企業と生活者懇談会
2007年4月26日 神奈川
出席企業:JFEスチール
見学施設:東日本製鉄所(京浜地区)

「暮らしを支える鉄鋼業を考える」

4月26日、神奈川県の川崎市と横浜市にまたがるJFEスチールの東日本製鉄所京浜地区で「企業と生活者懇談会」を開催しました。社会広聴会員15名が参加し、同製鉄所の概要について説明を受け、所内を見学した後、質疑懇談を行いました。JFEスチールからは、東日本製鉄所の山村康総務部長、柳川真人総務部京浜総務室長、阪本岳郎(京浜地区)総務部総務室主任部員、田中良次(京浜地区)見学チームチーフ、JFE環境の鈴木克紀東日本本部京浜技術部長が出席しました。
JFEスチールからの説明
■JFEスチールの歩み■
 川崎製鉄と日本鋼管は、2000年(平成12年)4月から製鉄所間協力を検討し、2001年(平成13年)にはグループ企業を含めた経営統合に合意しました。
 2002年(平成14年)9月に持ち株会社であるJFEホールディングスが設立され、2003年(平成15年)4月には製鉄事業会社であるJFEスチールが発足しました。

■東日本製鉄所(京浜地区)の概要■
 JFEスチールは、旧日本鋼管の京浜製鉄所と旧川崎製鉄の千葉製鉄所を東日本製鉄所として一体的に運営しており、そのうち旧日本鋼管の京浜製鉄所を「京浜地区」と呼んでいます。
 京浜地区は1912年(明治45年)に旧日本鋼管がわが国初の民間製鉄所を建設した地であり、今年(2007年)で95年の歴史を持っています。合計 670万平方メートルの敷地に協力会社の社員も含めて約5000人の従業員が交替制で勤務し、年間約425万トンの鉄鋼製品を生産しています。これは東京タワー1000基分の鉄に相当します。また、使用済みのプラスチックやペットボトルなどのリサイクル事業が行われています。
 京浜地区の中心は旧日本鋼管が1969年(昭和44年)から1976年(昭和51年)にかけて川崎市および横浜市の沖合の海域550万平方メートルを埋め立てて造成した人工島、扇島です。鉄鉱石や石炭などの製鉄材料は扇島東岸の原料岸壁から陸揚げされ、高炉に入れられます。高炉では高熱で鉄鉱石を溶かし、不純物を除いた鉄分(銑鉄せんてつ)を取り出します。
 銑鉄は炭素などの不純物を多く含んでもろいため、転炉に入れて酸素を吹き込み、不純物と反応させて浮かび上がらせ、これを取り除いて強くしなやかな鋼をはがね造ります。この工程を製鋼といいます。
 冷えて固まった鋼は直方体や円柱形の鋼片に切断され、圧延や溶接などによって鋼板や鋼管などの製品に加工されて、扇島西岸の製品岸壁から出荷されます。
 このように扇島では原料受け入れから出荷まで、一直線に配置された設備で効率的に生産をしています。

■製鉄工程の見学■
 参加者はバスで構内を工程順に見学し、特に転炉での製鋼と熱間圧延の工程では下車して見学をしました。
 司令室から見る転炉は1回で200~250トンの鋼を造ることができる巨大なたる状の炉で、表面を滝のように絶えず火の粉が流れ落ちていました。
 転炉でできた鋼は切断されて鋼片となります。この鋼片を加熱し、熱いうちに薄く延ばして鋼板にするのが熱間圧延の工程です。赤熱した鋼片がごう音を上げて勢いよくローラー上を往復し、一気に薄い鋼板になっていきます。

■JFE環境川崎ペットボトルリサイクル工場■
 製鉄工程に続き、グループ会社であるJFE環境の川崎ペットボトルリサイクル工場を見学しました。
 京浜地区では、使用済みプラスチックを高炉の還元材として製鉄工程で活用するほかに、家電やペットボトルなどのリサイクル自体を事業化しています。
ここではペットボトルを処理してペット樹脂のフレーク(小片)を生産しています。再生フレークは繊維メーカーなどに販売され、衣類などに生まれ変わります。
 技術を駆使して様々な異物が混入している回収物を分別し、フレークの純度を高めています。
JFEスチールへの質問と回答
社会広聴会員:
用途に応じた鋼の成分はどの段階で調整しますか。
JFEスチール:
高炉で造る銑鉄は1種類だけですので、用途による仕様に応じて転炉で成分を調整します。転炉では、仕様別に複数のお客さまからの注文分をまとめた上で、1回ごとにクロムやニッケルなど、加える元素を調整して鋼の成分を造り分けています。従って、できあがった製品はすべていつどの転炉で何番目にでき、どの熱延工程でどう圧延したかという履歴をさかのぼることができるようになっています。
 
社会広聴会員:
御社では生活者との接点は限られていると思われますが、地域住民との交流機会を持っていますか。
JFEスチール:
当社の直接のお客さまは製造メーカーや建設会社であり、製品もすべてオーダーメイドですが、自社を生活者の皆さんに知っていただくことが大切だと考えています。東日本製鉄所では地区ごとに年に1度、「製鉄所祭り」というイベントを地域社会と共催しています。  イベントでは町内会にも出店していただき、製鉄所の見学会なども行います。京浜地区では約1 万5000人の地域のお客さまがいらっしゃいます。
 
社会広聴会員:
構内を見学して、行き交う従業員の方たちがお互いに「ご安全に!」とあいさつの声を掛け合っていることが印象的でした。これは工場の管理部門や間接部門でも共通なのでしょうか。
JFEスチール:
東日本製鉄所では全員が「ご安全に」とあいさつをします。これは部門や職位、協力会社などの所属を問いません。例外を設けないことが大切です。
 
社会広聴会員:
鉄鉱石や石炭などの原料は海外からの輸入に依存していると思いますが、安定的な確保が可能ですか。
JFEスチール:
鉄鉱石の確認されている埋蔵量は120年分とされており、当面の心配はありません。また、鉄はリサイクルの優等生といわれ、資源の保護に寄与しています。
 
社会広聴会員:
御社が、二酸化炭素の排出量を抑える溶鉱炉を建設すると聞きましたが、どのようなものでしょうか。
JFEスチール:
この扇島に約100億円を投じ、国内最大のシャフト炉という縦型溶解炉を建設します。来年(2008年)8月に稼動予定です。年間約50万トンの鉄のスクラップをコークスを使って溶かして再利用するもので、排出される二酸化炭素が高炉と比較して半減する見通しです。
 
社会広聴会員:
鉄鋼業の世界的な再編ということがよくいわれますが、御社が買収を仕掛けられる可能性はありますか。
JFEスチール:
世界の鉄鋼業では今後、一層の再編が進む可能性があるものと考えられています。当社がその対象になる可能性も否定できないと思いますが、株主やステークホルダーの価値を減少させるような買収には対抗する必要があるものと思います。
 
参加者の感想から
●社名や業種は知っていても、生活者と接点が少ない企業との懇談会は大変有意義でした。

●日ごろなじみが薄い鉄鋼業でしたが、事前資料を読んで、身近に感じました。

●今でもあの太陽のように鮮やかな鉄の色と、その変化していく様子が目に焼き付いています。

●初めての参加でしたが活発な質疑に驚きました。

●JFEスチールの方の説明が丁寧で、業務内容、製造に関する仕組みがよく理解できました。

●大型統合の成功例であるJFEスチールを見学できて幸運でした。「ご安全に」のあいさつが良かったです。

●製鉄業の現場を見学でき、規模の巨大さと技術力、それを支えている従業員の素晴らしさを実感しました。

●水の再資源化などの取り組みが勉強になりました。

●ペットボトルのリサイクル工場を見て、混入している異物を取り除く現場の大変な苦労が理解できました。

●脱窒素酸化物、脱硫黄酸化物などの環境対策がなされ、職場もきれいになっていると感じました。

●選ばれ続け、成長を続ける会社の条件として「共生」があることを意識させられた一日でした。

お問合せ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
pagetop