企業と生活者懇談会
2002年3月20日 福岡
出席企業:日本航空
見学施設:福岡航空支店(福岡空港内)

「安全で快適な航空サービスを考える」

日本航空からの説明
■会社概要の説明■
私どもは、1951年、戦後はじめての民間航空会社として、設立されました。当社の最初の便は羽田空港から、大阪(伊丹)を経て、福岡(板付)空港への便でした。その後、1987年に完全民営化され、今日に至っております。
 私どもの企業活動の基本となるものが「安全」です。社長が常々、全社員に対して「いかなる状況でも、必ず安全を最優先しなさい。赤字は取り返せるが、事故は永遠に取り返せない」と言っておりますが、これが、会社の安全に対する姿勢そのものです。
 組織の上でも、社長を本部長とする「総合安全推進本部」をはじめとして、経営トップから現場の社員に至る幾重もの安全推進体制とチェック体制を敷いてお ります。また、機長・その他の乗務員・整備士・運航管理者が円滑に意思疎通を図れるようにするための教育プログラムや、運航乗員に限定した、操縦室におけ るリーダーシップの取り方や業務の適切な配分などを訓練する CRM(CREW RESOURCE MANAGEMENT)を、国内他社に先駆けて導入しております。
 また、3年前より、ホームページで 欠航や到着地、到着時間の変更などの情報を公開し、お客様に安心してご利用いただけるように努めております。
 次に、航空運賃についてご説明したいと思います。「航空運賃が高い」と思っておられる方もおられると思いますが、消費者物価の上昇率と比較してみます と、決して高くはなっておりません。1964年当時の消費者物価指数は、2000年には、4.4倍になっていますが、東京=札幌間の普通片道運賃は、 2.3倍です。物価の優等生のひとつであることは間違いないと思っております。
 先ほど当社は50年前設立されたと申しましたが、当時の東京=福岡間の運賃は、9600円(税込みで11520円)でしたが、現在実施しておりますバー ゲンフェア(事前購入型期間限定割引運賃)での同区間の運賃は9000円ですので、条件さえ整えば、50年前の運賃より安くご利用いただけることもあるい うことです。
 航空会社間の厳しい競争のなかで、1990年から2000年までの10年間に、お客様の利用距離(座席キロ)当たりの営業収入は、35%減となっていま す。そのため、営業費用も36%減としました。航空機の大型化、高性能化に合わせた運航乗務員数の削減、燃費効率の上昇といった要因もありますが、作業合理化による地上職の削減、契約スチュワーデスの導入、といった人件費削減の経営努力もしてきています。
日本航空への質問と回答
レポーター:
JASとの統合が話題である。大手3社が2社になれば当然、競争が少なくなるわけで、利用者にとって不利になるのではないか。
日本航空:
マスコミを始めそのような意見があることも事実です。  実は、統合は互角の競争を行うための条件づくりなのです。
国内線の旅客数で見た場合、現在ANAさんが49%のシェアを持っていて、JALとJASが、それぞれ25%、23%ずつを持っています。これでは、競争にならないわけです。JALとJASが統合し互角な競争条件を整えることが、競争を促進し利用者の利便性を向上させます。
さらに、JALとJASが統合すれば、設備やその他のさまざまな機能が一本化できます。そこで浮いたコストを、主要路線での運賃値下げに回すことができます。地方路線へも参入し、いい意味での競争も可能になります。
また私どもは、旅客収入に占める国際線の割合が7割もありますが、グローバルな競争で勝ち残っていくためには、欧米航空会社のように、国際線に比べ、政治的・経済的に安定した国内線市場での十分な事業基盤を保持する必要があります。そのためにも、統合が必要なのです。
統合によって、仮に運賃を上げれば、お客様から見放されてしまうこと必然です。統合が成功するためには、お客様に、受け入れてもらえる経営をしていくことが基本だと考えていますのでご期待ください。
 
レポーター:
身障者の搭乗制限について教えて欲しい。また身障者用飛行機のトイレは狭いので、車椅子では入れない。これについての対応はどうなっているのか。
日本航空:
航空機の安全基準で、「お客様の避難誘導時間は90秒以内」と決められていますので、制限事項はあります。 お身体の不自由な方については、障害の重度や介添人の有無などによってその制限内容が異なります。プライオリティ・ゲストセンター(お身体の不自由な方専用の予約・相談窓口)を設けておりますので、事前にご相談下されば、対応させていただきます。
車椅子用お手洗いについてですが、搭乗時間の比較的短い国内線で使用する機材には設置しておりませんが、国際線で利用する機材には概ね、中央部に1ケ所設置しております。入り口をカーテンで仕切ることで広い空間が確保でき、個室内にも補助ハンドルがついております。ご不安なようでしたら乗務員にお声をおかけいただければ、適切にご案内させていただきます。
  
レポーター:
機中で、発病があった場合などに備えて、医療行為のできる乗務員は搭乗しているのか。
日本航空:
私どもの客室乗務員は、全て救急法の訓練は受けています。  また、心停止患者に使用する、いわゆる電気ショック治療器は、これまで医者か医療関係者しか扱えませんでした。しかし、機内に医療関係者がいない場合、乗務員でも扱えることがこのたび認められました。現在、国際線の日本人乗務員を対象に操作の訓練を行っているところです。
 
レポーター:
機材の整備点検について説明して欲しい。
日本航空:
機体の整備には、到着から出発までの時間を利用して空港で行う「運航整備」と、整備場で本格的に行う「点検整備」があります。
午前中にご見学いただいたのが「運航整備」です。これは、外観の目視検査と機長からの報告を基にした検査・処置が中心です。
一方「点検整備」は、飛行時間による部品交換とか、分解検査というもので、国土交通省の安全基準に基づいて行います。
 
レポーター:
オペレーション業務など、まだまだ人間が行っているものがあるが、人間は、ミスをしやすいものだ。これをどのようにして防いでいるのか。
日本航空:
ご指摘のように、昨年のニアミスは、管制担当者の誤指示によるものでした。人間が作業する以上、間違いは皆無とは言えません。
一方コンピューターは、正確ですが、入力したものしか処理することができません。
空港でのオペレーション業務は、航路や空港周辺の風向・風量・気象といった刻々と変化する情報を伝える仕事なので、現在のところ、人間が行う以外ありません。しかし、仮に人間が誤った指示をした場合、それを拒絶するシステムなど、二重三重のフェールセーフ(ミスや故障などのトラブルがあった際に必ず安全側に作動するシステム)が構築されています。
要は、人間の作業とコンピューターを、如何にうまく連携させるかと言うことです。
 
レポーター:
座席が狭くて窮屈である。安いのもいいが、もっと快適な空間にならないものか。高齢者の海外旅行が増えているので、機内での健康管理に航空会社でも気を遣ってもらいたい。
日本航空:
深部静脈血栓病が「エコノミークラス症候群」と言われて話題になっていますが、実はビジネスクラスやファーストクラスでも起こっているものです。座席が狭いからではなく、長時間下肢を動かさずに座っている場合に、大腿の奥にある静脈に深部静脈血栓という血のかたまりが出来て、血行障害を起こすというものです。
国際線など長距離の便では、体操ビデオを放映して体を動かしてもらったりするなど、防止策の注意喚起をしています。また、エコノミークラスの座席も座席の背の部分を薄くしたりして、少しでも圧迫感を緩和するよう工夫しています。
今後とも快適な空の旅を楽しんでいただけるように、できるだけの努力をしていきたいと思っています。
余談ですが、最近ビジネスクラスを希望されるツアーのお客様も、非常に多くなっていますので、 お得な割引運賃を設定しました。
 
レポーター:
私は愛煙家だが、機内禁煙に至った経緯を教えてほしい。
日本航空:
嫌煙運動は世界の潮流ですが、できるだけ多様なニーズにお応えするために、完全禁煙を決める前に、分煙化の検討もしました。しかし、航空機という空間の中で煙や臭いを完全に遮断する設備にするには、技術的な問題に加え、莫大な費用がかかることがわかりました。それを運賃に上乗せするわけにはまいりませんので、全面禁煙とさせていただきました。禁煙パイプなども搭載していますので、なにとぞご協力いただきたいと思います。
 
出席者の感想から
●機会均等の世の中で、乗務員は女性だけの仕事ではないでしょうし、事故などの時には、体力のある男性の役割は重いと思います。男性の客室乗務員を増やしてほしい。

●たくさんの方が運航に関係していることがよく分かりました。騒音や暑さなど劣悪と思われる条件の中で機体整備に携わっている方々には特に感謝します。

●着陸料や駐機料が世界と比べて極度に高いと初めて知った。もっと、航空会社が世間に情報を公開し世論を味方につけて、引き下げを求めるべきだと思いました。そうでないと世界の航空会社との競争ができないでしょう。

●障害者にとって移動手段は最大のテーマです。飛行機の旅ができることで障害者がどれだけ感動を覚えるかは健常者には十分に分かっていただけないでしょう。今回、車椅子の私をハード・ソフト両面からサポートしてくださったJALの皆様に感謝いたします。

●JAL側出席者の役職が高く、消費者の意見にも親切丁寧に対応していただき、好感を持ちました。それに比べ消費者側の意見は、私を含めレベルが低いと思いました。もっと勉強しなければと思います。
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