企業と生活者懇談会
2016年5月26日 静岡
出席企業:中日本高速道路
見学施設:東名高速道路用宗高架橋リニューアルプロジェクト工事現場、NEOPASA清水、コミュニケーション・プラザ富士

「本格化する“高速道路リニューアルプロジェクト”を見に行こう!」

5月26日、中日本高速道路(NEXCO中日本)の東名高速道路用宗高架橋リニューアル工事現場(静岡市駿河区)、NEOPASA清水(静岡市清水区)、コミュニケーション・プラザ富士(静岡県富士市)で、「企業と生活者懇談会」を開催し、生活者13名が参加しました。同社の概要、高速道路のリニューアルプロジェクトの必要性について説明を受けた後、東名高速道路用宗高架橋リニューアル工事現場の様子などを見学し、その後、質疑懇談を行いました。 
NEXCO中日本からは、東京支社富士保全・サービスセンターの小原寛所長、前田武頼施設担当課長、東京支社静岡保全・サービスセンターの石橋善明所長、竹沢正文更新工事担当課長、経営企画本部広報部の横山亮介副部長、経営企画本部広報部広報室の木之瀬逸郎室長代理、会田俊介氏が出席しました。

NEXCO中日本からの説明

■NEXCO中日本の概要■
 NEXCO中日本は2005年(平成17年)10月1日に旧日本道路公団の分割民営化により設立した会社で、従業員数は約2100人、NEXCO中日本グループ全体では、約1万人となっています。管理・運営している道路は、東名高速道路、中央自動車道、新東名高速道路の全線、名神高速道路、北陸自動車道の一部などで、営業延長は、2058キロメートル(2015年度末時点)になります。
 同社は「高速道路の建設」「高速道路の保全・サービス」「関連事業」の主に3つの事業に取り組んでいます。「高速道路の建設」は、新東名・新名神の整備によるダブルネットワークの形成や大都市圏の環状道路の整備など、高速道路ネットワークの整備を着実かつ効率的に進め、地域の期待に応えています。「高速道路の保全・サービス」は、構造物の老朽化や近年の厳しい気象環境などの課題に機敏に対応し、信頼性の高い高速道路ネットワークの管理・運営とお客さまに満足していただけるサービスを24時間365日提供しています。「関連事業」は、特徴と魅力あるサービスエリアづくりをはじめ、道路技術を生かした外販、不動産開発など、新たな事業の展開に取り組んでいます。

■高速道路リニューアルプロジェクトの必要性■
 高速道路は、日本の高度経済成長と時期を同じくして、飛躍的に発達しました。そのため日本全体で高速道路の老朽化が進んでいます。NEXCO中日本が管理する高速道路も開通から30年以上経過した道路が約6割を占めています。また、近年多く見られる大型車両の増加とともに総重量などを超過した法令違反車両の通行、積雪寒冷地の開通路線延長の増加や凍結防止剤の使用量の増加などが、老朽化をさらに加速させています。
 高速道路ネットワーク機能を長期にわたって健全に保ち続けていくために、また、これからも暮らしや経済を支える大動脈としての役割を果たしていくために、早期に大規模更新・修繕事業に取り組んでいく必要があります。具体的には、橋梁の場合、床版(車が走行している部分)の取り替えや水、塩化物の床版への浸透を遮断する高性能床版防水の施工、桁(車の走行面を支える部分)の補強などを行います。

見学の様子

■用宗高架橋でのリニューアル工事の見学■
 用宗高架橋は、東名高速道路の静岡IC~焼津IC間にあり、老朽化した鉄筋コンクリート床版を新しい床版に取り替える工事を行います。用宗高架橋は、開通から47年が経過しているそうです。
 参加者は、大型の重機を使用して老朽化した床版を吊り上げて撤去する様子などを見学しました。長さが約12メートル、重さは10トンを超える新しい床版を見て、その迫力に驚きの表情を浮かべるとともに、「工事による渋滞などの社会的な影響を少なくするため、上下線をうまく活用して、2車線の交通を確保したり、できる限り工事期間を短縮するために、現場ではなく工場で10トンを超える床版を造ってからトラックで運んでいます」といった説明を聞き、参加者からは「素晴らしい工夫だ」と感心の声が上がっていました。
 また、古い床版の撤去など大きな音がする作業は昼間に、新しい床版の設置などの比較的音がでない作業を夜間に実施するといった近隣住民への配慮・工夫などの話も聞きながら、熱心に見学しました。

■NEOPASA清水のトイレの工夫などを見学■
 次に参加者は、新東名高速道路のパーキングエリアである「NEOPASA清水」を見学しました。NEOPASAとは、新東名高速道路の商業施設ブランドの名称で、全8カ所に展開しています。新しさを表現する「NEO」、パーキングエリアの「PA」、サービスエリアの「SA」を組み合わせたネーミングになっています。
 NEOPASA清水は、「くるまライフのコミュニティーパーク」をコンセプトにしており、施設はガレージをイメージして建てられ、タイヤやチェッカーフラッグをモチーフとした調度を備えるとともに、車やバイクの展示も行っています。また、飲食店や土産物店の他にアパレルや生活雑貨店などの出店の充実、新東名高速道路で唯一の富士山が眺望できる展望台の設置などといった特徴があります。
 参加者は、NEOPASA清水の自由見学の前に、NEOPASA清水の大きな特徴の1つである「日本トイレ大賞~国土交通大臣賞~」を受賞した「おもてなしトイレプロジェクト」について説明を聞きました。
 このNEOPASA清水の駐車場は扇形になっており、どこの駐車スペースに車を停めても、トイレまでの導線がスムーズになるように設計されています。また、くつろぎの空間として、広いロビースペースを設けています。さらに男子トイレ、女子トイレともに「通常期用」「繁忙期用」と分かれており、繁忙期の対応が可能になるだけでなく、清掃作業や補修作業を効率的に行うことができます。他にも、入り口から一目でどこのトイレが空いているか判別できるようにランプが設置されていたり、お客さまのニーズに合わせてシャワートイレを設置していたりと数多くの工夫が施されています。「清掃は、硬く絞ったモップを使用した乾式清掃を採用。また、床を簡単に清掃できるよう、便座を床でなく、壁に設置するなど清掃員の提案を採り入れ、滑らず、臭わない、清潔感のあるトイレを実現しました。」といった説明を聞き、参加者からは「なんといってもきれい。4年経っているとは思えない。清掃員の方の目線がしっかり反映されているから新品同様清潔に保たれている」といった声が多く上がっていました。
 最後に、NEOPASA清水が大災害時などに防災拠点(避難場所など)となれるよう、緊急放送用のスピーカー、非常電話、防災備蓄倉庫、ヘリポートなどが完備されていることについて説明を受けました。

■コミュニケーション・プラザ富士の見学■
 最後にコミュニケーション・プラザ富士を見学しました。まず、併設されている富士保全・サービスセンターの車庫に並んでいる様々な管理車両について説明を聞きました。参加者は、冬などに道路が凍らないように薬剤を混ぜた水をまく散水車や交通規制をする際に走行中の車にその存在を知らせるための標識車など、普段あまり近くで見ることがない車両についての説明を聞き、興味深げに様々な質問をしていました。
 その後、コミュニケーション・プラザ富士の中に入り、新東名高速道路を造る上での苦労や最先端の建設技術などを、映像と実際に工事で使用された機械の模型などで体感しました。また、大きく5つの過程(調査・土工・橋・トンネル・舗装)に分けて再現された本物さながらのジオラマを見ながら分かりやすく高速道路の建設手順などについて学びました。新東名高速道路の工事着工が1995年(平成7年)、2020年に全ての工事が終わり開通する予定といった話や新東名高速道路建設で発生した土は、全て建設と沿道の整備事業に有効活用できるように設計しているといった話など、参加者は終始感心しながら熱心に耳を傾けていました。

NEXCO中日本への質問と回答

社会広聴会員:
高速道路における技術・サービス面でNEXCO中日本独自の取り組みはありますか。
NEXCO中日本: 
旧日本道路公団時代は、試験研究所で技術的な研究を行っていました。現状もNEXCO中日本、東日本、西日本と共同で、研究機関を設立し、研究を行っています。当社独自の取り組みとしては、名古屋大学と協力して、橋の点検に関する実地的な研修ができる施設「N2U-BRIDGE」を運営しています。その他、岐阜県で、電気設備などについて実際の器具を使った研修が可能な施設「E-MAC技術研修センター」を運営しています。また、点検手法において、高速で走行しながら近接目視レベルの撮影を行い、画像処理技術を活用し、異常を自動検知するシステムを研究・開発しています。サービス面では、24時間体制のお客さまセンターを本社に設置し、お客さまからのメール、電話などでのご意見・ご質問に対応するように取り組んでいます。また、サービスエリアスタッフへの接客に関する講習会などを実施し、技能を高めるように取り組んでいます。
 

社会広聴会員:
高速道路の通行料金の徴収期間は設定されていますか。また災害時などの復旧費用についてはどのように捻出していますか。
NEXCO中日本:
NEXCO中日本に限らず、全国路線網を形成している高速道路料金の徴収期間は、リニューアル工事の費用なども含めて、2060年までとなっています。災害時などの費用についても基本的には、頂いている通行料金から捻出することになります。なお、大規模災害時には、国から補助金が交付される場合があります。
 

社会広聴会員:
メンテナンスや補修の体制はどのようになっていますか。
NEXCO中日本:
定期的なメンテナンスとしては、路面清掃車による清掃や、目視での落下物の回収などを実施しています。緊急の事故対応などについては、道路管制センターが24時間体制で監視しており、何かあれば、保全・サービスセンターに駐在している交通管理隊などに指示を出して、現場に急行させるなど、道路の交通機能を守っています。
 

社会広聴会員:
防災に関する取り組みはありますか。
NEXCO中日本:
新東名高速道路は、東名高速道路より山側を走行するため、地震・津波などの影響を受けにくく、東名高速道路の代替機能を持つことができると考えています。また、災害時にSA・PAを防災拠点として活用するといった協定を県などと結んでおり、自衛隊や消防などへの応援活動や周辺地域にお住まいの方の避難所として機能できるように準備しています。
 

社会広聴会員:
SAやPAに出店する商品の選定基準について教えてください。
NEXCO中日本:
NEXCO中日本では、まずSA・PAにどのような業種・業態を出店するかを決定し、決定後、その業種・業態に見合った店舗などに出店を打診します。店頭に並べる商品などについては、できるだけ「地域らしさ」をお客さまに感じていただけるように地元の食材などを活用してほしいというお願いはさせていただくこともありますが、基本的には店舗にお任せしています。

参加者の感想から

●リニューアル工事で最新の工法、技術を活用することにより、さらに高速道路が安全な方向に進んでいることを体感でき、うれしく思います。

 ●高速道路建設ばかりに目がいきがちですが、SA・PAのトイレの清掃など、日常のメンテナンスの重要性を分かりやすく説明いただき、非常に興味深いものになりました。今後もさらなる快適性に期待しています。

●NEXCO中日本の主要事業のプロセスを見て、触って、体感して、さらにそれぞれの現場で働く方々からの率直なお話をいただき、とても面白く、参考になりました。

●用宗高架橋リニューアル工事では、路肩も活用して走行車線を確保したり、床版を工場で造ってから運んで設置するなど、技術力の高さと細やかな心配りを感じました。ぜひもっと多くの人に工夫を知ってもらえるように取り組んでほしいと思います。

●コミュニケーション・プラザ富士では、模型などを見ながら、説明を聞くことができ、工事についてだけでなく、高速道路そのものについて理解することができました。

NEXCO中日本ご担当者より

 このたびは、高速道路リニューアルプロジェクトをはじめ、当社施設の見学にお越しいただき、ありがとうございます。
 リニューアルプロジェクトにつきましては、今回ご見学いただいた用宗高架橋をはじめとし、今年度(2016年度)よりいよいよ本格化します。今後2029年度までに約1兆円規模の事業を実施していきます。
 当社はこれからも、お客さまの安全を最優先に、安心・快適な高速道路を提供できるよう、皆さまの声をお聞きしながら事業を進めてまいりますので、引き続きご支援とご協力をよろしくお願いいたします。

お問い合わせ先
経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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