企業と生活者懇談会
2015年11月21日 沖縄
出席企業:沖縄電力
見学施設:吉の浦火力発電所

「夢と活力ある沖縄の未来づくりに貢献するエネルギー事業を学ぶ」

11月21日、沖縄電力株式会社の吉の浦火力発電所(沖縄県中頭郡中城村)で、「企業と生活者懇談会」を開催し、生活者8名が参加しました。同社の概要、LNG(液化天然ガス)を燃料とする最新の吉の浦火力発電所の概要説明を受けた後、発電所内のLNGタンクやタービン建屋を見学し、その後、質疑懇談を行いました。 
沖縄電力からは、総務部広報グループの桃原致伸グループリーダー、福田謙氏、電力本部発電部吉の浦火力発電所の仲原保次長、嘉数明正業務課長、石原達也発電課長が出席しました。

沖縄電力からの説明

■沖縄電力の概要■
 沖縄電力は、1972年(昭和47年)5月15日、沖縄の本土復帰と同日に設立され、沖縄の経済発展とともに成長してきました。沖縄電力の供給エリアは沖縄本島を中心として西は与那国島から、東は北大東島まで東西1000キロメートル、南は波照間島から、北は伊平屋島まで南北400キロメートルと、非常に広範にわたっています。この供給エリアは他の電力会社と比較すると、東京電力から九州電力までのエリアに達するほどの広さになります。
 沖縄電力は、本土と送電線がつながっていない単独系統であるため、本土から電気を送ってもらうことはできません。また、沖縄本島以外は11の独立した小規模系統に分かれており、久米島、渡嘉敷島、南大東島、北大東島、渡名喜島、粟国島、宮古島、多良間島、石垣島、波照間島、与那国島にそれぞれ発電所を設けています。一部の島々には海底ケーブルにより電力を供給しており、2016年3月には新たに沖縄本島の西に位置する渡嘉敷島への海底ケーブルの敷設も計画しています。

■安定した電力供給への取り組み■
 本土から遠く離れ、多くの島々で構成される沖縄県には多くの地理的・地形的な制約があります。その中で、沖縄県に住む人々の暮らしや経済活動を支えていく上で必要不可欠な電気を安定的に供給し、社会の発展に貢献することが、沖縄電力の果たすべき社会的責任であると考えています。
 沖縄県の2014年度(平成26年度)の電力需要量は75億3100万キロワットアワーです。最大電力は139万6000キロワットですが、沖縄電力では218万キロワットの供給力があり、供給予備率が56%と需要に十分対応できる発電能力を備えています。また、沖縄の電力需要の特徴として、一般家庭や商業施設、ホテルなどで使用される民生用が約8割、産業用が2割と民生部門での電力需要が大きく、景気変動の影響を受けにくい反面、夏場には冷房需要など天候の影響を受けやすい構造となっています。 
 電源構成も地理的・地形的・電力需要規模の制約により水力・原子力の開発が困難であるため、ほとんどの電源を化石燃料に頼っています。その中で、LNGを燃料とした発電所として新たに吉の浦火力発電所を建設するなど、電源構成の多様化を進めており、2014年度の発電電力量の構成比は、石炭65%、石油13%、LNG18%、新エネルギー等4%です。環境にやさしいLNGを増やしていくことで、2024年度には石炭51%、石油13%、LNG30%、新エネルギー等5%となる計画としています。今後も電力の安定供給、燃料調達のエネルギーセキュリティー、経済性および環境対策を考慮し、バランスの取れた最適な電源構成を図っていきます。 

■吉の浦火力発電所の概要■
 吉の浦火力発電所は沖縄で初めてのLNGを燃料とする発電所として、2012年(平成24年)11月に1号機、2013年(平成25年)5月に2号機が営業運転を開始しました。発電出力は2機合わせて約50万キロワットとなり、沖縄電力の中で最大の発電出力を有する発電所です。この発電所の最大の特徴は、最新鋭のコンバインドサイクル発電方式を導入していることです。同方式による発電はエネルギー効率が高く、一般的な発電方式と比べて同じ量の燃料からより多くの電気をつくることができます。また、大気汚染や酸性雨の原因となる硫黄酸化物やばいじんが全く排出されないほか、窒素酸化物の排出量も少ないことから、環境に配慮した発電所として高い評価を得ています。
 また、今年(2015年)から新しくオープンした大型ショッピングモールの空調などの需要に対してタンクローリーでLNGを供給する取り組みを始めています。その他にも、新たに建設される医療施設や大型アリーナにも同じくLNGを供給する予定です。また、県内唯一の一般ガス事業者にもガス管を通じて気化したガスを供給しています。

見学の様子

■吉の浦火力発電所■
 まず、発電所設備の監視操作を行っている中央操作室を見学し、その後、バスに乗って発電所の設備を見て回り、タービン建屋の内部も見学しました。
 中央操作室では、1号機、2号機、マルチガスタービン発電所、LNGに関連した設備の監視操作を行っており、最近開始したタンクローリーやガス管を通したガス供給についても監視操作をしています。中央操作室は前面の壁一面の大型モニターに各設備の状態が表示されており、すべての操作は各デスクにあるパソコンで行っていました。スイッチや計器類は無く、全てモニターを見ながらの操作で管理しています。また、万一、不測の事態があると、警報が鳴る仕組みとなっているそうです。ここでは1日3交代の6名体制で365日24時間、監視を行っています。沖縄本島における電力需要がリアルタイムで表示されており、需給のバランスを見ながら、発電所の稼働や出力を調整することで電力の安定供給に寄与しています。 
 次に、バスに乗り、2つの大型LNGタンクを見学しました。LNGの原料となる天然ガスは主にオーストラリア、東南アジア、中東など世界各国で採掘されており、LNG専用船で運ばれてきます。一度に多く運搬するために天然ガスはマイナス162℃まで冷却して液化します。液化されると体積はおよそ600分の1まで小さくなります。そして、LNG専用船が発電所のバースと呼ばれる桟橋に着岸し、そこから配管を通って、マイナス162℃の状態を保ちながらLNGタンクに保管されます。タンクは一基当たり14万キロリットルのLNGを保管することができ、LNG専用船2隻分のLNGを一度に保管できます。タンクは外気の熱により、LNGがタンク内で気化するのを防ぐため、多層の保冷構造となっており、内部もマイナス162℃に保たれています。LNGは他の可燃性ガスよりも燃焼しにくく、液体そのものには火が付かないため安全性が高いそうです。
 その後、吉の浦マルチガスタービン発電所を見学しました。東日本大震災を踏まえた災害対策の一環として吉の浦火力発電所構内に建設され、3メートルほど高台になっています。沖縄本島全域が停電してしまった場合の系統立ち上げ電源、吉の浦火力発電所LNGタンクの保安電源、通常時の電力ピーク対応電源として活用されています。また、多様な燃料により発電できることが特徴で、LNGのほか、灯油、バイオエタノールを燃料として利用することができます。
 続いて、LNGを使って実際に発電している1号機タービン建屋の中に入り、稼働中のタービンを見学しました。タービンは通常の話し声が聞こえないほどの音で稼働しており、参加者は目の前で電気がつくられているタービンの迫力に驚いている様子でした。
 最後に、隣接している排熱回収ボイラを見学しました。これは、コンバインドサイクル発電方式になくてはならない設備で、ここでは、ガスタービンから排出された高温の燃焼排ガスを使って、水から蒸気をつくり出し、その蒸気で蒸気タービンを回して、発電します。内部には排煙脱硝装置が設置されており、排ガスに含まれる窒素酸化物を取り除くことができます。参加者は普段目にすることのない巨大なボイラを目の当たりにし、驚きの声を上げていました。

沖縄電力への質問と回答

社会広聴会員:
沖縄は本土と離れているため、他の電力会社からの供給はできないと聞きました。安定供給のためにどのような取り組みをされていますか。
沖縄電力:
沖縄電力は他電力会社との融通ができない単独系統であるため、安定した電力供給には高い供給予備力の確保が必要になります。必要供給予備力は、最大ユニットの事故時においても安定供給が可能となる供給予備力の確保を基本としています。2014年度の実績では、吉の浦火力発電所の運転開始により、予備率は約56%と長期的にも十分な供給体制を構築しています。
 

社会広聴会員:
沖縄本島以外の多数の離島にも電力を供給していますが、その取り組みについて教えてください。
沖縄電力:
本島以外では、宮古・石垣をはじめ11の離島に内燃力発電所を設置し、さらにその周辺の離島へ海底ケーブルなどで24時間絶やさず電気をお届けしています。その他にも、緊急時用の電源として、移動用発電設備を保有するなど、電力安定供給の確保に努めています。電気料金もユニバーサルサービスとして本島と離島とで同じ電気料金で電気を提供しています。
ただし、需要規模が小さいことやあらゆるものにおいて輸送費がかさむというコスト面での問題があります。そこで、収支の改善を図るため、離島についてはカンパニー制を導入することで、収支と費用を可視化するほか、燃料費、人件費、修繕費など全ての面で効率化を図ってコスト削減を進めています。特に、離島での発電はほぼ全て重油を用いるため、燃料費は2001年(平成13年)に47億円だったものが、直近では81億円と大きく増えています。そこで、最先端の風力発電や太陽光発電設備を導入して、火力発電所の燃料を焚き減らすなど、常に改善を図りながら離島での安定供給に取り組んでいます。
 

社会広聴会員:
太陽光、風力など新エネルギー導入の取り組みについて教えてください。
沖縄電力:
沖縄電力グループでは、新エネルギーの導入を積極的に進めており、離島をはじめとする各地域で約2万7000キロワット(2014年度末)の太陽光、風力などによる発電設備を設置しています。また、県内4離島(宮古島・与那国島・北大東島・多良間島)で、太陽光発電設備が大量導入された場合の影響についての実証研究に取り組んでいます。蓄電池を設置することで、より多くの太陽光発電ができるようになるなどの成果もでていますので、新エネルギーをさらに導入できるよう進めていきます。
 

社会広聴会員:
台風の被害を受けやすい地域ですが何か特別な対策を行っていますか。
沖縄電力:
沖縄のライフラインを担う会社として災害対策にも力を入れています。災害対策の具体的検証、事前対策を検討するための災害対策検証委員会を設置し、災害対策を進めています。具体的には、樹木の接触に強い電線、風に強い低風圧電線など、電線の強化や、連続倒壊を防ぐために電柱の強化を進めています。また、お客さまへの情報提供として台風時にはホームページで停電地域を地図で市町村ごとに確認できるほか、お客さまに台風の事前対策や停電時のブレーカー操作を案内する取り組みも進めています。
また、台風が来るときには事前に、各離島に技術者を派遣し、台風通過後にすぐに復旧作業に取り掛かれるようにしています。今年9月の台風21号時には、陸上自衛隊などの協力を得て、ヘリコプターで応援要員を送るなど、停電の早期復旧を目指し、社外防災関係機関との連携も取っています。
離島での災害対策として、可倒式風力発電設備を一部導入しています。風力発電機を90度近く倒すことができ、台風時の強風による被害を避けることができます。
 

参加者の感想から

●事業領域が東西1000キロメートル、南北400キロメートルと大変広大な中で、沖縄電力が電力という生活インフラを支える重要な企業であるということを再認識しました。 

●沖縄本島だけではなく、離島にまで電力を安定供給するために沖縄電力の方々が努力をしていることに大変感銘を受けました。また、電気料金も企業努力により、可能な限り安く提供しようと尽力されていることや社会貢献活動にも力を入れていらっしゃることに感動しました。

●電気の安定供給のために様々な苦労を乗り越えて従事されている沖縄電力の社員の方々の情熱を肌で感じることができ、感動しました。

●沖縄では先進的なLNGによる発電で、環境への負荷を減らせること、石炭ほどではないですが石油よりもコスト面で有利であることなど、よく分かりました。

●沖縄電力の方々の的確な対応や分かりやすい説明に、企業イメージが変わりました。

お問合せ先
経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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