社会広聴アンケート

会社員と規制緩和-「会社員の声」アンケート-

~自社の事業にプラスの影響、バランス重視で進めるべき~

調査概要
内容
(財)経済広報センター(会長:豊田章一郎)では、このたび、「会社員の声」ネットワークに参加している全国の男女会社員 1,868名を対象に、「会社員と規制緩和」というテーマでアンケートを行い、その結果をとりまとめました(回答者 699名、回答率 37.4%)。
現在、「規制緩和」は行財政改革の主要課題として、また、経済の活性化や真の豊かさの実現への鍵を握るものとして、内外から注目を浴びています。そこで、今回のアンケートでは、現在および今後の規制緩和に対する会社員の方々の意見を、全般的な面や、分野別のあり方、自分の会社との関係について聞いてみました。
 
その結果、
 1.規制緩和には8割以上が賛成、
 2.規制緩和によるプラス効果は「行政改革の実現」、マイナスの点は「国際競争力の弱い国内産業の衰退」、
 3.規制緩和の効果はときどき実感するが、政府の取り組みはまだ不十分、
 4.規制緩和を進める際には、弱者保護や安全性確保とのバランスを重視すべき、
 5.規制緩和を優先的に進めるべき分野は「競争政策」、
 6.規制緩和は自社の事業にプラスの影響を与える可能性が高い、
と考えていることがわかりました。
 
<「会社員の声」ネットワーク>
(財)経済広報センターでは、1992年から、就業人口の大きな割合を占める会社員の生の声を聴き、その内容を広く社会に発信していく「会社員の声」ネットワークの構築に努めてきました。
 



<第19回「会社員の声」アンケート結果要旨>

「規制緩和全般について」

 規制緩和についての賛否
規制緩和に対する賛否を尋ねたところ、「賛成である」が83.4%となった。「賛成とも反対ともいえない」は15.6%で、「反対である」という意見はなかった。
男女別で見ると、「賛成である」は男性の方が23ポイント多く(男性:89.6%、女性:66.3%)、「賛成とも反対ともいえない」は女性の方が22ポイント多くなっている(男性:9.6%、女性:32.0%)。
 
 規制緩和のプラス効果として重視するもの
規制緩和によるプラス効果として、重視するものを尋ねたところ、「行政機能の合理化による行政改革の実現」(67.8%)「新たなビジネス・チャンスの創出」(60.4%)「商品・サービスの多様化」(58.7%)「内外価格格差の是正(物価の下落)」(54.8%)が5割を超えた。
世代別で見ると、20歳代は「商品・サービスの多様化」が最も多いが、それ以外の世代は「行政改革の実現」が第1位である。(複数回答)
 
 規制緩和により懸念されるもの
規制緩和による「痛み」や「弊害」について、特に懸念されるものを尋ねたところ、「農業など国際競争力の弱い国内産業の衰退」(50.6%)「商品やサービスの『安全性』の低下」(45.2%)「雇用の不安定化、失業の増大」(44.5%)「企業間競争の加熱による中小企業の衰退」(44.3%)が4割を超えた。
世代別で見ると、20~30歳代は「商品やサービスの『安全性』の低下」が、40歳代以上は「国際競争力の弱い国内産業の衰退」が最も多い。(複数回答)
 
 すでに行われた規制緩和についての実感
この数年間に行われた規制緩和について、その効果を実感することがあるかどうかを尋ねたところ、「ときどき実感を覚える」(45.9%)と「ほとんどないが、感じることもある」(40.9%)の2つで86.8%を占めた。
「全く感じることはない」は6.3%であった。
 
 政府の規制緩和への取り組みに対する評価
政府による、現在までの規制緩和への取り組みについて尋ねたところ、「取り組みが不十分である」が72.2%となった。「妥当な取り組みをしている」は6.2%であった。
 
 今後の規制緩和の進め方
今後の規制緩和の進め方について尋ねたところ、「規制緩和は進めるべきだが、弱者保護や安全性確保とのバランスを重視すべきである」が65.8%で最も多かった。次は「全面的な規制緩和を進め、規制は最小限に絞るべきである」の31.9%で、この2つに意見が集中した。
「弱者保護や安全性確保とのバランスを重視すべき」という意見は、女性では84.0%に達した。また、「規制は最小限に絞るべき」という意見が最も多かったのは50歳代で、43.4%であった。
 
「分野別の規制緩和のあり方について」
※規制緩和の対象となる分野の中から、以下の13分野について質問した。
 (1)土地・住宅 (2)情報・通信 (3)流通 (4)農水産物 (5)運輸(6)金融・証券・保険 (7)エネルギー (8)雇用・労働 (9)医療・福祉(10)競争政策 (11)法務 (12)教育 (13)基準・認証
 
 優先的に規制緩和を進めるべき分野
13分野のうち、優先的に規制緩和を進めるべき分野を尋ねたところ、「競争政策」(35.8%)「金融・証券・保険」(35.3%)「運輸」(32.6%)「流通」(31.2%)「土地・住宅」(30.9%)の順となった。
男女別で見ると、男性の第1位は「金融・証券・保険」、女性の第1位は「流通」で、各々約10ポイントの差があった。(複数回答)
 
 規制緩和を進めることに懐疑的な分野
13分野のうち、今以上の規制緩和を進めるのに懐疑的な分野を尋ねたところ、「無回答」が40.6%で最も多かった。続いて、「医療・福祉」(19.3%)「教育」(16.6%)「農水産物」(15.0%)「土地・住宅」(14.9%)の順となったが、いずれも2割未満であった。(複数回答)
 
「自分の会社と規制緩和の関係について」

 規制緩和が自社の事業に与える影響の有無

規制緩和が自社の事業に与える影響の有無について尋ねたところ、「規制緩和の影響が出る可能性が高い」が60.9%で最も多かった。この割合を業種別で比較すると、「金融・保険業」(91.5%)「電気・ガス・熱供給・水道業」(91.2%)「運輸・通信業」(87.8%)「卸売・小売業、飲食店」(73.3%)「建設業」(71.4%)の順となり、これらの業種では、各々7~9割以上の人が「規制緩和の影響が出る可能性が高い」と考えていることが分かる。
 
 規制緩和が自社の事業に与える影響の内容
前問で「規制緩和の影響が出る可能性が高い」と答えた人に、プラス・マイナスどちらの影響が大きいかを尋ねたところ、「プラスの影響のみ」または「プラスの影響が大きい」と回答した人が51.2%となり、「マイナスの影響のみ」または「マイナスの影響が大きい」と回答した35.7%を上回った。
業種別で比較すると、プラスの影響が大きいと答えた人の割合が最も多かったのは「不動産業」で、マイナスの影響が出ると答えた人はいなかった。一方、「金融・保険業」「電気・ガス・熱供給・水道業」では、マイナスの影響が大きいという回答が5割を超えた。
 
以 上
お問い合わせ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
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