企業と生活者懇談会
2005年11月25日 神奈川
出席企業:アサヒビール
見学施設:神奈川工場

「生活に身近な企業を考える」

2005年11月25日、神奈川県南足柄市にあるアサヒビール神奈川工場で「企業と生活者懇談会」を実施し、社会広聴会員18名が参加しました。午前中は 最新鋭のビール工場を見学し、午後の懇談会ではビールの生産工程や環境問題、CSR(企業の社会的責任)活動、健康や酒税の問題などについて幅広く意見交 換しました。
アサヒビールからは、竹本秀明理事・神奈川工場長、総務部の浅輪紀雄氏、広報部の中原康博チーフプロデューサー、堀江由美プロデューサー、社会環境推進部の秋葉哲チーフプロデューサーが出席しました。
アサヒビールからの説明
■アサヒビールの歩み■
 アサヒビールは1889年(明治22年)に大阪の酒造業者鳥井駒吉氏などが中心となって有限会社大阪麦酒会社を創立したことに始まります。1906年(明治39年)に大阪麦酒・日本麦酒・札幌麦酒の3社の合併で、70%を超えるシェアを誇る大日本麦酒となりましたが、戦後、日本麦酒と朝日麦酒に分割されました。
 朝日麦酒は創業当時から先端的な技術志向で、発明されて間もない冷凍機や酵母培養器をドイツから導入し、近代的なビール工場を建設しました。1958年(昭和33年)には日本初の缶ビールを発売し、1965年(昭和40年)には世界初の屋外型発酵貯蔵タンクを開発しています。そして1968年(昭和43年)には業界初の日付入り瓶生ビールを発売し、また業界初のビール券も作りました。1998年(平成10年)にはビール部門でシェアトップになり、また国内全ビール工場で廃棄物の再資源化率100%を達成しました。
 神奈川工場は2002年(平成14年)5月に操業した最高水準の品質管理技術と最新鋭の設備を備えたビール工場で、年間3億1000万本(大瓶換算/2004年(平成16年)実績)の生産を行っており、世界一環境に優しく、生産性の高い工場になることを目指しています。
アサヒビールへの質問と回答
社会広聴会員:
おいしいビールができるようになるまで、どんな研究や苦労があったのか教えてください。
アサヒビール:
ビールの味は酵母、原材料、製造工程の組み合わせで決まるといわれていますが、重要なのは、まず酵母の研究です。ビールは、麦芽を煮てつくった麦汁を発酵させてつくりますが、この「発酵」に欠かせない主役がビール酵母です。酵母については相当研究をしましたし、今も研究をしています。ビールの命といわれるぐらい酵母は大事なもので、1987年3月に発売したスーパードライも、素晴らしい酵母との出会いから生まれました。あの酵母でなければ、あのスーパードライはできなかっただろうと思っています。
2つ目は、酵母の食べ物となる原料です。世界から良質な原料を買い集めています。麦芽もそのビールのキャラクターに合うものを選定しています。例えば酵素力が強い麦芽はカナダから取り寄せていますし、オーストラリアやヨーロッパからも買ってきています。もちろん日本の内麦も使っています。
また、ホップは大きく分けて、苦みをつけるビターホップと香りを醸し出すアロマホップの2種類がありますが、日本で栽培しているものはすっきりした苦みのあるホップです。香りがいいのはヨーロッパのホップで、特にチェコ、ドイツのものは香りがいいです。アメリカにはマスカットの香りがするホップなどがあり、そうした世界各地のホップを買い集めてきます。
また、ビールの目利きになるため、味利きの努力もしています。評判の店を訪ね、そこで料理や雰囲気、対応の仕方、出てくるお酒の順番など、トータルの味を勉強します。また他社の新商品は片端から飲みます。ビールを勉強するためです。
次に、製造工程ですが、工場内はほとんど無人化されています。人間は、どうしたらより良い品質のビールが効率的につくれるかを考える仕事に傾注します。タンク洗浄や殺菌も自動化・最適化され、必要な量だけ素早く瓶や缶に詰め、香味低を防ぐなど、新鮮さをとことん追求しています。
 
社会広聴会員:
どのような環境対策を講じていますか?
アサヒビール:
神奈川工場は、世界一環境に優しい工場を目指しています。地球環境は「モノいわぬステークホルダー」といわれています。ビールの主原料である水・大麦・ホップといった自然の恵みを育んでくれた地球に感謝し、地球をより健全な状態で子孫に残すことを理念に掲げ取り組んでいます。工場から出る廃棄物・副産物は100%再資源化しています。また、地球のオゾン層を破壊するといわれているフロンガスを冷媒として一切使用しない完全ノンフロン化を達成しました。工場の大きな冷媒としてはアンモニアを使っています。
さらに、水の使用量を少なくするとか、何度もリサイクルして再利用するということをしています。2005年の実績では、これまでのやり方より4、5割水の使用量を削減しています。
発電に関しては、風力発電の普及を進める第三者機関からグリーン証書の発行を受け、この工場で使う電力の約20%を風力発電で賄っています。
 NAS電池(ナトリウム硫黄電池)も設置しています。夜、電力料金が安いときに蓄電しておいて、昼間にそれを放電して製造ラインで使います。また、神奈川工場は「地球、地域、人との調和を考えた環境創造工場」をコンセプトに、樹木に囲まれた工場を目指しています。正面には、「ガンブリヌス(ドイツのお酒の神様)の丘」という憩いの空間を配置し、その隣にビオガーデンを設け、今ではホタルが舞う環境になりました。
工場の周りに18種類1300本の桜を植えています。地元南足柄市の桜として登録された「ハルメキ」をはじめ、ソメイヨシノや日本で一番早く咲く河津桜などいろいろな種類を植えており、長い期間桜が楽しめる工場を夢見ています。
 
社会広聴会員:
経営理念とCSR活動についてお聞きします。
アサヒビール:
当社の経営理念は「アサヒビールグループは、最高の品質と心のこもった行動を通じて、お客様の満足を追求し、世界の人々の健康で豊かな社会の実現に貢献します。」です。「お客様の満足」がキーワードですが、お客様の期待に応えるだけではなく、その期待を上回るような感動を提供したいという思いが込められています。そういったものを提供することで、お客様の生活を豊かにしていきたいということで、「健康で豊かな社会の実現に貢献する」という内容が入っています。ここで、私どものお客様というのは商品をご愛顧いただいている消費者の方はもちろん、株主やお取引先、地域社会から従業員まで、アサヒビールを取り巻くすべての人たちをお客様と位置付けております。その方々の満足を追求していくことがアサヒビールの使命であると考えています。
従って、当社のCSRとは、語呂合わせのようですが、お客様満足(Customer Satisfaction)のために皆様と交流(Relations)していくこと、CS(Customer Satisfaction) R(Relations)というふうに訳しています。
お客様の声に真摯に耳を傾け、私たちが行っている活動についてご意見をいただき、見直しながら、また新しい活動を始めていくという、循環型にスパイラルしていくことで、アサヒビールのCSRを推進し、結果的にお客様満足と企業の価値が高められていくと考えています。
 
社会広聴会員:
適正飲酒の啓発活動とはどんな内容ですか?
アサヒビール:
お酒は人々の暮らしに喜びと潤いをもたらす人類の文化財産といわれていますが、その一方で不適切な飲用が、社会に様々な問題を投げ掛けています。社会的責任を果たす酒類メーカーとして、こうした問題解決に率先して取り組むのも当然の責務と考えています。
具体的には、適正飲酒のための正しい知識を普及させるため、お客さま向けの『ミニガイド』の発行、大学新入生を対象にした冊子『お酒との正しいつきあい方のガイドブック』や中学生向けビデオ教材「輝く明日へのステップ~中学生は飲酒にNO!!」の発行、アルコール問題への取り組みを紹介するウェブサイト「人とお酒のイイ関係」の開設など、不適切な飲み方をいかに予防するかという様々な啓発活動を推進してきました。
さらに、2005年3月には、未成年者の飲酒予防を目的とした研究活動やセミナーを実施する団体・個人・施設を支援する「未成年者飲酒予防基金」を創設し、総枠1000万円を未成年者飲酒予防に関する社会活動、研究活動をしている団体などに助成しています。
 
参加者の感想から
●一番印象に残っているのは工場長のさわやかな笑顔です。工場を愛し、誇りに思っていらっしゃることや社内の人々との関係が良いことなど、工場長のお話からよく伺えました。こんな風に自分の仕事に誇りを持っていらっしゃる方々に支えられ、つくられるビールは「おいしくて安心して飲める」と思いました。水のリサイクルのお話も参考になりました。

●パンフレットには質問したかったことがすべて書かれており、このような会社があったことをうれしく思いました。弊害のある未成年者の飲酒についても医学的研究やセミナーなどを実施するところへ支援をされるなど素晴らしい発想です。このような優良企業があることを世間にもっと広くお知らせし、影響を与えてほしいと思います。

●アルコール依存症治療への支援、飲酒運転防止対策への研究支援など、具体的な評価尺度も考えていただければ、単なる掛け声や希望ではない活動となり、社会から認められる会社になると思います。

●神奈川工場が稼動してからの失敗や試行錯誤など、ハード面とソフト面(人間分野など)での苦労話などもっとお聞きしたかった。

●企業のお客様とは消費者のみと思っておりましたが、今回の懇談会で、消費者、株主、従業員、取引先、地域社会と幅広くとらえていることを知り、これからの企業のあり方を感じました。日本の企業も社会貢献活動がもっと発展してくれるよう願っています。
お問合せ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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