60年住宅ということだと二世帯住宅として使える。そのためにはそれにふさわしい設備にしなければならないのではないか。セキスイハイムの二世帯住宅の宣伝をあまり見ないのだが。
関西セキスイ工業:二世帯住宅の場合、高齢者がお住みになるわけですから当然段差を少なくし、通路階段の手すりを装備するなどバリアフリーでなければなりません。私どもは、業界の中でもかなり早くから一般住宅にバリアフリーを導入してきました。また、3階建て住宅の場合は、エレベーター用のユニットも用意しています。ご要望にお応えできる体制はできているわけですから、ご指摘のように、さらにPRに力を入れていきたいと思います。
宅地の形状は、さまざまだ。ここで生産しているユニットの組み合わせだと住宅の間取りが限られたものになるのではないのか。
関西セキスイ工業:ユニットの形状は殆どが四角形ですが、サイズを数種類もっており、また天井部分が四角形でなく台形になったユニットもあるなど、敷地対応力を高めるようにしています。
「環境共生住宅」というものは、地球環境の保全や周辺環境との親和性を考慮した素晴らしい住宅だと思う。雨水の利用などについて説明して欲しい。
関西セキスイ工業:
これは、住宅産業全体で取り組んでいるものです。日本は水が豊富な国と言われていますが、数年に一度は水不足になったりします。水は無尽蔵ではありません。そこで、ご質問のような雨水の活用や中水という水の再利用が検討されてきたわけです。
水の再利用という点では、大型の建造物やビルなどでは、トイレ・散水・冷却水・洗浄水などに使われています。住宅でも集合住宅や地域単位での導入は進んでいます。
ただし、個々の住宅での導入は、まだ解決するべき課題も多くあり、時間がかかりそうです。
現場に搬入されたユニットを見て変更要望が出た場合、その対応はどうしているのか。
関西セキスイ工業:ご注文をいただく前に、まず展示場等で出来上がりのイメージを見てもらい、それから設計図を書きます。しかし、ユニットが出来上がってからの変更要望も出てくることはあります。そこで、少しでも要望にお応えできるように、実際は10%でいい現場搬入後の作業工数を20%にしているわけです。もちろん、製作過程での進捗状況はお知らせしています。お客様の中には実際に工場に見に来られる方もいらっしゃいます。
この工場での3R活動(リデュース、リユース、リサイクルについて、具体的に説明して欲しい。
関西セキスイ工業:
まず、リデュースです。これはごみの減量つまり、ゼロエミッションの取り組みです。
積水化学グループでは2002年までに、全30工場をゼロエミッション化する全社方針で取り組んでいます。午前中の見学でご説明した通り、工場現場からの廃棄物だけでなく事務管理部門の廃棄物も対象にしています。
リユースの取り組みでは、使用する木材の中で反りなどのある不良材の中から、品質・強度ともに問題のない部分だけを切り取って、フィンガージョイントという方法でつなぎ合せて使用しています。これは工場で使用する木材総量の5%程度になっています。
リサイクルは、納入メーカーにお願いし、木材の削りカスや木粉を床材に、石膏ボードの残材を石膏ボードに再生しています。
ただ、リサイクル素材はコストアップになる場合があります。これをどのように解決していくかが、これからの課題です。
私の家は、そろそろメンテナンスが必要になっている。一般論としてメンテナンスにはどれくらいの費用がかかるのか。
関西セキスイ工業:費用は物件により傷み方が異なり、費用も変わってきます。最近の住宅の品質は向上していますが、経年劣化する部材等については当然メンテナンスが必要です。ただ、住宅を取り巻く外的な環境―気候・空気の汚染度など―や各ご家庭の生活様式などにより、一概にメンテナンス時期を決めるわけにはいきません。そのようなことから、メンテナンスのデータ化が遅れている訳です。しかし、"60年住宅"を標榜している以上これから検討していかなければならないと認識しております。
高断熱・高気密だと、従来の日本家屋のような"すきま風"による自然換気が出来なくなる。説明のあった「24時間換気システム」とは自然換気かそれとも強制換気なのか。
関西セキスイ工業:まず"すきま風"ですが、これは意図した通りの換気が出来るわけではありません。したがって業界では「換気」でなく「漏気」と定義しています。 ご質問の24時間換気システムは、あらかじめ設計された各部屋の給気口と、浴室やトイレ等の換気ファンによる強制換気です。自然換気の場合、温度差や気圧差や風向きの関係でしか風は流れません。これでは安定した換気を行なうことが出来ないわけです。 お客様には、安定的な換気を行なうために、換気ファンを24時間稼動させていただくようお願いしています。電気代も500円~600円程度です。
気密性が高い住宅ということは、冷暖房が前提ということだ。これは、地球温暖化対策に逆行しているのではないか。
関西セキスイ工業:冷暖房は、今の日本では快適性を得るためには使わざるを得ず、普及しています。しかし断熱気密性が低い住宅では充分に快適な冷暖房が出来ず、また空調エネルギーを浪費してしまいます。気候の良い時期は窓や扉を開ければよいわけです。冷暖房時の効果を一段と高めるのが高気密・高断熱構造ですから、省エネでもあり、地球温暖化対策にもつながると思います。
今の住宅は、家族の集まるリビングを通らずに、各個室に行くことが出来るような設計になっている。これでは、家族のコミュニケーションをとりにくいのではないか。
関西セキスイ工業:
ご指摘のリビングを通らないと個室に行くことが出来ない間取り構造を「オープンリビング」と言います。
ただその場合、リビングの周りに個室を配置するため、リビングのテレビの音やタバコの臭いなどが問題になります。それでも家族のコミュニケーションの方を大事にするというのであればオープンリビングにしたらよいと思います。要は、ご家族が決めることだと思います。私どもはどちらでも対応することが出来ます。
太陽光発電の作りは脆弱に見えるが、寿命はどれくらいか。 また、太陽光発電装置を製作するにもかなりのエネルギーを使っていると思うが、どれくらいの期間でそのエネルギーを回収出来るのか。
関西セキスイ工業:
まず寿命ですが、従来に比べ耐久性のある部材を使用していますので、私どもの耐用試験では30~40年は使用できるという結果が出ています。
次にエネルギーの回収ですが、2~3年使用することで生産時の消費エネルギーが回収できると、ある研究所が分析しています。
それと余談ですが、日本の住宅全戸に3KWの太陽光発電装置を設置した場合、民生エネルギーの5%くらいが削減できると試算されています。
数字的にはわずかですが、設置することで、"心がけ"が変わるといいます。つまり、省エネ意識が高まり、こまめにスイッチを切るなどするため、予想以上に電力使用料が減るようです。このように意識が変わることの方が大事だと思います。