企業と生活者懇談会
2015年2月13日 三重
出席企業:味の素
見学施設:東海事業所

「人と地球の健やかな未来への貢献」

2月13日、味の素の東海事業所(三重県四日市市)で、「企業と生活者懇談会」を開催し、生活者15名が参加しました。会社概要、東海事業所概要について説明を受けた後、「ほんだし」工場、「味の素バードサンクチュアリ in 四日市」を見学し、質疑懇談を行いました。 
味の素からは、東海事業所の家田一浩次長、藤岡肇総務・人事グループ課長、広報部の加賀山修直接コミュニケーショングループ課長が出席しました。

味の素からの説明

■「味の素」の誕生と味の素グループの事業展開 ■
 1900年代初頭、池田菊苗博士は湯豆腐の昆布だしを味わう中で、そのだしに使われている昆布に目をつけ、そのだしのおいしさがグルタミン酸というアミノ酸であることを発見しました。池田博士はこの味を「うま味」と名付け、グルタミン酸を原料とするうま味調味料の製法特許を取得します。「粗食でもできるだけおいしい食事で日本人の栄養状態を改善したい」と願っていた池田博士の思いに、味の素グループの創業者である二代鈴木三郎助が賛同し、1909年(明治42年)、うまみ調味料「味の素」は誕生しました。 
 創業から100年以上が過ぎた現在、味の素グループは、「食品」「アミノ酸」「医薬品」の3事業を軸に、世界26の国・地域で事業を展開し、130の国・地域へ製品を販売しています。従業員数はグローバルで約2万7000人、2013年度の売上高は約9900億円です。国内では川崎、東海、九州の3カ所に生産拠点があります。 

■東海事業所の概要■
 東海事業所は、1962年(昭和37年)に設立されました。敷地面積は約23万4000平方メートル、名古屋ドームの約6倍のスケールがあり、現在約450名の従業員が働いています。製造している主な製品には、和風だしの素の「ほんだし」、「ほんだしいりこだし」、砂糖の約200倍の甘味がある甘味料アスパルテームやシャンプー、化粧品の原料となる香粧品、医療用医薬品があります。 

■環境への取り組み■
 東海事業所のある四日市コンビナートには、赤と白の高い煙突がたくさんあります。以前は事業所の原動力に重油を使用していたため、硫黄酸化物などの有害物質をこの煙突から排出していました。公害のまちとして知られることが多かった四日市市ですが、住民、行政、企業が一体となって環境改善に注力した結果、1995年(平成7年)には、公害を克服した都市として国際連合環境計画から表彰されるなど、その環境は著しく改善しています。 
 東海事業所でも、事業所で使用する蒸気や電気にはクリーンエネルギーといわれる天然ガスを使用し、夏場以外はすべて自家発電で賄っています。以前は有害物質を排出していた煙突も、現在は水蒸気を出すのみです。また、製造工程で使われた水は、汚れを除去し、周辺を流れる川の水よりもきれいに浄化した上で排水しています。敷地内には野生生物の生息地保全を目的としたバードサンクチュアリも設けられています。 

■「味の素」ができるまで ■
 「味の素」は、天然のサトウキビから作られます。海外では、サトウキビのほかにトウモロコシやキャッサバ(イモ類)など、その地に合った原料を使用することもあります。まずサトウキビを搾り、搾り汁を煮詰めて糖蜜を作ります。これをタンクで約2日間発酵させ、うま味であるグルタミン酸を生産します。発酵に使われる微生物を発酵菌といい、乳酸菌や麹菌などが有名ですが、「味の素」ではグルタミン酸生産菌という発酵菌の力を借りています。出来たグルタミン酸を活性炭やフィルターを使って純度を高め、濃縮し、結晶を作ります。保存がきくよう脱水し、熱風で乾燥すれば出来上がりです。 
 「味の素」には使用量の制限はありません。たくさん摂取しても、摂り過ぎたアミノ酸は分解されて体外に排出されるので、健康上問題はありません。ただしたくさん使い過ぎると料理の味を大きく変えてしまいます。味覚は人それぞれ違うので、おいしいと感じる量が適量です。 
 また、長期間保存しても品質が変わらないため、賞味期限の設定がありません。食品衛生法、JAS法に定める「品質の変化が極めて少ないもの」に該当するため、砂糖や塩と同様、賞味期限の表示もありません。 

■うま味を体験■
 私たちの味覚の基となる基本味には、甘味、苦味、酸味、塩味、うま味の5つがあります。当日は、「味の素」や「ほんだし」を使ったうま味体験に参加しました。 
 参加者は、まず、お湯にみそを溶いただけの、だしのないみそ汁を一口飲み、その後、「味の素」を加えたものを再度飲みます。「おいしくなった」「味が濃くなった」と感じる参加者が多く、うま味による味の変化を実感しました。 
 次に、「ほんだし」の原料となるかつお節の削り体験を行いました。かつお節には目があり、逆向き(逆目)に削ると粉になってしまいます。かつお節の頭側の面を削り器に当て、押し込むように削ると、シュッシュッという小気味良い音とともに、薄く丸まった削り節が出来ました。以前は自宅でかつお節を削る家庭も多くありましたが、現在ではほとんどないそうです。初めてかつお節を削ったという参加者も多く、削りたてのかつお節の香りを楽しみました。 

見学の様子

■「ほんだし」工場■
 参加者は、見学者用の「アジパンダ」の帽子をかぶって出発しました。はじめに味の素グループの製品について説明を受け、次に「ほんだし」工場に向かいます。 
 東海事業所では西日本のご家庭で使用される量の「ほんだし」を製造しています。「ほんだし」に使用するかつお節は、静岡県焼津と鹿児島県枕崎で水揚げされたカツオを使い、かつお節製造業者によって「ほんだし」専用に作られたものです。まずは水揚げされたカツオを厳選し、最適な温度管理で煮込んだ後、形を整えます。その後、熟練した職人の手でまきを焚いて燻し、「深燻し」(最も一般的なかつお節)、「極深燻し」(削りたての強いロースト香)、「浅燻し」(ふわっと広がるマイルドな香り)の3種類に燻し分けます。かつお節を3種類作る理由は、香り、コク、味わいそれぞれに優れたかつお節をブレンドすることで、香り高くおいしい「ほんだし」を作るためです。3種類のかつお節を細かく粉砕して節粉にし、カツオを煮込む際にできたかつおエキスや調味料を加えた後、顆粒状に仕上げます。かつおエキスや調味料を加えるのは、「ほんだし」ひとつで手軽においしく味を仕上げることができるようにというコンセプトからです。 
 顆粒で仕上げることにも理由があります。かつお節の香りは空気に触れるとすぐに失われてしまうため、顆粒にして香りを閉じ込めているのです。調理時に飛び散りにくく、溶けやすいなど利便性も高まります。 
 衛生面を保つため、工場には靴を脱いで入場します。製造はクリーンルームで行われていて、参加者はガラス越しに製造工程を見学しました。また、工場内には3種類に燻し分けられたかつお節を削った節粉の展示があり、香りの違いを体験することができました。 

■「味の素バードサンクチュアリ in 四日市」■
 味の素バードサンクチュアリは、5700平方メートルの池と7000平方メートルの緑地帯からなります。中心にある淡水の池は、もとは葦原の中の低湿地帯でしたが、東海事業所設立時に防火用水のために水を貯めているうちに、大きな池になりました。工場の緑化活動として従業員ボランティアが池周辺に植樹を行っているうちに、野鳥が飛来するようになったそうです。そこで、この場所を自然の遺産として残すため、人影をさえぎるための生垣や観察小屋を設置し、樹木も整備して、より野鳥の住みやすい環境に整えた上で、2002年(平成14年)に「味の素バードサンクチュアリ in 四日市」としてオープンしました。今では1年に約38種類の野鳥を観察することができ、中にはカワセミや珍しいオオタカもいます。野鳥たちが自然に暮らせることをポリシーとしているので、従業員は一切餌を与えておらず、三重県立博物館の学芸員にアドバイスをもらいながら、整備保全活動を行っています。 
 当日は、たくさんのアオサギやカワウが巣作りのために飛来していて、参加者は観察小屋にあるテレスコープや双眼鏡で鳥たちの様子を熱心に観察していました。観察小屋内には、三重県絶滅危惧種に指定されているチュウサギの巣の展示や、バードサンクチュアリ説明ムービーの上映などもあり、味の素の環境保護活動について学びました。

懇談会の概要

 懇談会は、四日市市の特産である萬古焼(ばんこやき)の土鍋で炊いたご飯に、「ほんだし」を混ぜて作ったおにぎりをいただきながら実施しました。普段はみそ汁などのだしに使うことが多い「ほんだし」ですが、ご飯に混ぜるだけでだしの風味が効いたおいしいおにぎりが出来ることは、多くの参加者にとって新たな発見となったようです。
 

社会広聴会員:
「味の素」が、化学調味料と呼ばれるのはなぜですか。
味の素:
 昭和30年代に、テレビの料理番組で「味の素」を使用した際、商品名を出せないことから、便宜上、化学調味料と呼ばれたという経緯があります。化学調味料という名称は化学物質のイメージが強く、天然原料を用いて発酵法で作られていることを適切に表現していないことから、昭和60年代以降は、「うま味調味料」と呼ばれていて、行政の統計資料などの用語も「うま味調味料」で統一されています。
 

社会広聴会員:
「味の素」と同類の商品は他社でも作られているのですか。
味の素:
 「味の素」の製法特許は既に切れているので、他社でも同じ製法で作ることは可能です。
 

社会広聴会員:
「ほんだし」は3種類のかつお節をブレンドしているということですが、地域によって味を変えているのですか。
味の素:
国内では、同じ商品名でブレンドの配合を変えることはありません。「ほんだし」シリーズでは、「ほんだしこんぶだし」「ほんだしいりこだし」など商品のバリエーションを充実させることで、お好みのものをお選びいただけるようになっていて、関西方面では「ほんだしいりこだし」が好評をいただくなど、地域によって売れ筋が違います。
 

社会広聴会員:
水産資源の減少が話題になっていますが、「ほんだし」の原料のカツオは今後も安定確保できるのでしょうか。
味の素:
グループ会社を含めると、当社は日本で水揚げする相当な量のカツオを購入しています。カツオ資源に依存し恵みを受けている者として果たすべき役割があると考え、2009年度(平成21年度)より、カツオ資源の保全と持続可能な利用のために、カツオの生態調査に取り組んでいます。
また、世界人口の増加に伴い、カツオに限らず食資源の供給不足が懸念されています。当社では、より効率的な方法で原料やエネルギーを使ってアミノ酸を作る技術など、食資源を有効活用する研究にも力を入れています。
 

社会広聴会員:
サプリメントの安全性について教えてください。
味の素:
当社で製造するサプリメントに使用するアミノ酸については、安全性や製法や成分を細かくチェックし、徹底した品質管理を行っています。社内での検証だけでなく、米国食品医薬局へも届け出て、保証を受けています。
 

社会広聴会員:
女性の活躍推進に向けて、どのように取り組んでいますか。
味の素:
女性が働きやすい環境は、障がいのある方や外国籍の方も働きやすい環境であるとの認識のもと、ワーク・ライフ・バランスの推進に取り組んでいます。本質的に誰もが働きやすく、頑張った人、成果を上げた人を認める風土、組織づくりが大切だと考えています。当社の従業員は約4000名で、これは一人ひとりの顔が見える規模です。女性管理職の登用にも力を入れていますが、女性だからとひとくくりにすることはせず、一人ひとりが能力を発揮できることが重要だと考えています。

参加者の感想から

●味のナンバーワンを目指すだけではなく、食の分野、さらには医療分野まで広範囲にわたった研究がなされていることに感心しました。これからもおいしくて安全な食品や医薬品をお願いします。 

●清潔な工場で衛生面が行き届いていることが分かり、安心すると同時に、味の素への信頼が高まりました。

●四日市コンビナートに立地する工場の敷地内に、野鳥の楽園があることに驚きました。「自然との共生」を生産の現場で実践している姿に、尊敬の念を一層深めました。

●「ほんだし」の味わいは、かつお節を3種類使用するなど、工夫して作られていることが分かりました。 

●試飲、試食することで「うま味」をしっかり感じることができました。消費者に「うま味」を提供しようとする熱心な姿勢に、社員の方の会社への愛情を感じました。 

 

味の素ご担当者より

 このたびは東海事業所にご来場いただきまして、誠にありがとうございました。生活者である社会広聴会員の皆さまが日ごろからお考えになられていることを率直にお聞かせいただき、また私たちの側からもじかにお話しし、ご質問にもお答えすることができた、とても有益な機会となりました。皆さまからいただいた貴重なご意見やご感想を、これからの私たちの事業活動に生かしてまいりたいと考えております。

お問合せ先
経済広報センター 国内広報部
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