カーボンニュートラル
の実現には、
どのようなイノベーションが必要か

経済社会全体の根底からの変革(GX:グリーントランスフォーメーション)には、イノベーション(革新的技術開発と社会実装)が不可欠です。
経団連では、「経団連カーボンニュートラル行動計画」ならびに「チャレンジ・ゼロ(チャレンジ ネット・ゼロカーボン イノベーション)」において、日本の業界や企業のイノベーションへの取り組みを明らかにしています。

どのようなイノベーションが必要か

経団連カーボンニュートラル
行動計画

「経団連カーボンニュートラル行動計画」において、各業界は、2050 年カーボンニュートラルに向けたビジョンを示しています。その中では、目指す絵姿・将来像や、それを実現するためのイノベーションへの取り組みなどを示しています。

●2050年カーボンニュートラルに向けた各業界のビジョン

部門 業界/ビジョン(基本方針等)
エネルギー転換部⾨(エネルギーのCN化に向けた取組み)
電⼒

S+3Eの同時達成を果たすエネルギーミックスを追求しつつ、「電気の低・脱炭素化」(再⽣可能エネルギー:次世代太陽光、超臨界地熱等、原⼦⼒:再稼働、⼩型モジュール炉、核融合炉等、⽕⼒:⽔素・アンモニア発電、CCS・CCU/カーボンリサイクル等)と「電化の促進」(EV・PHVの充電インフラの開発・普及、IoT・AI技術の活⽤、ワイヤレス送電・給電等)に取り組む

石油

事業活動に伴うCO2排出の実質ゼロを⽬指すとともに、供給する製品の低炭素化を通じて社会全体のCNの実現に貢献するとの⽅針の下、⾰新的な脱炭素技術(CO2フリー⽔素、合成燃料e-fuel、CCS/CCU等)の研究開発・社会実装や、CO2フリー⽔素のサプライチェーン構築、製油所におけるCNの実現等に取り組む

ガス

ガスのCN化を⽬指すとの⽅針の下、徹底した天然ガスシフト・天然ガスの⾼度利⽤、ガス⾃体の脱炭素化(メタネーション⽔素利⽤等)、CCS/CCUに関する技術開発等に取り組む

産業部⾨(CO2を抜本的に削減する技術確⽴に向けた取組み)
鉄鋼

ゼロカーボン・スチールの実現に向けて、「COURSE50フェロコークス等を利⽤した⾼炉のCO2抜本的削減+CCUS」、超⾰新的技術である「⽔素還元製鉄」といった超⾰新的技術開発への挑戦に加え、スクラップ利⽤拡⼤などあらゆる⼿段を組合せ、複線的に取り組む

化学

「化学」の潜在⼒を顕在化させることで、地球規模の課題を解決し持続可能な社会の成⻑に貢献するイノベーションの創出を推進・加速するとの⽅針の下、原料の炭素循環(CO2の原料化、廃棄プラスチック利⽤等)、省エネ達成に向けた技術⾰新(膜分離プロセス等)などに取り組む

製紙

⽣産活動における省エネ・燃料転換を推進(省エネ設備・技術の積極導⼊、再⽣可能エネルギー利⽤拡⼤、⾰新的技術(⾼効率なパルプ製造⽅法の開発等)するとともに、独⾃性のある取組みとして、⽊質バイオマスから得られる環境対応素材(セルロースナノファイバー等)の開発・利⽤によるライフサイクルでのCO2排出量削減、植林によるCO2吸収源としての貢献拡⼤を進める

電機・電子

「技術開発」「共創/協創」「レジリエンス」の視点から、各社の多様な事業分野を通じて気候変動・エネルギー制約にかかる社会課題の解決に寄与するとの⽅針の下、次世代の省エネ・脱炭素化技術の⾰新(スマートグリッド、⽔電解⽔素製造、パワー半導体、急速充電・ワイヤレス充電等)、⾼度情報利活⽤ソリューション(⾃動運転⽀援システム、スマートファクトリー、⾼精度気象観測等)の社会への実装に取り組む

運輸部⾨関連(移動・輸送におけるCN化の取組み)
自動車

電動⾞(HV、PHV、EV、FCV等)の普及と⽔素社会の実現(FCモビリティーの拡⼤等)等に取り組む

海運

カーボンリサイクルメタン、アンモニア、⽔素など新燃料によるゼロエミッション船への転換に取り組む

鉄道

エネルギーを「つくる」から「使う」までのすべてのフェーズでCO2排出量実質ゼロにするべく、再⽣可能エネルギー電源の開発推進と導⼊の加速、蓄電池⾞両の展開、燃料電池⾞両の開発に取り組む

業務部⾨(エネルギーの効率利⽤の徹底に向けた取組み)
不動産、ビル

2050年CNを実現した社会では「ZEB、ZEHをはじめとした省エネ・再エネに配慮した建物」、「環境負荷が低い建材を使⽤した建物」や、「再エネ設備、蓄電池、エネルギー融通等を組合せ、地域全体でCO2削減をできるまち」が広く普及していると想定し、建物単体ではZEB・ZEH化、HEMS・BEMSの活⽤、まち全体ではZET化、CEMSの活⽤等の取組みにより貢献する