企業と生活者懇談会
2010年3月17日 東京
出席企業:セコム
見学施設:セコムSCセンター

「私たちの安全な暮らしを守る、セコム」

(概 要)
3月17日、東京都三鷹市の「セコムSCセンター」で、「企業と生活者懇談会」を開催しました。社会広聴会員18名が参加し、同社やSCセンターについて説明を受けた後、「ココセコムオペレーションセンター」や研究開発された商品を見学し、続いて質疑懇談を行いました。
セコムからは、コーポレート広報部の安田稔部長、齋藤明日香氏、竹内昭彦氏が出席しました。
セコムからの説明
■社会システム産業を目指して■
 セコムは1962年(昭和37年)に常駐警備と巡回警備のサービスを開始し、日本初の警備保障会社として創業。以来、警備産業から安全産業、そして1989年(平成元年)からは「社会システム産業」の構築を目指して、常に新たな事業を創造し、成長してきました。現在ではセキュリティ事業をはじめ、防災、メディカル、保険、情報系といった8つの事業を展開しています。
 セコムが目指す「社会システム産業」とは、セキュリティの普及を通じて構築したネットワークを基に、社会にとって安全、安心、便利で快適なサービスシステムを次々に創造し、それらを統合・融合化して、新しい社会システムとして提供する産業のことです。
 多くの企業が本業回帰の選択と集中を行い、本業の経営資源を活用した多角化を行っている中、セコムは「社会システム産業」の構築をビジョンとして掲げ、その構築に不可欠な事業を展開しています。

■セキュリティ事業について■
 中核を成す「セキュリティ事業」では、家庭やオフィスビルなどの施設にセンサーを設置し、緊急時に対処員が急行する「オンライン・セキュリティシステム」や、位置情報を活用し屋外でも安全を守る屋外用携帯緊急通報システム「ココセコム」など様々なサービスを展開しています。
 機器売却や監視のみの欧米方式に対し、機器レンタルで緊急対処までトータルサービスを行うセコム方式は、世界に類を見ないビジネスモデルとして、圧倒的なシェアとブランド力を誇っています。機械の利点と人間の長所を組み合わせた「マン・マシン・システム」や、約127万件の企業や家庭の鍵を預かる体制、セキュリティに関する業務すべてを一貫して自社で運営するトータルパッケージといった、独自のサービスで24時間確実に安全を提供しています。
 また、長期契約ベースのビジネスモデルは、安定的な収入や高い利益率をもたらし、セキュリティ会社に不可欠な経営の安定や、研究開発への投資につながり、次の安全・安心を生み出しています。

■多様な事業とシナジーについて■
 「メディカル事業」は、家庭に安心感を提供する上で家族の健康や命を守るメディカルサービスが不可欠と、1991年(平成3年)から開始しました。個人向けの訪問看護・介護サービスや、医療機関向けの遠隔医療画像診断支援サービス「ホスピネット」などがあります。「損害保険事業」は、被害を最小限にとどめるセキュリティサービスと、万一の被害発生時の損失を補てんする損害保険を組み合わせることでトータルな安全を提供しています。自動車保険に現場急行サービスを付加するなど独自商品を開発しています。
 「情報系事業」は、インターネット社会に欠かせないサイバーセキュリティと物理的なセキュリティを一体として提供する情報の総合セキュリティサービスです。このほか、「防災事業」「地理情報サービス事業」「不動産事業」「海外事業」を展開しています。
 多様な分野のサービスを融合的に提供し、相乗効果を発揮することで、独自の高品質な安全を提供するとともに、お客さま一人ひとりが「自分の求めるサービスを受けられる」と実感していただけるようになると考えています。これからもセコムらしいユニークな“オンリー・ワン”サービスを追求していきます。

■SCセンターについて■
 セコムグループには事業をサポートする5つのセンターがあります。1996年(平成8年)に設立された「セコムSCセンター」は、最大規模のセンターとして複合的な機能を持っています。約120名の研究スタッフが長期的な視点で基盤技術の研究に取り組む「セコムIS研究所」をはじめ、「ココセコムオペレーションセンター」や「ホスピネットセンター」などがあり、約1000人の社員が働いています。
見学の様子
 ■開発製品の見学■
 まず、「セコムIS研究所」で開発された食事支援ロボット「マイスプーン」の説明を受けました。これは手の不自由な方があごなど体の一部を動かすだけで、自分で食事が取れるようになる小さなアーム型のロボットです。ロボットは、4つの区画に仕切られた専用のトレーとアームにセットされたスプーンとフォークを使い、豆腐のような柔らかい食べ物もこぼさずにすくって、口元に持ってくることができていました。お客さまからは「自分のペースで食事ができるので、安心して食事を楽しめるようになった」と言われるそうです。
 次に屋外で広い敷地を監視して安全を守る屋外巡回監視ロボット「セコムロボットX」が、実際に作動する様子を見学しました。「セコムロボットX」は重さ約200kgあり、最高時速10kmで自動運転をしますが、50個以上のセンサーで常に周りの環境を確認しながら走っているので人にぶつかることはありません。内蔵されたカメラは照明のない場所でも不審者を自動的に検出するそうです。マイクとスピーカーを使って会話をしたり、発煙装置などで威嚇することもでき、今回は音声で威嚇する様子を見ました。手動でもテレビゲームのコントローラーのようなもので、簡単に操作できるそうです。

■ココセコムオペレーションセンターの見学■
 GPSと携帯電話の基地局情報を使って高齢者や子どもの居場所を確認するサービス「ココセコム」のオペレーションセンターを見学しました。地図などを映したモニターが並ぶ部屋で、通常時は昼4名、夜間3名で運営されているとのことです。全国で稼動する約35万台の「ココセコム」端末のすべての対応がここで行われていると伺い、その効率的な運営に驚きました。ここではお客さまからの要請や問い合わせに対応し、現場に急行する人員をコントロールしています。端末から送られる信号の軌道やスピードなどから状況を予想し、対応策を検討し、必要に応じて警察や消防に通報します。
セコムへの質問と回答
社会広聴会員:
海外展開や世界での評価について教えてください。
セコム:
この業界では、日本企業で唯一、本格的な海外事業を展開しています。1977年(昭和52年)の台湾進出を皮切りに、現在11の国と地域で安全を提供しています。特にアジア8カ国ではこれまでにない産業として、地元企業とゼロから合弁会社をつくり成功してきました。現在は中国にも力を入れています。コントロールセンターで監視し、駆けつけるというトータルサービスは、世界でもユニークなサービスとして高い評価を得ており、安定した収入が見込める経営と相まって、外国人の持株比率が4割程度と高く、安定して保有されています。
 
社会広聴会員:
他社との差別化戦略を教えてください。
セコム:
他社はセキュリティ事業に徹しておられますが、セコムはより総合的な「社会システム産業」を担う企業として、多様なお客さまのニーズにきめ細かく対応しています。また、自社で研究開発・製造部門を持ち、常に世の中にない新たなサービスや事業を創造しています。
 
社会広聴会員:
教育について教えてください。
セコム:
新入社員は入社後数年間にわたり、様々な部署を経験します。男性であればフィールドの経験、女性であればセコムショップのアドバイザー職などを経て、セキュリティを肌感覚で学びます。
セコムは「社会システム産業」の構築には質の高い人材の育成が非常に重要であると考えており、4つの人材開発センターで年間延べ1万人に対し、理念浸透やモラル育成など様々な研修を行っています。セキュリティ分野は、犯罪の第一発見者になることや警察との連携が求められたりと、犯罪に近い場所で行う仕事でもあることから、教育を徹底するとともに、様々なリスクを低減する仕組みを整備しています。
 
社会広聴会員:
環境対策で行っていることはありますか。
セコム:
セコムは緊急対処用などに約5000台の業務車両を持っていますが、2013年までに低公害車化を進める計画で、現在70%以上の変更が完了しています。また、セコムの機器類はレンタル方式であるため、かねてから契約終了時などに回収し、使える部品と使えない部品とに分けて再利用をしてきました。リペアサービスもグループ内で行い、廃棄品を最小限にとどめています。
 
社会広聴会員:
高齢化を迎える社会で、どのように貢献していかれますか。
セコム:
セコムは事業を通じて社会に貢献するという創業者の思いを受け継いでいます。この思いのもと、「マイスプーン」のように本当に困っている方が喜んでくださるようなサービス・製品にも粘り強く取り組んできました。ひと言で高齢者と考えてしまうことなく、それぞれのご家庭・個人に合ったサービスを提供することが大切と思っています。高齢者向けの緊急通報システムを自治体と連携して提供するなどの取り組みも日本で最初に始めました。また、ホームセキュリティのお客さまも高齢になられると日々の生活の中でお困りになることが増えてきます。「困ったときはセコムに頼もう」とお客さまに言っていただく存在として対応できるよう、生活支援サービス「セコム・ホームサービス」を開始し、多くの方に好評を得ています。
 
参加者の感想から
●ショールームのパネルに掲げてあった「起業」のフィロソフィーと思われるエンブレムに、フクロウと二本の鍵が記され、万人が休息中もその安全を守りますという意味の言葉があり、感動しました。この起業の原点が今日のセコムのすべてを物語っていると感じました。

●以前の日本では「安全と水はタダ」だと思っていましたが、この10年で水も安全もお金を出して得るものになったとつくづく思います。今回の見学でいろいろなセキュリティサービスを知ることができました。今後の高齢化社会に向け、さらにニーズが高まることでしょう。

●セコムは警備を発端にセキュリティから発想を広げ、防災、医療、地理情報などの社会システム産業にまで事業を広げていることに感心しました。さらに機密保持の性格上、製品はすべて自社製作、研究や人材育成に重きを置き、この時代に全員正社員と聞き、セキュリティへの会社の責任と自覚のほどがうかがえました。

●社員にロボット研究の専門家までいて、息の長い研究活動をさせている様子を見て、びっくりしました。ロボット「マイスプーン」の実演は楽しく、感心させられました。いずれ研究が進み、採算面でも介護の実務に役立っていくことを期待します。

●セキュリティ業務だけでなく、トータルの安心社会に向けて、種々の業務を手掛けていて、セコムの企業イメージが大きく変わりました。セコムは時流にあって急成長を遂げている企業ですが、時流以上に「信頼できる安全・安心社会」に向けての「企業努力」を感じ取ることができました。
セコムご担当者より
日ごろ、お世話になっている生活者の皆さまと直接お話ができ、大変有意義な機会となりました。見学中、熱心にメモを取られ、貴重なご意見をいただけたことに、大変感銘を受けました。これからも、皆さまに一層喜ばれるサービスを提供していく所存です。
お問い合わせ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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