企業と生活者懇談会
2003年3月4日 神奈川
出席企業:東京ガス
見学施設:根岸工場

「暮らしのエネルギークリーンエネルギー天然ガス」


東京ガスからの説明
■東京ガスの概要■
 東京ガスは1885年(明治18年)に設立され、今年で118年を迎えます。関東地方の1都8県、92万件のお客さまに94億立方メートルの都市ガスをお届けしています。用途別のガス販売量は、家庭用31%、工場などの工業用35%、ホテルやビルなどの業務用が24%となっています。
 電力会社は地域ごとに1社、日本全国で計10社ありますが、都市ガス会社は全国で230社を数えます。
 東京ガスでは、袖ヶ浦工場(千葉県)、扇島工場(神奈川県)、根岸工場(神奈川県)の3つの工場でガスを作っています。ここ根岸工場では、東京ガス全体の37%のガスを作っています。根岸工場は1966年(昭和41年)に稼動を始め、1969年11月に日本で初めてLNG(液化天然ガス)を受け入れました。現在の根岸工場のLNG受入量は年間365万トンに達し、構内には世界最大の地下タンクを含め、13のLNG貯蔵タンクがあります。
 工場の各種設備は、阪神淡路大震災クラスの地震にも耐えられるような構造となっています。さらに、根岸工場は、大地震により本社の「防災・供給センター」が停止した場合に、供給操作や緊急措置等の重要な役割をバックアップする、サブセンターの機能を持っています。
 工場内には、消防車・高所放水車を配備し、定期的に消火防災訓練を行う等、万一の場合に備えて、万全な保安供給体制をとっています。また、工場緑化の推進やLNGタンクの地下化により、周囲との環境の調和を図っています。
 LNGは、地下深い地層の中に気体として存在している天然ガスをマイナス162度まで冷却し、液化したもので、体積は気体の600分の1になります。この特性を生かして、海外のプラントで天然ガスを液化して、LNGとして船で運んできます。
 陸揚げされたLNGは、マイナス162度のままタンクに貯蔵され、需要の変動に応じてガス化します。LNGに10度〜20度の海水をかけて再ガス化するのです。安全に都市ガスをご使用いただくため、特有の臭いをつけて、お客さまのもとに送出します。
 工場と首都圏920万件のお客さまとを結ぶ天然ガスの幹線は、全長640kmにもなります。首都圏全体をぐるっと取り囲むような環状線になっています。東京湾の海底にもガス管があり、千葉の袖ヶ浦工場と対岸の東京側が結ばれています。この環状の天然ガスの幹線から、網の目のように張り巡らされたガス導管の総延長距離は48,646kmにも達し、地球一周以上の長さに相当します。
 なお、当社の拠点がある日立や甲府には、工場からタンクローリー車でLNGを供給しています。

■都市ガスの原料は環境に優しい天然ガス■
 1955年(昭和30年)当時、当社の都市ガスの主な原料は74%が石炭でした。当時は、石炭を蒸し焼きにしてガスを作っていまし
た。その後、時代とともにガス原料の主役は変わっていきました。石炭から石油へ、そして石油から天然ガスへと移り、現在では93%が天然ガスからできています。都市ガスはLPGなどを加えてカロリー調整をした後、お客さまのもとにお届けしています。
 都市ガスの原料である天然ガスは、メタンが成分の大部分を占めています。特徴は何といってもクリーンなことです。燃焼時に発生する物質を石炭・石油と比較してみると、酸性雨の原因となるSOx(硫黄酸化物)は、石炭100に対して、石油70、天然ガス0の発生量となっています。光化学スモッグや酸性雨などの原因となるNOx(窒素酸化物)の場合、石炭100、石油70に対して、天然ガスは20~40です。地球温暖化の原因となるCO2(二酸化炭素)については、石炭100、石油80、天然ガス60となっています。このように、石炭や石油など他のエネルギーと比べても、天然ガスのクリーン性が際立っているといえます。
 天然ガスは中東地域に集中している石油と異なり、世界各地に豊富な埋蔵量が確認されています。東京ガスでは主にアラスカ、ブルネイ、マレーシア、インドネシア、オーストラリア、カタールの6カ国から天然ガスを輸入しています。原油の可採年数は44年程度と見られていますが、天然ガスは62年程度と見積もられています。予想埋蔵量は確認量のほぼ3倍ともいわれ、今後も安定供給が期待できるエネルギー源といえます。

■環境との調和を目指して■
 東京ガスは給湯器やガスコンロ、ガスエンジン、ガスタービンなどの効率向上をはじめ、エネルギーの有効利用を進めています。そのため、電気と熱を効率よく取り出すことのできるガス・コージェネレーションの普及・促進に、とりわけ力を入れています。こうした活動の結果、2001年度はお客さま先でのCO2排出量を約234万トン抑制することができました。
 天然ガス自動車の普及にも力を入れています。天然ガス自動車は現在、日本全国で約1万5,000台、東京ガス管内で約6,700台走っています。黒煙やSOxを排出せず、NOxの排出量も大幅に少ない低公害車で、ディーゼル車の代替として期待されています。政府は2010年までに、100万台を普及させる目標を掲げています。
 近年エネルギーの規制緩和が進み、ガス・電力といったエネルギー間の競争が激しくなってきています。東京ガスは、今後とも環境にやさしい天然ガスを核に、都市ガスはもとより電力・熱・サービスを提供する「エネルギー・フロンティア産業」として、お客さまに喜んでいただけるサービスを提供していきたいと考えています。
東京ガスへの質問と回答
レポーター:
環境問題に真剣に取り組んでいる企業として、新聞などでよく東京ガスを見かけます。東京ガスの環境への取り組みの歴史を教えてください。
東京ガス:
1964年7月、今から約40年前に「工場公害対策委員会」という組織を設置し、その後1971年に「公害対策室」に発展させました。公害対策室が中心となり、翌年、工場公害対策基本方針を発表しました。それ以前にも様々な形で環境に取り組んでいましたが、組組的に取り組み始めたのはこの時からです。
1970年前後は、ちょうど公害裁判が頻発していて、阿賀野川の水銀問題や水俣病が社会問題になって、次々と裁判になりました。公害問題が社会的にも大きな関心を集めるようになっていた時期です。そのような社会的な雰囲気の中で、各社とも公害問題を扱うセクションを設けていった時代だったと言えます。
当社は全国に230社ある都市ガス会社のひとつです。東京を中心にガスを供給し、お客さまの数では最大のガス会社です。当社はライフラインを通じて、地域に密着しています。そういうことから、地域住民の皆さまの健康や快適な暮らしのためにも、環境保全は社会的責務であると認識し、公害対策に取り組んできました。
その後取り組んだのは、大気汚染防止策です。出てきた結論は、都市ガスの原料に環境に優しい天然ガスを使うことでした。そこで、天然ガスをアラスカから初めて輸入しました。1969年のことです。
1973年には「公害対策室」から「環境管理室」に組織を変えました。それまではどちらかというと、工場単位というか、ガスの製造段階を中心に公害を出さない取り組みがメインでしたが、この頃から公害対策だけでなく、未然防止に力点が移っていきました。
1992年7月には環境部が設置され、全社の環境活動をマネジメントするようになりました。1年間の活動を環境報告書にまとめて、行政はじめ社会に対して報告しています。
 
レポーター:
どのような点に力を入れて環境問題に取り組んでいますか。
東京ガス:
環境問題への取り組みとして、当社は4つのガイドラインを設けています。第1は「温暖化対策ガイドライン」です。ここ数年、首都圏ではヒートアイランド現象が目立つようになり、その解消のためにも温暖化対策が大きな柱になっています。温暖化対策ガイドライ
ンでは、お客さま先でのCO2排出量をできるだけ少なくすることを目標にしています。2005年度に500万トン、2010年度に700万トン抑制することが目標です。
2番目は「NOx対策ガイドライン」です。都市ガス利用機器の平均NOx濃度を、1990年度比で2005年度70%、2010年度60%とすることを目標にしています。3つ目は「資源循環の推進ガイドライン」です。ガス管を埋めるためにつきものの道路工事をしますが、そこから発生する掘削土の削減を進めています。発生量を減らすために、できるだけ道路を掘り返さない方法を開発したり、発生した残土は、減量化、再利用、再資源化を図るようにして、発生比率を37%に抑えています。最後が「グリーン購入ガイドライン」です。グリーン購入とは、商品やサービスを購入する際に、環境への負荷が少ないものを優先的に使うことです。コスト的には、リサイクル商品の方がまだまだ高い。しかし、できるだけ環境に良いものを使っていこうという趣旨で、この問題に取り組んでいます。
成果も表れています。天然ガスの利用促進、ガス・コージェネレーション・システムの導入、ガス機器の効率向上によって、CO2の排出量が抑制されました。2001年度では、CO2の排出量を234万トン抑制しました。NOx(窒素酸化物)に関しても、ガス器具から出るNOxの量を少なくする技術の開発によって、1990年度比で20%削減しています。工場見学の際に、バスに乗っていただきました。実はあのバスは天然ガスで動いています。東京ガス管内で約6,700台走っています。天然ガス自動車が普及すれば、SOx(硫黄酸化物)やNOx(窒素酸化物)の発生を抑制できます。
根岸工場は天然ガスからガスを作っていますが、かつては石炭や石油からガスを作っていました。社有地には昔、石炭、石油からガスを作っていた工場の跡地が残っています。そこの土壌には有害物質が含まれていたりするので、土壌汚染の恐れがある場合は、調べて土壌改良に努めています。他にも事務所のゴミを減らす、再利用するということにも取り組んでいます。
 
レポーター:
コンロなどのガス器具がスーパーや電気販売店など、いろいろな所で売られています。どこで買っていいのか戸惑ってしまいます。販売に関して、何か取り決めみたいなものはないのですか。
東京ガス:
この点については、歴史的な背景からお話しする必要があると思います。
ガス会社と電力会社のどちらの歴史が古いかというと、ガス会社なのです。ガス会社はガス灯からスタートしました。しかし時代とともに、ガスから電気の灯りに変わっていきます。灯りが電気に変わると、ガス会社は台所に進出していきました。当時は、薪を使ってかまどで料理をしていて、炊事は重労働でした。台所は土間を挟んで向こうにあり、七輪など火は外で使用していました。しかし、ガスがあれば家の中で調理ができます。ガスの登場で文化的な生活になりました。ところが、その頃のガス器具は外国製品でしたからお金持ちしか使えない状況だったのです。こうして、だんだんガスが普及していったのですが、戦争で一旦ご破算になりました。戦後、灯りは全部電気となりました。そこで、ガスは、台所のコンロやガス炊飯器、風呂釜という具合に生活文化の向上と一体になって、普及してきました。
生活する上で電気もガスもなくてはならないのですが、ガスに比べれば電気の普及スピードの方が速く、当時は、ガス器具を作ってくれるメーカーさんは、ほとんどありませんでした。しかし、ガス器具をたくさん買っていただいて、ガスを普及させるには品質の良い器具の開発をしなければならない。そこで、東京ガスが安全基準などを設け、メーカーさんを支援しながら一緒になって器具の開発をやってきたのです。そういう流れがあって、風呂桶の製造販売店などに昭和20年代後半から30年代にかけて、都市ガスの器具を扱ってもらうようになりました。こうして、現在の「エネスタ」「エネフィット」が発展してきました。
時代は移り、昭和50年から60年に入ると、ガス器具もリモコン、タイマー、安全装置などのために、電気が必要になりました。また、暖房機、エアコン、炊飯器など、お客さまはガス器具と電気器具を比較検討されるようになりました。そうなると、ガス会社の販売チャネルだけでは、なかなか売れない。つまり、お客さまの目に触れる拠点を増やさないことには、なかなか買ってもらえない。そこで、大手の量販店や金物屋さんにもガス器具を扱ってもらうよう働きかけました。東京ガスの協力会社に「エネスタ」、「エネフィット」がありますが、そこでは東京ガスのブランドがついた製品を販売してもらっています。今ではメーカーさんも、自分のルートで独自にいろいろなところに販路を開拓している。したがって、ガス器具を購入する際の、お客さまの選択の幅が広がったということです。
 
レポーター:
ガス工事の実施にあたっては、何か取り決めはあるのですか。
東京ガス:
ガス器具の販売に関しては先ほどの説明にもあったように、取り決めなどはありません。しかし、ガス工事についてはガス事業法によりいろいろな規制があり、資格をもったお店でないとガス工事はできません。資格をもった会社は複数あるので、お客さまの選択は可能です。それ以外にも、計量法という法律で10年に1回ガスメーターを交換するよう義務づけられており、ガスメーターの取り替えを専門にしている会社もあります。
安全点検は法律で定められたもので、東京ガスの業務です。仕事の進め方や効率化の観点から、色々と見直しを行い、2002年に検針と安全点検を専門に行う会社「東京ガスカスタマーサービス」を設立しました。これにより、実際の検針や安全点検は同社の社員がお客さまのお宅にお伺いすることになります。いずれにしても東京ガスに関連した仕事ですので、最終的な管理責任は東京ガスにあります。
 
レポーター:
最近のマンションのチラシを見ていると、床暖房の標準装備をよく目にします。床暖房の性能や特徴について教えてください。
東京ガス:
昭和30年代頃に、ひとつのボイラーでお湯を沸かし、そのお湯を家の中に通した配管に流して暖房を行うガス・セントラル・ヒーティングが登場しました。しかし、維持費が高かったので、その頃に買いたいと思った方には、床暖房と聞くと手の届かないものだというイメージが残っています。当時に比べ、床暖房は設備費も維持費も下がり、現在では多くのお客さまにご採用いただいています。
現在では複数系統の配管ができるので、最初に床暖房をご計画いただく時に、この部屋はいつも使う、この部屋はたまにしか使わないといった条件にも対応できます。
床暖房の良いところは、部屋の温度を均一にすることです。部屋の中を動いていて、寒暖の差が大きいと不愉快に感じます。部屋の温度を均一にして快適に過ごすには、1部屋の7割ぐらいに相当する部分に床暖房を入れていただきたいと思います。壁に近いところは、物を置いたりするので、通常床暖房は入れません。それで、だいたい7割になるのです。
いわゆる電気カーペットとは、部屋全体が快適なのか、足もとだけが暖かいのか、という点で大きな違いがあります。床暖房は床だけが暖かいと思ったら大間違いです。温度が床面から天井までほとんど均一になるのです。一方、電気カーペットは表面温度だけが高くなります。寝転がっていただくと分かりますが、電気カーペットは触れている部分の温度が上がるのです。床暖房は配管の中に暖めたお湯を通すので、床面に触れていてもいなくても、床面の温度は変わりません。座布団の下に温度計を入れて双方を比べてみると、相当な差がでることが分かります。
 
レポーター:
天然ガスの価格は、輸入先の情勢などで大幅に変動したりするのでしょうか。これはガス料金にも影響するのでしょうか。
東京ガス:
原料については、長期と短期の観点からお話をしたいと思います。まず、LNGを輸入するには、そもそも膨大な設備投資が必要となります。現地の液化基地の建設に数千億円かかり、それを運ぶLNGタンカーも、石油タンカーに比べて2倍以上の建造コストがかかります。受け入れターミナルも石油基地などに比べて割高となっています。したがって、輸出する側、運搬する側のいずれもが経済的にペイしないと、契約は成立しないのです。こうしたことを背景に、LNGの輸入プロジェクトが計画されます。
LNGの輸入は15~20年の長期契約になります。この間、安定的に生産、運搬、購入することになっています。このように長期契約で安定的に輸入をしているので、今後も安定した値段でガスをお使いいただけると思います。以上が長期的なお話です。
ガス料金は、「原料費調整制度」という仕組みにより、決まっています。これは為替レートや原油価格など、外生的要因を速やかにガス料金に反映させる制度です。3カ月ごとに、ガス料金の従量料金の単価を調整しています。これが短期の対応です。ガス会社としては、外的変動要因の影響をなるべく受けないように、天然ガス田の権益を取得するなど原料輸入の上流部門に進出したり、LNGタンカーを自社で保有するなどして、価格の変動を最低限に抑えるよう努力しています。
 
出席者の感想から

●実際に見学させていただいて、「天然ガス」がクリーンで安全であることが良く分かりました。天然ガス以前からガスを使用していた私などは、ガスは公害のもと、危険なもの等のイメージのままで、天然ガスというものをほとんど理解していませんでした。

●日頃、特に意識もせずに便利に使っているエネルギーの、輸入から供給までの様子が良く分かり、大変勉強になりました。特に限りある資源と将来のエネルギーの問題は、大いに考えさせられました。

●ガス導管の埋設工事による掘削土の減量化をはじめとする数多くの環境問題に、全社をあげて積極的に取り組んでいることが、特にに印象に残りました。

●液化天然ガスの世界産出量の50%が日本に入ってきているという事実、そして根岸工場に世界最大容量20万kr の地下タン
クがあり地震に対しても安全性が高いということに驚きました。私たち生活者が直接企業の方々と話ができることはほとんどありませんので、こうした場があることは両者にとって大切だと思います。ぜひ今後とも継続してください。

●水道、電気と同じように日々無意識に使っている都市ガスが、どのような過程を経て家まで安全に届けられるのかに興味をもって参加しました。今回、工場を見学したことで、ガスを今までよりも身近なエネルギーとして意識するようになりました。

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