リユース、リサイクル)を推進しています。ゼロ・エミッションについても工場の生産現場からの廃棄物だけでなく、事務・管理部門から出る廃棄物も、その対象にするなど厳しい規準で取り組んでいます。
 日本の住宅は、30年寿命と言われてきましたが、私どもは、"60年住宅"を標榜し、住宅産業の環境リーディングカンパニーとして21世紀にふさわしい"住まい"を提案していきたいと考えております。
関西セキスイ工業への質問と回答
レポーター:

 60年住宅ということだと二世帯住宅として使える。そのためにはそれにふさわしい設備にしなければならないのではないか。セキスイハイムの二世帯住宅の宣伝をあまり見ないのだが。

関西セキスイ工業:

 二世帯住宅の場合、高齢者がお住みになるわけですから当然段差を少なくし、通路階段の手すりを装備するなどバリアフリーでなければなりません。私どもは、業界の中でもかなり早くから一般住宅にバリアフリーを導入してきました。また、3階建て住宅の場合は、エレベーター用のユニットも用意しています。ご要望にお応えできる体制はできているわけですから、ご指摘のように、さらにPRに力を入れていきたいと思います。

レポーター:

 宅地の形状は、さまざまだ。ここで生産しているユニットの組み合わせだと住宅の間取りが限られたものになるのではないのか。

関西セキスイ工業:

 ユニットの形状は殆どが四角形ですが、サイズを数種類もっており、また天井部分が四角形でなく台形になったユニットもあるなど、敷地対応力を高めるようにしています。

レポーター:

 「環境共生住宅」というものは、地球環境の保全や周辺環境との親和性を考慮した素晴らしい住宅だと思う。雨水の利用などについて説明して欲しい。

関西セキスイ工業:

 これは、住宅産業全体で取り組んでいるものです。日本は水が豊富な国と言われていますが、数年に一度は水不足になったりします。水は無尽蔵ではありません。そこで、ご質問のような雨水の活用や中水という水の再利用が検討されてきたわけです。
 水の再利用という点では、大型の建造物やビルなどでは、トイレ・散水・冷却水・洗浄水などに使われています。住宅でも集合住宅や地域単位での導入は進んでいます。
 ただし、個々の住宅での導入は、まだ解決するべき課題も多くあり、時間がかかりそうです。

レポーター:

 現場に搬入されたユニットを見て変更要望が出た場合、その対応はどうしているのか。

関西セキスイ工業:

 ご注文をいただく前に、まず展示場等で出来上がりのイメージを見てもらい、それから設計図を書きます。しかし、ユニットが出来上がってからの変更要望も出てくることはあります。そこで、少しでも要望にお応えできるように、実際は10%でいい現場搬入後の作業工数を20%にしているわけです。もちろん、製作過程での進捗状況はお知らせしています。お客様の中には実際に工場に見に来られる方もいらっしゃいます。

レポーター:

 この工場での3R活動(リデュース、リユース、リサイクルについて、具体的に説明して欲しい。

関西セキスイ工業:

 まず、リデュースです。これはごみの減量つまり、ゼロエミッションの取り組みです。
 積水化学グループでは2002年までに、全30工場をゼロエミッション化する全社方針で取り組んでいます。午前中の見学でご説明した通り、工場現場からの廃棄物だけでなく事務管理部門の廃棄物も対象にしています。
 リユースの取り組みでは、使用する木材の中で反りなどのある不良材の中から、品質・強度ともに問題のない部分だけを切り取って、フィンガージョイントという方法でつなぎ合せて使用しています。これは工場で使用する木材総量の5%程度になっています。
 リサイクルは、納入メーカーにお願いし、木材の削りカスや木粉を床材に、石膏ボードの残材を石膏ボードに再生しています。
 ただ、リサイクル素材はコストアップになる場合があります。これをどのように解決していくかが、これからの課題です。

レポーター:

 私の家は、そろそろメンテナンスが必要になっている。一般論としてメンテナンスにはどれくらいの費用がかかるのか。

関西セキスイ工業:

 費用は物件により傷み方が異なり、費用も変わってきます。最近の住宅の品質は向上していますが、経年劣化する部材等については当然メンテナンスが必要です。ただ、住宅を取り巻く外的な環境―気候・空気の汚染度など―や各ご家庭の生活様式などにより、一概にメンテナンス時期を決めるわけにはいきません。そのようなことから、メンテナンスのデータ化が遅れている訳です。しかし、"60年住宅"を標榜している以上これから検討していかなければならないと認識しております。

レポーター:

 高断熱・高気密だと、従来の日本家屋のような"すきま風"による自然換気が出来なくなる。説明のあった「24時間換気システム」とは自然換気かそれとも強制換気なのか。

関西セキスイ工業:

 まず"すきま風"ですが、これは意図した通りの換気が出来るわけではありません。したがって業界では「換気」でなく「漏気」と定義しています。  ご質問の24時間換気システムは、あらかじめ設計された各部屋の給気口と、浴室やトイレ等の換気ファンによる強制換気です。自然換気の場合、温度差や気圧差や風向きの関係でしか風は流れません。これでは安定した換気を行なうことが出来ないわけです。  お客様には、安定的な換気を行なうために、換気ファンを24時間稼動させていただくようお願いしています。電気代も500円~600円程度です。

レポーター:

 気密性が高い住宅ということは、冷暖房が前提ということだ。これは、地球温暖化対策に逆行しているのではないか。

関西セキスイ工業:

 冷暖房は、今の日本では快適性を得るためには使わざるを得ず、普及しています。しかし断熱気密性が低い住宅では充分に快適な冷暖房が出来ず、また空調エネルギーを浪費してしまいます。気候の良い時期は窓や扉を開ければよいわけです。冷暖房時の効果を一段と高めるのが高気密・高断熱構造ですから、省エネでもあり、地球温暖化対策にもつながると思います。

レポーター:

 今の住宅は、家族の集まるリビングを通らずに、各個室に行くことが出来るような設計になっている。これでは、家族のコミュニケーションをとりにくいのではないか。

関西セキスイ工業:

 ご指摘のリビングを通らないと個室に行くことが出来ない間取り構造を「オープンリビング」と言います。
 ただその場合、リビングの周りに個室を配置するため、リビングのテレビの音やタバコの臭いなどが問題になります。それでも家族のコミュニケーションの方を大事にするというのであればオープンリビングにしたらよいと思います。要は、ご家族が決めることだと思います。私どもはどちらでも対応することが出来ます。

レポーター:

 太陽光発電の作りは脆弱に見えるが、寿命はどれくらいか。  また、太陽光発電装置を製作するにもかなりのエネルギーを使っていると思うが、どれくらいの期間でそのエネルギーを回収出来るのか。

関西セキスイ工業:

 まず寿命ですが、従来に比べ耐久性のある部材を使用していますので、私どもの耐用試験では30~40年は使用できるという結果が出ています。
 次にエネルギーの回収ですが、2~3年使用することで生産時の消費エネルギーが回収できると、ある研究所が分析しています。
 それと余談ですが、日本の住宅全戸に3KWの太陽光発電装置を設置した場合、民生エネルギーの5%くらいが削減できると試算されています。
 数字的にはわずかですが、設置することで、"心がけ"が変わるといいます。つまり、省エネ意識が高まり、こまめにスイッチを切るなどするため、予想以上に電力使用料が減るようです。このように意識が変わることの方が大事だと思います。

出席者の感想から
生産工程のライン上を、ユニット住宅が基礎から完成まで実にスムーズに流れていた。しかも耐震性能や間取りなど綿密に計算されているとのこと。「これが家?」と常識が覆る思いだった。

製造工程でのゼロエミッションについて、その徹底した努力と成果は称賛に値すると思う。さらに進めて、リサイクル製品が全て自社商品に戻るような取り組みのモデルとなることを期待したい。

「お客様の顔を見て生産する」という方針から、工場に施主の顔写真がたくさん掲示してあった。従業員に顧客意識を植え付けるためには、とても良い方法だと思う。CS経営の標榜が実を伴っていると感心した。

家の取壊しと建替えは、大きな環境負荷を生むと思う。建替えがなければ仕事もなくなる住宅メーカーが、環境との共生を考えて、少しづつ手を加えれば60年も維持できる方向に向っていると知って、大変嬉しかった。

住宅は確かに個人の所有物だが、「家は街並みや景観を構成する社会資本」という出席者の話に、大いに頷いた。同時に、街並みのデザインを描く主体は誰なの かとも考えた。また、住宅の改修には莫大な費用が必要であるため、ライフサイクルコストを算出し、指標として公表してほしい。
以 上
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