企業と生活者懇談会
2001年12月14日 宮城
出席企業:ニッカウヰスキー
見学施設:仙台工場

「良い環境が生む、良いウイスキー」

ニッカウヰスキーからの説明
会社概要の説明
 私どもの会社は「大日本果汁」として、昭和9年に設立されました。創業者は、日本で初めて本格的なウイスキーを造った竹鶴政孝です。当初は、りんご ジュースやアップルワインなどを製造販売しながら、ウイスキーの熟成を待ちました。そして昭和15年になって"ニッカウヰスキー"として当社の第一号ウイ スキーを発売しました。この商品名は、大日本果汁の"日"と"果"からとったもので、後年(昭和27年)これがそのまま新たな社名となったのです。
 話が前後しますが、私どもはアサヒビールグループの一員です。
 ニッカとアサヒとで、日本酒以外のお酒は何でも製造販売できる企業グループになりました。
 仙台工場は、ニッカの7工場の中でも、発祥の地である北海道(余市)工場と並ぶ主力工場で、大麦麦芽だけを原料にしたモルトウイスキーと、とうもろこしを主原料にしたグレーンウイスキーの製造と貯蔵を行なっています。
 同じ敷地内でモルトとグレーン両方のウイスキーを製造し、貯蔵しているところは世界でも稀です。
 酒造りには、"いい水"が絶対的な条件です。ニッカウヰスキーの"ヰ"は、井戸の"ヰ"、つまり、いい水へのこだわりの表れです。ここ仙台工場では、傍を流れる新川(にっかわ)の清流から取水しています。
 地球環境保全に対する活動は、アサヒビールグループの環境基本方針に則って、積極的に推進しています。
 美味しい商品は、自然の恵みを受けているわけですから、工場内での5S(整理、整頓、清潔、清掃、躾)活動はもとより、"いい水"の源泉である新川の水質保全や社員による工場周辺のゴミ拾いなど、地域社会とも一体になった環境保全活動を行っています。
 また2001年12月には、ISO14001の認証を取得いたしました。
 これからも「総合酒類提案企業」として、良い環境づくりに努めながらウイスキーを始め、良いお酒を世に送り出していきたいと考えています。
ニッカウヰスキーへの質問と回答
レポーター:

 新川から取水しているとのことだが、この川に生活廃水は流れ込んでいないのか。また、新川の浄化に対して何か取り組みをしているのか。

ニッカウヰスキー:

 新川から取水をしているのは、上流に人家がなく生活廃水が流れ込んでいないからです。
 一方で工場からの排水は、条例で定められた水質基準以上の数値まで浄化して、新川と合流する広瀬川に流しています。来年度は更に水質基準を上げるため、大規模な投資を行なう計画です。
 また、新川の清流を守る姿勢を表す意味において、近隣の子供たちと毎年、やまめの稚魚を放流していますが、これは21年間続けています。冒頭で申しあげました社員による工場周辺のゴミ拾いも功を奏し、年々投棄される量自体が減ってきています。これからも工場内だけでなく、地域の環境保全にも貢献していきたいと考えています。

レポーター:

 ウイスキー製造の過程で出る副産物のリサイクル状況について説明して欲しい。

ニッカウヰスキー:

 酵母の働きによって糖分からアルコールが生成される際には炭酸ガスも発生します。これを捕集して液体化し、液化ガスメーカーに売っています。収支的には大きく赤字ですが、捕集率を100%に近づけることと、捕集にかかるコストを引き下げることが課題です。
 またモルトウイスキーやグレーンウイスキーを製造する過程で出る粕などは、近隣の牧場で飼料として利用されています。
 製造工程以外から出る瓶・プラスチック・貯蔵樽の木片・レストランの生ゴミなどの廃棄物についても、リサイクル率100%をめざして鋭意取り組んできています。

レポーター:

 カラー瓶のリサイクルが難しいことを考えると、すべて透明の瓶にしていくべきではないのか。

ニッカウヰスキー:

 ウイスキーは、これまでカラー瓶や重い瓶が「高級感」があるとして好まれてきました。当社のロングラン商品「ブラックニッカ」は、その伝統もあり、まだ黒い瓶を使用していますが、平成9年に発売して、今当社で一番売れている「ブラックニッカクリアブレンド」は、透明瓶を使用しています。
 カラー瓶は、リサイクルが難しいだけでなく、製品の出荷前の最終検査―これは目視でするのですが―の際、混入している異物などを発見しにくいと言う欠点もあります。
 また重い瓶は、物流コストがかかりますし、効率が良くありません。順次切り替えの努力をしてきていますし、今後は透明・軽量瓶が主流になっていくと思います。
 ただし、リキュールなどの酒類は、直射日光で品質が変わりやすいため、まだカラー瓶を使用しています。これをどのように解決していくかが今後の課題です。

レポーター:

 日本酒には、紙パックで販売している商品もあるが、洋酒ではあまり見かけない。なぜか。

ニッカウヰスキー:

 当社でも「ハイニッカ」などを紙パックで販売していたことがあります。しかし、紙の内側に使用するコーティング剤がどうしてもウイスキーの香りを変えてしまいますし、封を切った後の保存方法の問題もあり結局、取扱を中止しました。

レポーター:

 価格の高いウイスキーほど美味しいのか。

ニッカウヰスキー:

 値段の高い "17年もの"とか"23年もの"といったウイスキーは確かに、香りも味も奥深いものを持っています。つまり熟成期間が長いということであり、それだけ手間暇(コスト)をかけて造っているわけです。
 しかし一方で、熟成期間の短いあっさりしたものを好むお客様がいらっしゃるのも事実です。
  つまり、ウイスキーは嗜好品です。美味しさというのも個人の主観です。グラスに注いで、まずその香りを楽しみ、次に水を加えて少し違った香りを楽しむ。これはお奨めの飲み方のひとつですが、要は価格だけでなく、自分に合ったウイスキーを選び、自分に合った飲み方で楽しむことが"一番"ということだと思います。

レポーター:

 いただきもののウイスキーを何年も大事にしまっておいたら、「早く飲まなければまずくなってしまう」と言われた。本当か。

ニッカウヰスキー:

 確かに、何かの記念日に購入された、あるいはプレゼントされたウイスキーを大事に保存される方はいらっしゃいます。
 しかし、ウイスキーの場合、ワインと違って瓶詰めされた商品を長期間寝かせることで味が良くなることは決してありません。アルコール度数が高いので劣化は非常に緩やかではありますが、美味しく召し上がっていただくには、保存状態などにもよるものの、2~3年以内とお考え下さい。

レポーター:

 瓶の中では、熟成しないと言うことか。

ニッカウヰスキー:

 そうです。ウイスキーの蒸留直後の原酒は、アルコール臭の強い無色透明の液体です。それを樽に入れて長期間貯蔵するわけです。その間、呼吸(酸化還元反応)をしながら熟成され、樽材のオークのエキスがにじみ出て色と香りが着いていくわけです。瓶詰めされたウイスキーが熟成することはありません。

レポーター:

 モルトは、ここ仙台と北海道の余市で製造しているとのことだが、それぞれの役割とか特徴を教えて欲しい。

ニッカウヰスキー:

 北海道工場と仙台工場では気候や風土はもちろん蒸留方法も異なるため、モルトのタイプも異なります。端的に申しあげますと、余市のものは力強く、仙台のものは、まろやかなモルトです。
 因みに、両工場のモルトをブレンドしたものを"ピュアモルト"として発売しています。のちほど、マイブレンド教室で皆さんにその違いを体験していただきます。

レポーター:

 ニッカは、本当にウイスキーが好きな人を対象にしたウイスキー造りをしているという印象が強い。しかし、"総合酒類提案企業"を標榜するのであれば、顧客層を広げて行く必要があるのではないか。

ニッカウヰスキー:

 私どもの会社には品質をどこまでも追求するという、竹鶴政孝の創業精神が連綿と流れています。ですから、品質にはもちろん自信をもっています。
 しかし、品質が良ければ黙っていても売れる時代ではないということも分かっています。
 "総合酒類提案企業"として幅広い顧客層を対象にした商品ラインアップもそろえています。例えば、「ブラックニッカクリアブレンド」は、比較的軽い口当たりにすることで、若い人や女性、ウイスキーにあまり馴染みのない方にも飲んでいただけるようにしました。
 品質の良さにおごることなく、お客様から本当に喜んでいただける商品のご提案をさらに推し進めてまいりたいと考えています。

出席者の感想から
時間をかけた工場見学と説明によって、ウイスキーが出来るまでの努力や、会社のウイスキーにかける情熱などがよく分かった。また、環境問題に多大な資金と労力を投入している工場の努力に感銘した。

おいしいウイスキーを造り続けながら、自然環境への負担を軽減し、その美しさを保たなければならない。創業者竹鶴氏の精神を受け継ぎながら、時代の要請への対応と両立することの難しさを感じた。

マイ・ブレンド体験で、北海道工場と仙台工場のモルトウイスキーやグレンウイスキーなどを飲み比べてみた。その違いに驚くと同時に、ブレンドして出来上がった自分だけのウイスキーのうまさに大満足しました。

環境破壊が進む中、おいしいウイスキーを造り続けることは大変である。日本中の水が汚れてしまったら、日本から酒造りは消滅するだろう。企業がこうした問題に取り組んでいることは承知していたが、ここまで熱心にかつ自発的に取り組んでいるとは知らなかった。

ビールなどとかく品質の画一性・安定性が求められる一方で、風土や蒸留方法、使用する樽材などによって違った特徴が出るという話にウイスキーの奥深さを感じた。「自分が一番おいしいと思う」ウイスキーと出会うために、これからも試行錯誤していきたい。
以 上
お問合せ先
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