企業と生活者懇談会
2007年11月9日 長野
出席企業:長野都市ガス
見学施設:ショールーム

「暮らしを支えるエネルギー産業について考える」

2007年11月9日、長野県長野市の長野都市ガスのショールームにて、「企業と生活者懇談会」を開催しました。22名の生活者が参加し、同社の概要について説明を受け、ショールームや調理実演を見学した後、同社の業務用ガス設備があるレストラン「THE FUJIYA GOHON-JIN(ザ・フジヤ・ゴホンジン)」に移動し、質疑懇談および見学を行いました。
長野都市ガスからは、茂木通則代表取締役社長、東郷康次郎取締役企画総務部長、西山勝宏企画総務部人事・総務グループ課長、松澤次男営業部営業開発グループ係長、宇津木大介同グループ主任が出席しました。
長野都市ガスからの説明
■長野都市ガスの歩みと概要■
 長野都市ガスは、長野県による都市ガス事業が2005年(平成17年)4月に民営化されたことに伴い、長野県から同事業を引き継いで設立され、2006 年(平成18年)7月には東京ガス長野支社を統合して事業規模を拡大しました。供給エリアは須坂地区・長野地区・篠ノ井地区・小諸・佐久地区など8市3町にわたり、約9万件のお客さまに都市ガスを提供しています。2007年度売上高見通しは約115億円、従業員は185名、長野市に本社を置き、地域とともに生きる企業を目指しています。

■環境にやさしい天然ガスの事業拡大■
 長野都市ガスは、天然ガスを原料とした都市ガスを供給しています。天然ガスは新潟の産出地からパイプラインによって運ばれ、圧力調整、付臭(ガスに臭いを付けること)を経て、都市ガスとして工場や大規模ビルなどの業務用のお客さまや、一般家庭に供給されます。
 天然ガスは、メタンを主成分とする無色透明、無臭で人体に無害なエネルギー資源です。地球温暖化の原因となる二酸化炭素について、天然ガスを燃やした時の排出量は、石炭の60%、石油の75%です。大気汚染の原因となる窒素酸化物は石炭の20~40%、硫黄酸化物は全く含まないなど、クリーンな化石エネルギーです。
 この環境にやさしい天然ガスの普及のため、長野都市ガスは安定供給、保安の確保、お客さまサービスの向上に努め、快適なガスライフのご提案と、地域への貢献、および透明かつ公正な事業運営に努めています。

■ショールームの見学■
 長野都市ガスの企業概要について映像などで説明を受けた後、同社のショールームを見学しました。ガステーブルや炊飯器、乾燥機、床暖房、省エネ型給湯器のエコジョーズなど、ガス機器の性能などについて詳しく説明を受けました。また、参加者自らがガステーブルを使用した調理実演に参加し、ガスの特長を体感しました。

■THE FUJIYA GOHONJINの施設見学■
 ショールームの見学後、業務用ガス機器を採用している長野市内のレストラン「THE FUJIYA GOHONJIN」に移動し、質疑懇談と館内施設の見学をしました。同館は江戸時代の御本陣を起源に持つ旅館の建物を活用したレストランで、1925年(大正14年)に改築された西洋建築が特長です。ガスを使って庭園や小道を照らすかがり火や業務用のガス厨房機器、ガス空調設備などを見学し、都市ガスが一般家庭にとどまらず、多くの施設で、様々な使われ方をしていることがよく分かりました。
長野都市ガスへの質問と回答
社会広聴会員:
都市ガスの安全や保安をどのように確保していますか。
長野都市ガス:
ガスは可燃性の気体であり、安全には細心の注意を払っています。都市ガスを供給するガス管は、地震に強いポリエチレン管を主に使用しています。各家庭や施設などには、地震時や火の消し忘れ、ガス漏れなどの異常を検知して自動的にガスを停止するマイコンメーターが設置されています。また、敷設されているガス管やご家庭のガス設備の安全点検を3年に1度定期的に行って保安の確保に努めています。
 
社会広聴会員:
天然ガスの特長と、エネルギーとしての将来性を教えてください。
長野都市ガス:
天然ガスは二酸化炭素や窒素酸化物、硫黄酸化物などの排出量が少ないクリーンなエネルギー資源です。また、産出地でのエネルギー量と、家庭などのお客さまの元に届くエネルギー量を比較する熱変換率では都市ガスは100%であり、送る途中で目減りしないのが特長です。天然ガスの埋蔵量は、現在の技術であと70年程度あるとされています。また、メタンハイドレートと呼ばれる、メタンを水分子が多く取り囲んだ物質があります。メタンは天然ガスの主成分であり、日本近海の海底にはメタンハイドレートが大量に埋蔵されているといわれています。採掘技術が開発されると将来的により多くの資源利用が望めます。
  
社会広聴会員:
他のクリーンエネルギーと比較した天然ガスの特色は何でしょうか。
長野都市ガス:
近い将来の利用方法として、分散型電源のエネルギー源として水素の利用が進む可能性があります。大手都市ガス会社では、都市ガスから水素を取り出し、酸素と化合させて電気を取り出す燃料電池の利用拡大を推進しています。
 
社会広聴会員:
事業拡大に伴い、どのように人材を確保しましたか。
長野都市ガス:
2005年4月に民営化して以来、2年間で70人を超える社員を新卒または中途で採用してきました。当社は地元長野に根ざす企業を目指しているため、採用も主に長野県の方を採用しています。その意味では、雇用を通じて地域社会に貢献していると自負しています。  世代にも考慮しています。若い人ばかりではなく、年齢のノーマライゼーション(均一化)を目指し、バランスの取れた採用をしています。また、当社の特長的な人材活用は、各家庭の定期安全点検の一部を女性が行っていることです。これは全国のガス会社でも珍しいケースで、訪問時に各家庭の主婦の方から、保安員が女性だと安心すると好評であり、当社としても女性の人材登用が促進できる施策だと考えています。
 
社会広聴会員:
長野県での都市ガスの販売は伸びているのでしょうか。
長野都市ガス:
ガス販売量は増加傾向にあります。その内訳としては、工場などの工業用やビルなどの業務用の販売量が伸びています。今日の石油価格の高騰や地球環境問題への配慮、長野県の環境条例の施行などが理由に挙げられます。一方、一般家庭での販売は横ばいですが、より多くのお客さまにガスを使っていただけるよう、提案してまいります。
 
社会広聴会員:
わが家でも都市ガスを使いたいのですが、残念ながら都市ガスの管が家に入っていません。もっと都市ガスを普及させてほしいのですが。
長野都市ガス:
長野県全域の都市ガス普及率は約20%です。プロパンガスはガス管が不要で、ボンベで供給できますが、都市ガスの供給にはガス管が必要です。供給約款でガス管を敷設する際の料金が定められており、お客さまが何軒かまとまって工事を申し込めば料金が安くなる場合もあります。まだ都市ガスが供給されていないエリアの方々は地域の声をまとめていただき、当社にご相談いただきたいと思います。
 
社会広聴会員:
長野都市ガスを知ってもらうために、どのような活動をしていますか。
長野都市ガス:
一般の方はガスについてあまり具体的なイメージを持っていないことが多いため、ショールームでのガスを使った調理実演や懇談会、料理教室などを開催し、お客さまの生の声を広く聴く機会を増やすなど、地道な活動を続けています。  また、地元長野の新聞にガスの記事を取り上げてもらったり、テレビでも広告宣伝を出したり、料理番組の提供・撮影協力などをしています。社会貢献活動として、長野地区では巡回員による子どもパトロールを実施しています。その他、地域の皆さまとの交流を促進するための「ガス展」を毎年開催しています。
 
参加者の感想から
●限られた時間でしたが、都市ガスのエネルギーとしての特長がよく分かりました。

●「安心・安全・信頼の確保」を掲げる長野都市ガスは、企業のモラルが問われる今日、地方でよく頑張っていると思いました。

●市町村などの行政にも広く働き掛けて、長野県での都市ガス普及率を向上させてもらいたいです。

●会社の方針として、地元長野の人材を多く採用されていることに、地域への貢献がうかがえました。

●ガスが安全・快適に使えるのはガス会社の企業努力があると認識する、良い機会になりました。

●地域密着の企業として社会見学などの、子どもたちの教育へのかかわり、地域、市民と結び付いた協同事業をこれからも考えてほしいと思いました。

お問い合わせ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
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