企業と生活者懇談会
2011年7月21日 大阪
出席企業:大阪ガス
見学施設:実験集合集宅 NEXT21

「近未来の環境・エネルギー・暮らしについて考える」

7月21日、大阪市天王寺区の大阪ガス(実験集合住宅NEXT21)で、「企業と生活者懇談会」を開催し、社会広聴会員13名が参加しました。同社およびNEXT21の概要の説明後、NEXT21を見学しました。午後は、U-CoRoプロジェクト(地域コミュニケーションデザイン実験)の説明を受け、その後、質疑懇談を行いました。
大阪ガスの広報部からは、古田聡理事・広報部長、新濱功啓報道チームマネジャー、リビング開発部からは西尾雄彦技術提案チームマネジャー、田中敏英技術企画チームマネジャー、篠倉博之副課長、エネルギー文化研究所からは木全吉彦所長、弘本由香里特任研究員、お客さま部からは大西紳次サービス企画チームマネジャー、企画部からは夛谷元希環境エネルギー政策チーム副課長が出席しました。
大阪ガスからの説明
■大阪ガスの概要■
 大阪ガスは、ガス事業を開始して今年で106年目を迎えました。ガスの製造販売事業を中心に、2年前には発電と電力の供給販売を開始し、皆さまに身近なところではガス機器の販売などを手掛けています。近畿の2府4県約701万戸を対象に全国で販売される都市ガス全体の4分の1に相当する量を販売していします。 
 
■NEXT21について■
 NEXT21は大阪ガスの実験集合住宅です。1993年(平成5年)10月に竣工し築17年になります。天王寺区清水谷に立地し、敷地面積は1500平米。地上6階地下1階の計18住戸です。1994年(平成6年)から5年ごとに実験フェーズを区切り、実際に社員とその家族が生活をしながら実証研究を進めてきました。家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」も2000年(平成12年)からここNEXT21に試験機を置き、居住状態での実験を重ね、一昨年(2009年)の商品化に結び付きました。現在は第三フェーズの実験中です。環境的、社会的の2つの持続可能性という課題を解決する住まい・エネルギーシステムを目指して、様々な実験を進めています。 
 NEXT21は、構造躯体、外壁、住戸内装のそれぞれを分離した建築システムを採用しています。骨組みに100年間の耐久性を持たせながら、中の内装、設備、間取りはライフスタイルの変化などに応じて柔軟に入れ替えることができます。かなりの面積を緑地に割いているのも特徴です。1階から屋上まで植栽が縦につながり、暑熱対策にも役立っています。 
 現在展開中の第三フェーズでは、集合住宅にも対応した次世代型のコージェネレーションの技術検証をしています。こうしたエネルギーシステムの技術検証だけでなく、人の暮らし方に関する研究も行っています。ある住戸では、省エネ型ガス設備や再生可能エネルギーを活用しつつ、断熱強化、通風性向上などの建築対策や省エネライフスタイルの実践によって、エネルギー負荷を4分の1まで削減する実験に取り組んでいます。少子高齢社会に対応するリフォームのためのインフィル(住戸内装設備)の研究にも取り組んでいます。 
 
■U-CoRoプロジェクトについて■ 
 U-CoRoプロジェクトは、第三フェーズ実験の一環として大阪ガスエネルギー・文化研究所(CEL)が取り組んでいる地域コミュニケーションデザイン実験です。具体的には、NEXT21の1階にあるガラス張りの小スペースを活用したパネル展示や関連するワークショップ開催といった活動を通じて、ここ上町台地界隈に暮らす人々とまちをつなぎ直していこう、交流を促そうという取り組みです。地域文化の再発見、多世代・多文化の共生、防災・減災文化づくりといったテーマの展示などを14回重ねてきました。例えば、地野菜(玉造黒門越瓜(たまつくりくろもんしろうり))の栽培プロジェクトは、歴史、園芸、料理など様々な観点から多くの関心が寄せられました。 
 パネル展示をご覧いただくだけではなく、むしろ、展示をつくる過程やワークショップを通じて、多くの人がかかわりを持ちネットワークができていくことを目的にしています。こうした世代や職種などを超えた横のつながりを少しずつでもつくっていくことで地域コミュニティの課題解決力を高めていくことができるのではないかという仮説のもと試みを進めてきました。実験開始から4年を経て、手応えを感じています。
 
見学の様子
■実験集合住宅NEXT21を見学■ 
 屋上に上がり、太陽光発電モジュールや、第三フェーズで新規実験中の集合住宅用コージェネレーションの集中型水素製造装置を見学しました。大きな装置ですが不思議と目立ちません。豊かな植栽の緑に目を奪われるからでしょう。 
 各住戸の玄関先には、異なる形態の次世代の家庭用コージェネレーション(SOFC)が設置され、効率やデザインなどを比較検証中です。 
 共用廊下の床の一部がガラス張りになっており、廊下床下に水道、ガスなど各種配管が巡らされているのを確認できました。通常の集合住宅と違い、住戸外側に縦管を設け、廊下の下から各住戸へ渡すという配管経路とすることで、水回り設備を動かすリフォームも容易とのことです。
 
大阪ガスへの質問と回答
社会広聴会員:
NEXT21では、雨水は活用していないのですか。
大阪ガス:
雨水は活用していませんが、トイレ、浴室などからの雑排水は地下で浄化し、中水として植栽の散水やトイレの洗浄水として再利用しています。
第三フェーズからは、キッチンから出る生ゴミを微生物により分解しバイオガスを取り出して、都市ガスと混ぜてコージェネレーションで利用する実験も行っています。 
 
社会広聴会員:
U-CoRoプロジェクトで行っているイベントやワークショップには、青年・中年を含めたすべての年齢層の方が参加されていますか。
大阪ガス:
テーマによって参加者は様々ですが、比較的、幅広い年齢層に参加いただけています。この界隈では、青年・中年世代に「まちづくり」にかかわっている人が多いのです。 
 
社会広聴会員:
国のエネルギー政策の動向と大阪ガスの対応について教えてください。
大阪ガス:
国のエネルギー政策は、エネルギー基本計画に基づいて推進されています。東日本大震災を受けて見直されるようですが、昨年(2010年)6月に閣議決定された基本計画では、天然ガスが低炭素化社会の早期実現に向けて重要なエネルギー源と位置付けられ、「天然ガスシフト」が明記されているのが特徴です。大阪ガスは、こうした政策に沿って、天然ガスへの燃料転換、ガスコージェネレーションの普及を通じて、天然ガスシフトを着実に進めていきます。
 
社会広聴会員:
災害対策を聞かせてください。
大阪ガス:
阪神・淡路大震災の経験などを踏まえて、強化してきました。予防策の一例を挙げれば、曲げたり伸ばしたりする力に強いポリエチレン管の敷設です。昨年度末には阪神・淡路大震災発生時の10倍まで拡大しました。東日本大震災でも効果が実証されています。 
一方、災害が発生してしまった場合の緊急策のひとつは、ガス供給停止の単位となるブロック数の拡大です。55ブロックの地域割りを148ブロックまで増やし、災害の状況を見ながらよりきめ細かなエリアに対しガスを遮断できるようにしました。 
阪神・淡路大震災では、ガス管に浸入した水や泥を抜き取るのに非常に苦労しました。これを教訓にガス管から泥と水を吸い出す機械を新たに用意しました。東日本大震災では、大阪ガスグループと協力会社から最盛期で1050名の復旧応援部隊を被災地に派遣しましたが、持参したこの機械が大活躍し、早期復旧に貢献しました。
 
社会広聴会員:
節電・省エネルギーのヒントを教えてください。
大阪ガス:
調理用電化製品は瞬間的にたくさんの電気を使いますので、節電には、お持ちのガスコンロの活用をお勧めします。例えば、魚用グリルは、唐揚げをカラッと温め直すことができますし、トースターの代わりにもなります。 
買い換えのときは、省エネ商品を意識してください。例えば、無駄な給湯・着火を防ぐ「エコタイプ水栓」。ハンドル設計の工夫で、夏場に冷水だけを出しているつもりなのにお湯が混じってしまうことを防ぎます。給湯器の買い換えのときは、「エネファーム」などの「マイホーム発電」による節電・省エネもご検討されてはどうでしょうか。 
 
 
社会広聴会員:
天然ガスの原産国で産出施設のトラブルが発生した場合などに対して、どのように備えていますか。
大阪ガス:
様々な国から調達することによって、ある一カ国で設備の不具合や政変が発生しても、全体としてお客さまへの供給に問題が起こらないようにしています。さらに調達先も徐々に変えて、さらなる調達の安定化を図っています。
 
参加者の感想から
●大阪ガスが環境保全や省エネルギーを目指す様々な研究や実験に長く取り組んでおり、着実に実現に結び付けてきていることが分かりました。 
 
●エネルギーだけではなく、住まいと生活、さらには地域コミュニティをも実証研究の対象とし、積極的に参画していることは素晴らしいと思います。 
 
●建物全体が緑に被われているせいでしょうか、NEXT21を見た瞬間、アジアの街角に佇んでいるような感じを抱きました。環境を考える良い機会となりました。 
 
●ガス発電事業の推進、次世代の家庭用コージェネレーションの開発など、エネルギーの一層の有効利用を追求しているとのことで、次世代の環境や暮らしに期待が持てます。 
 
大阪ガスご担当者より
 当社が新たなエネルギーシステムのあり方のひとつとして研究を進めている「NEXT21」のご見学・ご説明を通して、新技術の取り組みや都市コミュニティの創出についてご理解を深めていただきました。今回の参加者はほとんどが女性で、また、節電の時期と重なったこともあり、生活視点からの貴重なご意見を数多くいいただくことができました。これらのご意見を今後の事業活動に生かしてまいります。
お問合せ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
pagetop